今月24日から、消費喚起を促すために月末の金曜日は午後3時で仕事を切り上げるという施策”プレミアムフライデー”が始まる。まずプレミアムフライデーというネーミングセンスの無さに如何にも官主導の施策という印象を抱かされる。とりあえずカタカナ英語にしとけばいいんでしょ?的な発想が恰好悪すぎる。小池都知事が、その活動内容の是非はまた別の問題として、会見で耳慣れない横文字・外来語を多用するのに比べたら、プレミアム、フライデーという日本人の大多数が言葉の内容をイメージしやすい横文字を使っているだけマシな気もするが、分かりやすさを重視するなら横文字・外来語にせず日本語のスローガンでも良かったと思う。
最近個人的に気になる外来語の使い方は、モータースポーツが好きでよくテレビ観戦するのだが、表彰台を”ポディウム”と表現することを多用することだ。日本語では伝わりにくい、もしくは該当する言葉がない場合に日本語の造語をつくるのではなく、そのまま外来語を用いることは現代日本語では違和感のあることではない。モータースポーツは次々に新しいルールや技術などが出てくる為、外来語が多くなる傾向にあるのは仕方ないが、”表彰台”というとても一般的な日本語があるにも関わらず、わざわざカタカナ英語の発音でポディウムと言う必要はあるのだろうか。しかも1位のことをポディウムトップなどと言ったりもしている。どう考えても1位か優勝のほうが発音も少ないし、日本人には伝わりやすい。表現のマンネリを避けるというような意味合いでたまに使うのならまだわかるが、普通に日本語が喋れるにも関わらず常に表彰台をポディウムと表現している実況・解説は、外来語を多用する自分に酔っているだけのようにも見える。
話をプレミアムフライデーに戻そう。この施策は果たして成功するのだろうか。個人的にはとても中途半端なものに見える。まず政府は景気は緩やかに回復しているとしているが、これはここ15年以上どの政権も、ほぼこの手の主張を常に続けており、自分の実感からも実態を表しているとは到底は思えない。実際には可処分所得は増えていないという調査結果もある中で、消費を促そうと時間だけを確保することにどれほど意味があるのだろうか。次に働き方改革との関係性にも問題があると思う。プレミアムフライデーはまず官公庁や一部の企業で実施されるようだが、彼らが月末金曜午後を余暇に充てて消費をするには、小売業やレジャー産業などのサービス業は休まずに労働することが前提にあると思う。サービス業界は長時間労働や過重労働などの問題が深刻な業界の一つだ。彼らにも月末金曜午後以外でプレミアムフライデー分に相当する余暇が与えられるようになるとは全く思えない。偏った視点かもしれないが、結局官公庁・大企業の一部だけがその恩恵を受けるだけになってしまうのではないだろうか。中小零細企業では月末金曜午後休業などは夢物語で、休日出勤が常態化し、土日の週休二日、中には毎週日曜や祝日の完全な休業すら実現できていないところも多いと思う。しかもサービス残業どころではなく、サービス休日出勤が常態化していることも少なくない。自分が過去に働いた会社の内の2つはそんな状態だった。
まずサービス残業・休日出勤を完全に無くすことに対して政治が努力し、働いた分の給与支払いを徹底させることで、少しでも所得を上げることの方が、プレミアムフライデーなんて施策よりも、働き方の面でも消費促進の面でもよっぽど有効なのではないだろうか。