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マンガの中より酷い現実


 ヤングマガジンは、世界的にも人気が高く、2000年代以降確立したドリフト文化の形成に大きく寄与した頭文字Dや、湾岸ミッドナイト、シャコタンブギなど、自動車をテーマにしたマンガを多く輩出してきた。2017年からは、頭文字Dの続編とも言うべき作品・MFゴーストを連載している(MFゴースト - Wikipedia)。

 ヤングマガジンの人気自動車マンガの一つに、2000年から2014年まで連載された「ナニワトモアレ(第2部は「なにわ友あれ」)」がある。この作品も頭文字Dや湾岸ミッドナイト同様に、所謂走り屋をテーマにしたマンガなのだが、前者2作品がほぼ純粋に走り屋をテーマにしているのに対して、ナニワトモアレは平成初頭の大阪環状族を描いており、走り屋としての側面だけでなく、喧嘩や抗争など環状族チームの暴走族的な面を描くことにも積極的だった(ナニワトモアレ - Wikipedia)。
 ナニワトモアレは、青年誌であるヤングマガジンで連載されていたマンガなので、お色気シーンも結構多い。だが純粋な恋愛によるSEXだけでなく、質の悪い不良たちが強引に女性を犯すシーンも含まれている。同作品は当時環状族だった作者・南 勝久さんの実体験をもとにした作品なのだそうだ。作中には勿論そのような強姦行為を肯定・称賛するような描写はなく、行為に及んだ不届き者は他のキャラクターたちによって懲らしめられる。同作品の主人公・グッさんの彼女も過去に、酔い止めと偽ってハルシオンを飲まされ輪姦された経験のある女性、という設定で、それが描かれた回には「そんなことが当時よくあった」というニュアンスの表現がある。


 昨今話題になった昏睡レイプ事件と言えば、伊藤 詩織さんが当時TBSの政治部記者でワシントン支局長だった山口 敬之氏と会食後、記憶をなくしホテルで乱暴されたとされる事件だ。この事件に関して、果たしてデートレイプドラッグの類が使用されたのかは定かでないが、山口氏が記憶を無くすほど泥酔した伊藤さんと性行為に及んだ、ということは事実のようで、何故そんなことをしたのか、という点に大きな疑問があるのだが、伊藤さんの被害届を受けた捜査機関は不起訴とした。

「日本の秘められた恥」  伊藤詩織氏のドキュメンタリーをBBCが放送 - BBCニュース


 マンガ・ナニワトモアレの中で描かれていたのは、環状族などの不良による昏睡レイプ行為だが、この件ではTBSの政治部記者/ワシントン支局長がそのような行為に及んだとされている。ナニワトモアレの中で描かれた事案のうちのいくつかも事実に基づいているのだろうが、それでも一応基本的にはフィクションの中の話だ。しかし実際には、環状族のような不良だけでなく、相応の地位にあり、一般的には充分な分別があると認識される者も同種の行為に及んでいる、ということが明らかになり、また日本の捜査機関/司法機関の不可解な判断/対応などによって、BBC等でもそれが取り上げられ、世界中に知れ渡ることになったのがこの事案だった。


 伊藤 詩織さんの件はかなり大きな話題になったにも関わらず、また同種の事件が報じられている。しかも今度は、加害者は政府職員、被害者は未成年者だという。

復興庁官僚を準強制性交容疑で逮捕 少女に薬混ぜた酒飲ませ暴行か 警視庁 - 毎日新聞


 2020年5/27に、復興庁参事官補佐、つまり内閣府の職員が、10代少女に薬を混ぜた酒を飲ませて性的暴行をしたとして、警視庁に逮捕された。昨今の日本の捜査機関のいい加減さを考えると、果たして警察の言うことをそのまま鵜呑みにしていいものか躊躇してしまうが、記事によると、
容疑者は「ホテルで少女に何もしていない。薬も飲ませていない」と容疑を否認している
そうで、つまりホテルに少女を連れ込んだことや、酒を飲ませたことは否定していないのだろう。薬を飲ませたか性行為に及んだのか以前に、分別のある大人の到底やるべきことでないことをやっている、ということには違いなさそうだ。

少女抱えてホテルへ 防犯カメラに復興庁職員の姿


 テレビ朝日のこの記事には、
容疑者がぐったりした少女を抱きかかえて、ホテルへと歩いていく姿が近くの防犯カメラに映っていた
とある。つまり、やはりホテルに泥酔状態の10代少女を連れ込んだこと自体は間違いなさそうだ。


  検事長の賭け麻雀、菅原元経産大臣の公選法違反等、昨今検察は不可解な理由で不起訴を決めることが多い。もしこの件でも、当該職員が退職したり免職になたりしたら、検察は「社会的制裁を既に受けている」という理由で不起訴にしかねないのではないか?という懸念を感じる。マンガ・ナニワトモアレの中では、レイプを繰り返した不届き者を警察につき出さずに、同じ環状族が凄惨な拷問を加えるシーンがある。なぜ警察に任せないのか、ということも描かれており、それは日本の警察や司法の判断が生温く、そのような者が数年後には社会に戻り、再び同種の行為に及ぶケースも多く、更なる被害者を生む恐れがあり、それを防ぐ為とされていた。
 マンガの中で描かれたそのような理由による拷問が正しいとは言えない。だが、昨今の検察や司法の判断/対応を見ていると、彼らは責任を果たしているとは言えないのではないか?とも感じる。


 トップ画像は、ファイル:ハルシオン0.25mg.jpg - Wikipedia を加工して使用した。

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