スキップしてメイン コンテンツに移動
 

視聴者の意見


 テレビ番組の中にはツイッターで視聴者の意見を募集し、放送中に画面に表示するものがある。東京MXのモーニングCROSSもその1つなのだが、今朝、カナダでモスクが襲撃され死者が出たというニュースを取り上げたことを受けた「カナダでもイスラム系テロか、トランプの入国厳格化にも頷ける」という趣旨のツイートが表示されていた。ツイートなので細かい趣旨がどうなのか分かりづらいが、おそらくカナダでイスラム教施設が襲撃されたことを、イスラム過激派がテロを行ったと勘違い(もしくは勘違いを装ったイスラム差別)してトランプ大統領の政策に賛成するという趣旨で書かれたツイートだと思われる。明らかに間違った情報に基づいたツイートをテレビで放送してしまうのはどうなのだろうか。その後そのことについて番組内で認識が間違っているおそれがあるという注釈がされることもなかった。


 どういった基準で画面表示するものが選ばれているかはわからないが、モーニングCROSSのツイート表示は、他局の番組に比べて無作為に選んでいる印象が強い。と言うのは捉えようによってはヘイトスピーチ的な意味合いを含んでいるとしか思えないツイートも表示されることがあるからだ。番組・局によってスタンスは少しずつ違うのだろうが、このモーニングCROSSのスタンスはどんな意見でも表示するという、ある種公平と言える姿勢だとも思う。

 しかし、番組中に表示されるツイートで不快な気分にさせられることも多々ある。番組内でそれらについて少しでも触れられれば、その不快感も少しは解消されるのかもしれないが、全く触れられないことの方が多く、ただ罵詈雑言を公共放送で垂れ流しているようにも見えてしまう。ハッシュタグをタイムラインで追えば見られるものをわざわざ画面に表示させる必要があるのだろうか。ワンセグやMXのアプリ・エムキャスなどを利用してスマートフォンで見ている人は放送とタイムラインの両方を一画面で見ることが現実的でないことから、一定の意義があることは理解できる。しかし、ツイートは文字数が少なくどのツイートがそうかの断定は難しいが、テレビに自分のツイートが表示されることで、目立って自己顕示欲を満足させることが目的としか思えない差別的表現、もしくは事実を誤認したツイートがあることも事実だ。特に今日のような明らかに180度ニュースを誤認したツイートの表示は、多くの人がツイートした人自体を軽率な奴だと思って済ませたと思うが、視聴者に誤解をさせるおそれがないとは言えず、テレビ放送で表示するべきではなかった、表示するなら注釈をして訂正をするべきだったと思う。

 個人的にはモーニングCROSSの番組全体の姿勢は好きだし、キー局のどのニュース番組よりも共感できるニュース番組だと思う。視聴者の意見を聞くことにも基本的には賛成だ。ただ最近のモーニングCROSSは、経験不足の若手作家かディレクターがスタッフにいるのか、スタッフ不足でキャパオーバーなのかと勘ぐってしまうほど、テロップや見出し・番組アカウントのツイートなどでの誤字、文章として質が低い表現(分かりにくい・誤解を招くおそれがある、または報道番組的ではない文章)が増えた気がする。個人の感覚でしかないが、上記のようなテレビ放送するべきかどうかと感じられるツイートが表示されるケースも多少増えている気がする。要するに全体的に番組を管理する姿勢が少しおろそかになったようにも感じられる。もちろんどんな意見も黙殺しないという姿勢はいいが、その姿勢を貫くなら、そのようなツイートに対する番組としての、メインキャスターである堀潤なりの姿勢を番組内で表明することも、もう少し必要ではないだろうか。公平に視聴者の意見を取り上げることも重要だが、公平さ重視して無作為にツイートを放送することが、結果的に差別的な意見を広める手助けをしてしていると批判されかねない状況になるのは避けてほしい。独立局の報道番組として特色ある番組だと思うし、自分の好きな番組だけに余計にそう思える。

このブログの人気の投稿

マンガの中より酷い現実

 ヤングマガジンは、世界的にも人気が高く、2000年代以降確立したドリフト文化の形成に大きく寄与した頭文字Dや、湾岸ミッドナイト、シャコタンブギなど、自動車をテーマにしたマンガを多く輩出してきた。2017年からは、頭文字Dの続編とも言うべき作品・MFゴーストを連載している( MFゴースト - Wikipedia )。

話が違うじゃないか

 西麻布に Space Lab Yellow というナイトクラブがあった。 一昨日の投稿 でも触れたように、日本のダンスミュージックシーン、特にテクノやハウス界隈では、間違いなく最も重要なクラブの一つである。自分が初めて遊びに行ったクラブもこのイエローで、多分六本木/西麻布界隈に足を踏み入れたのもそれが初めてだったと思う。

同じ規格品で構成されたシステムはどこかに致命的な欠陥を持つことになる

 攻殻機動隊、特に押井 守監督の映画2本が好きで、これまでにも何度かこのブログでは台詞などを引用したり紹介したりしている( 攻殻機動隊 - 独見と偏談 )。今日触れるのはトップ画像の通り、「 戦闘単位としてどんなに優秀でも同じ規格品で構成されたシステムはどこかに致命的な欠陥を持つことになるわ。組織も人も特殊化の果てにあるものは緩やかな死 」という台詞だ。

フランス人権宣言から230年、未だに続く搾取

 これは「 Karikatur Das Verhältnis Arbeiter Unternehmer 」、1896年ドイツの、 資本家が労働者を搾取する様子を描いた風刺画 である。労働者から搾り取った金を貯める容器には、Sammel becken des Kapitalismus / 資本主義の収集用盆 と書かれている。1700年代後半に英国で産業革命が起こり、それ以降労働者は低賃金/長時間労働を強いられることになる。1890年代は8時間労働制を求める動きが欧米で活発だった頃だ。因みに日本で初めて8時間労働制が導入されたのは1919年のことである( 八時間労働制 - Wikipedia )。

馬鹿に鋏は持たせるな

 日本語には「馬鹿と鋏は使いよう」という慣用表現がある。 その意味は、  切れない鋏でも、使い方によっては切れるように、愚かな者でも、仕事の与え方によっては役に立つ( コトバンク/大辞林 ) で、言い換えれば、能力のある人は、一見利用価値がないと切り捨てた方が良さそうなものや人でも上手く使いこなす、のようなニュアンスだ。「馬鹿と鋏は使いよう」ほど流通している表現ではないが、似たような慣用表現に「 馬鹿に鋏は持たせるな 」がある。これは「気違いに刃物」( コトバンク/大辞林 :非常に危険なことのたとえ)と同義なのだが、昨今「気違い」は差別表現に当たると指摘されることが多く、それを避ける為に「馬鹿と鋏は使いよう」をもじって使われ始めたのではないか?、と個人的に想像している。あくまで個人的な推測であって、その発祥等の詳細は分からない。