2/11のMXテレビの生放送番組・田村淳の訊きたい放題!で「”最近の若者”VS”老害”世代間対立の構造を考える」というタイトルの企画を扱っていた。タイトル通り、昔からある”最近の最近の若い者は…”という年長者と”年寄は扱いづらい”という若年層の世代間での感覚の違いなどを、街頭インタビューや識者の見解のVTRを見てコメンテーターらがテーマについて考える企画だった。番組では出演者の年齢層からか、若者よりの意見ばかりがクローズアップされてしまい、その点はMCの田村淳氏も企画の最後にやや偏っていたとお詫びを一言添えるなど、年配者にも一応の配慮は見せていた。
気になったのは内容よりもそのタイトルで、”最近の若者”と”老害”という言葉の並べ方だった。おそらく番組側では互いに理解出来ない若年層と年長者を揶揄するという意味でこの2つを並べたのだろうが、自分の目には同じレベルで揶揄しているようには見えず、”老害”という言葉が際立って見えた。というのも、”最近の若者”という言葉は「最近の若者は…」と使うとネガティブイメージになるが、字面自体にはポジティブもネガティブもなくどちらの場合も使える。だが、”老害”は害という字自体が既にネガティブで、ニュートラルな意味で年長者を示す場合には使用できない言葉だからだ。それに加えてスタジオの雰囲気が若者寄りになってしまったことがさらにその思いを加速させてしまった。
タイトル以外の場面では若者vs年長者としているなど、番組側に明確な年長者への差別意識がある訳ではないことは分かる。だが、年長者に対して”老害”という言葉を使うなら、若者に対しても”最近の若者”より更に嫌悪感のある言葉を使った方が良かったが、結局それでは企画の着地点である、「お互いに理解しようという気持ちが必要」ということに反して、世代間の対立を不要に煽ることにもなってしまいそうだ。このタイトルはおそらく視聴者の目を引くキャッチーなコーナータイトルを付けようと、どちらかと言えば若者側のスタッフが悪気なく出したものなのだろう。ネットニュース等がクリック数を稼ぐ目的で内容以上に過激な見出しを付けて読者を煽る現状の影響がそこにはあるのだと思うが、個人的にはそんな色気は出さずに普通に”若者vs年配”とすれば良かったのにと思う。MXテレビは現在、年始のニュース女子で沖縄基地問題に関して事実と異なる報道を行った恐れがある問題も抱えているような時期でもあるし、この”老害”という言葉選びは少し配慮に欠けていたように思う。