NHKが「ANA初のメキシコ直行便就航 米大統領の動きで懸念高まる中」という見出しでニュースを報じていた。この見出しを見て、一瞬「トランプ大統領とうまくやりたいなら、全日空がメキシコ直行便を就航させるのは(親メキシコに見えるから)好ましくない」ということか?と頭をよぎってしまった。内容を聞けばそう伝えたいのではないらしいということが分かるのだが、このニュースは見出しも内容もイマイチ歯切れが悪い。
ニュースでは、このメキシコ直行便就航の背景には、NAFTAと人件費の低さによって対米輸出に優位性があるメキシコへの、日系企業の進出が近年増えたことにより直行便の需要が生まれたことを上げている。しかしトランプ大統領がNAFTAの見直しを示唆していることやメキシコへの工場建設を牽制していることなどから、それらの日系企業も影響を懸念していると伝えている。この影響とは、具体的には現在メキシコに進出している日系企業の活動が今後も今までのように続くかが不透明という懸念、今までのような企業活動が続かなければANAの直行便も採算が合わなくなるかもしれないという懸念なのだろう。しかし”日系企業も影響を懸念”という表現だけだと、考えすぎかもしれないが、冒頭でも書いたように日系企業もANAも「米大統領に親メキシコと思われること」を懸念しているようにも、NHKもそう考えているようにも受け取れてしまうと感じる。
現在の状況からすれば、「親メキシコ」と米大統領に思われたら商売がしづらくなると、どの企業も多からず感じているのは事実かもしれない。そのような風潮があるならばそれを伝えるのがメディアの役割と言えるのかもしれない。しかしそれはメキシコを必要以上に目の敵にする米大統領の方針を容認、悪く言えば支援しているようにも感じられ、釈然としない気分にさせられてしまう。このニュースが全面的におかしい、事実と異なっているなどと言うつもりは全くない。しかしNHKはその伝え方において、もう少し細かく説明をするなどの配慮をしても良かったかもしれない。