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非常識な田舎者

 G7で、他の首脳にマジった菅が見ていて、なんであんなにちんちくりんなのか、と恥ずかしく思った。世間知らずの田舎者感が半端なかった。他の国の首脳たちはきちんとした服装なのに対して、菅は、親のスーツを借りてバイトの面接に来たかのような、サイズの合っていないダボダボのスーツを着ていたからだ。勿論、身なりだけで人を判断するのはよくない。しかし、なにか相当の信念があるなら別として、単に無頓着なだけな場合、身なりで判断されても仕方がない


 例えば菅が、ウルグアイの元大統領 ホセ ムヒカのように、報酬の大部分を寄付していて、自分が着る衣類や家などは二の次、のような人物であるなら、ダボダボのスーツを着ていても「痩せてサイズが合わなくなっても、まだ着られるからと着ているんだろう」と思えたかもしれない。しかしそんなことは全くないので、なぜきちんとした身なり”すら”整えられないのか、という感しかない。”すら”とは、英会話も出来ず社交性もなく他の首脳と歓談すらできないからだ。非常識とまでは言い難いが、常識的な感覚が足りていないとは言えるだろう。

 世間一般で常識とされる感覚を持ち合わせていない人を、田舎者と言って揶揄する場合があるが、それは、井の中の蛙大海を知らず、と同じ様なニュアンスである。井の中の蛙大海を知らずが、カエル全般を否定しているわけではないのと同じ様に、都市部に住んでいない者全般を否定しているわけではない。字面的には全否定しているように聞こえるかもしれないが、否定しているのは都市部に住んでおらず、常識に無頓着な人だけだ。
 トップ画像に用いた傘の持ち方を例に考えるてみる(傘、どちらに向けて持ってます? | 災害・防災・安全 | NHK生活情報ブログ:NHK)。トップ画像で示したような、危険な傘の持ち方を、無頓着にもしている人は間違いなく都市部にもいる。だから厳密には、これを知らないことを田舎者と揶揄するのに整合性はないが、人があまり密集しない田舎では、このような傘の持ち方をしても危険が生じないケースも多く、通勤ラッシュもあまり経験しておらず、だから考えが至らずに、このような危険な傘の持ち方をしがちである、ということに基づいて、田舎者と揶揄されるのだろう。
 スーツの着こなしについても、田舎ではスーツで飛び込み営業に回ると怪しまれる、なんて話がある。普段あまりスーツを着た人がいない、多くの人があまりスーツを着ないからそんな話のネタが生まれる。で、スーツを着慣れていない、上手く着こなせない人のことを田舎者と揶揄したりする。
 これとは逆に、田舎では常識なのに、都市部に住んでいる人は知らないこと、というのも結構ある。例えば、電車を乗り過ごしてもすぐに次が来ると思っていたり、雪が降っても自分でタイヤチェーンを巻けなかったり。

 また、田舎とか都会とかに限らず、その地域限定のお約束みたいなものもある。例えば、電車の中ではリュックを肩から降ろす、なんてのはそれだろう(「車内でのリュックサックの置き方・持ち方」をテーマとした共同マナーキャンペーンの実施について:JR西日本)。田舎のように、そもそも満員電車などなく、それどころか座席に座らずに乗車するケースすら稀な地域では、そんなマナーや常識は意識する必要がない。電車に乗る機会がかなり少ない地域も確実にあって、国内ではそれは主に田舎に該当するが、国外だと都市部でもそのような状況の場合も決して少なくない。
 なのでこれの場合は、田舎とか都会とかのような話ではなく、「郷に入っては郷に従え」の典型的な例だ。ただ前段で示したように、このようなその地域での常識を知らないと、「これだから田舎者は」「これだから都会モンは」みたいに言われてしまう。
 常識とは時代や地域によってかなり差があるもので、自分の常識がすべて絶対的な常識と捉えるのは危険だが、しかし一方で、自分がいるコミュニティにはどんな常識があるのか、を積極的に意識する姿勢もとても重要だ。

 だからダボダボのスーツで平然とG7に出席する菅を見ると、日本の首相は常識はずれの田舎者みたいで恥ずかしい、と思ってしまうのだ。安倍や麻生はハッキリ言って政治家として、いや人間的に失格だと思っているが、それでも身なりだけはキチンとしていた。菅は身なりも英会話も、社交性も全くダメ、政治家的にも人間的にも当然ダメ。ある意味で安倍や麻生よりも低レベルである。


 常識を知らない田舎者、と言えば、こんな話も昨日見かけた。

「つり目」はアジア系差別ではなく「愛情」 バレー選手が処分されるもセルビア連盟は“釈明” | ハフポスト

 この話は、6/8の投稿でも取り上げた、イタリアで行われた国際大会でタイと対戦した際、またセルビアのバレーボール代表選手がアジア人蔑視のゼスチャーをやった、という話の続報である。「また」というのは、2017年にも日本で開催される大会への出場を決めた際に、チーム全員でそのポーズをとった集合写真を撮り、SNSへ投稿していたからだ。

 セルビアのバレーボール連盟は、この件に関するInstagramへの投稿の中で、

We understand the point of view of the FIVB, even if, as we argued, culturally, we see this gesture as rather affectionate, that it may be interpreted in a negative way by the Asian people.
これまでも伝えてきたように、我々は文化的に、この仕草を愛情のこもったものとみなしています。しかし同じ仕草をアジアの人たちは否定的にみなす可能性があるというFIVBの指摘を理解しました

と釈明した。

 6/8の投稿で、「時代遅れの、東欧の田舎者など放っておけ」と書いたが、つり目ジェスチャーが蔑視でなく愛情表現だなんて、まさにセルビアは時代遅れの非常識な東欧の田舎者という感しかない。バレーボール選手の行為を以てセルビア全般について語るのはどうか、という見解もあるだろうが、セルビア代表チーム選手の振舞いであり、国の看板を背負っているのだから、選手らの振舞いはその国全般の傾向と捉えられても仕方がないのではないか。

 そもそも、その説明自体が詭弁であることも明白だ。何故なら前述のように、2017年にもチーム全員で同じつり目ジェスチャーをやって批判に晒されているからだ。既に数年前に指摘されているのにも関わらず愛情表現のつもりだった、なんてのは全く理解し難い。ハッキリ言って、セルビアバレーボール連盟の言っていることは、鍵十字は差別や抑圧の象徴などではないというネオナチや、旭日旗の何が悪い、と言って用いる日本の排外主義者・差別主義者と何も違わない。


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