スキップしてメイン コンテンツに移動
 

第三者


 所謂”横浜市における原発いじめ”の件で、被害者児童が加害者児童たちにおよそ150万円分の遊興費を支払ったことを、市の教育長が第三者委員会の調査に基づいて「いじめとは認められない」としたということが話題になった。感情論だけでこの件を見てしまうことはよくないが、小中学生が1回あたり5-10万円・計150万円を友達のために支払ったということが、お金持ちの子供ならありえるのかもしれないが、この件の背景を考慮してもいじめではないという判断をさせる調査をした人たちが、加害児童らの将来を憂慮した上での判断だったとしても、果たして”第三者”と言えるのだろうか。


 第三者委員会というと、最近では昨年の舛添元都知事の政治資金私的利用問題でも話題になった。この時も第三者委員会とされた弁護士が世間一般の感覚と大きくずれた調査結果を報告し批判を浴びている。この件の第三者委員会は舛添氏自身が人選をしている。昨年は他にも三菱自動車の燃費不正問題や東芝の粉飾決算問題などでも第三者委員会による調査が行われていたが、これらでは個人的にはある程度妥当な調査が行われていたように感じた。

 第三者とは案件の当事者と直接的な利害関係にない人のことを指す場合に使う言葉だ。第三者委員会はニュートラルな、公平な立場での調査・報告をイメージさせる。意地悪な視点で見れば、事案の火消しを図るのにはそのイメージが利用されやすいとも言える。つまり、多くの第三者委員会は妥当な調査と報告を行っているのだろうが、第三者とは言えない人たちが第三者委員会を名乗り、ある一方の当事者側に偏った調査をして、実質的にはその当事者の意向を代弁しているだけの場合もあると心に留めておく必要がある。これは第三者委員会と同じようなイメージで政府などが自ら招集する”有識者会議”などでも同じことだ。

 公平かどうかを判断するのもまた人間であり、厳密に言えば完全な公平など不可能だ。公平感をやたらと主張している場合などは注意が必要で、特に自分の意見とは別の視点からも物事を考えるようにしたい。

このブログの人気の投稿

マンガの中より酷い現実

 ヤングマガジンは、世界的にも人気が高く、2000年代以降確立したドリフト文化の形成に大きく寄与した頭文字Dや、湾岸ミッドナイト、シャコタンブギなど、自動車をテーマにしたマンガを多く輩出してきた。2017年からは、頭文字Dの続編とも言うべき作品・MFゴーストを連載している( MFゴースト - Wikipedia )。

話が違うじゃないか

 西麻布に Space Lab Yellow というナイトクラブがあった。 一昨日の投稿 でも触れたように、日本のダンスミュージックシーン、特にテクノやハウス界隈では、間違いなく最も重要なクラブの一つである。自分が初めて遊びに行ったクラブもこのイエローで、多分六本木/西麻布界隈に足を踏み入れたのもそれが初めてだったと思う。

同じ規格品で構成されたシステムはどこかに致命的な欠陥を持つことになる

 攻殻機動隊、特に押井 守監督の映画2本が好きで、これまでにも何度かこのブログでは台詞などを引用したり紹介したりしている( 攻殻機動隊 - 独見と偏談 )。今日触れるのはトップ画像の通り、「 戦闘単位としてどんなに優秀でも同じ規格品で構成されたシステムはどこかに致命的な欠陥を持つことになるわ。組織も人も特殊化の果てにあるものは緩やかな死 」という台詞だ。

フランス人権宣言から230年、未だに続く搾取

 これは「 Karikatur Das Verhältnis Arbeiter Unternehmer 」、1896年ドイツの、 資本家が労働者を搾取する様子を描いた風刺画 である。労働者から搾り取った金を貯める容器には、Sammel becken des Kapitalismus / 資本主義の収集用盆 と書かれている。1700年代後半に英国で産業革命が起こり、それ以降労働者は低賃金/長時間労働を強いられることになる。1890年代は8時間労働制を求める動きが欧米で活発だった頃だ。因みに日本で初めて8時間労働制が導入されたのは1919年のことである( 八時間労働制 - Wikipedia )。

大友克洋がAKIRAで描いたのは、2020東京五輪だけじゃない

 2020東京五輪招致、そしてそれが予定通りに開催されなかったことが、見事に劇中の設定と同じであることで知られる、大友 克洋のマンガ/アニメ映画・AKIRA。3巻の巻末にある次巻の予告ページでは、劇中で発行されている体裁の新聞がコラージュされていて、その中に「WHO、伝染病対策を非難」という見出しがあり、コロナ危機をも言い当てていた?という話も話題になったことは記憶に新しい。