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待機児童


 昨年2月に「保育園落ちた日本死ね」というタイトルで投稿されたブログが話題になった。それまでも所謂”待機児童問題”は取り沙汰されてはいたが、ブログの過激な文言・「日本死ね」に不快感を示し批判するあまり、待機児童問題に対する抗議自体を批判する人々も現れたが、このブログで待機児童問題への注目度が一気に高まったことも事実だ。今月15日でそのブログが投稿されてから丁度1年を迎えた。

 昨年この問題を民進党の山尾志桜里衆議院議員が取り上げ、安倍首相にぶつけた当初、首相は「匿名なので確認できない」とし、自民党議員からは「誰が書いたか分からないものを国会で取り上げるな!」というヤジが起こったが、その後ネットを中心に「保育園落ちたの私だ」という抗議が高まり、政府与党は慌てて、”2017年度末に待機児童ゼロを目指す”という姿勢を前面に出すように方針転換したように記憶している。しかし今年も「保育園落ちた」という声が多く、今年の状況が昨年のそれと比べて、大きく改善していないように感じられる。17日の衆議院予算委員会で昨年の件から約1年、政府与党の掲げた期限の年度末を前に、山尾議員が安倍首相に対して行った質問をハフィントンポストが問答を全文掲載している。


 首相は年度末の待機児童ゼロが「非常に厳しい状況になっている」と認めてはいるが、山尾議員の質問に対して、「民主党政権期に達成出来なかったのに、民進党にそれを批判する資格はない」というニュアンスで話しているように感じられる。確かに当時の民主党政権が何かを変えられたか、と言えばあまり成果はなかったと言えるかもしれない。しかし首相の発言から感じられるのは「民主党が出来なかったんだから、自民党が出来なくても(国民は)文句を言うな」というようなイメージだ。それでは自民党も民主党と同じく無能ですと認めることになるのではないだろうか。さらに「待機児童ゼロは達成できなさそうだが、それは働く女性が増えたことによって、保育園の需要が高まったからだ。経済はよくなっているので、いずれこの問題も解決する」と自分たちを擁護しているように見える主張をしているのだが、一億総活躍などと謳っている政権が働く女性が増ることによる、保育園の需要増を予想できなかったというのは如何なものだろうか。それほど行き当たりばったりな政権運営でよいのか、経済優先政策によってトリクルダウンが起こり、国民全体が豊かになるのではなく、結局経済発展は弱者を切り捨てた上に成り立つものという思考が根底にあるのではないかと勘繰りたくもなる。

 個人的な考えとして現政権に国を任せておくのは不安だと思うのだが、一方で前政権も日本を変えられたかと言えば大きな成果がなく、現在の国会答弁を見ていても、トランプ大統領のペースにのまれ、彼と同じレベルで罵り合いを演じてしまった共和党の他の候補や、民主党のヒラリー クリントン大統領候補と同じように、阿部政権のペースで同レベルのなじり合いを多くの民進党議員がしているように見えてしまい、あまり期待が持てないのも事実だ。政治不信なんてもう30年以上言われ続けている気もするが、いつかそう言われないような社会は実現するのだろうか。この国でそれを実現するためには、企業を監督する労働監督局が必要なように、政府に対して目を光らせる司法の独立性をもっと重視しなければならないように感じる。

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