CNNやNYタイムズなど、トランプ政権はロシアへの対応に批判的なメディアを明確な基準を示さずに記者会見から締め出した。以前からトランプ大統領はそれらの政権に批判的なメディアに対して「フェイクニュースだ」と言い続けていたが、とうとう実力行使に出た。タイミング的にマレーシアでの金正男氏暗殺の件に対する北朝鮮の「自分たちに都合の悪いことは全て嘘、正しいのは常に我々」という姿勢とどうしても重なってしまい、個人的に「あんな中国や北朝鮮政府のような振る舞いをする人を大統領に選んでしまうなんて、世界一の核保有国にも関わらず、アメリカの闇も想像以上に深い」と思ってしまう。
報道に関する状況では、”記者クラブ”という閉鎖性の高いシステムのある日本が、アメリカの状況をとやかく言える立場でもない気もする。ただ、流石に日本でも記者クラブ内の大手メディアが、例えば現在連日のように国会で話題に挙げられる森友学園への極端に安値での国有地売却に関して首相夫妻(もしくは政府関係者)が何らかの関与をした疑惑に関する報道に於いて、最も批判的な姿勢を見せている朝日新聞・毎日新聞あたりが、官邸の記者会見から排除されたとしたら、大手新聞社の中では最も現政権よりと言われる読売新聞だって抗議する旨の記事を書くだろう。しかし数年前に「テレビ局の偏向報道は、放送法に基づき停波の可能性も」と、総務大臣に発言させたことが少なからず影響しているのだろうが、上記の森友学園の件は国会で野党が連日、時には複数人質問しているのにも関わらず、NHKを始めテレビで取り上げられる頻度・時間はかなり少ない。首相夫人が名誉校長に名を連ねていたことや、森友学園の戦前のような教育方針、学園理事と日本会議の関係などに対して、つっこんだ放送をしたテレビ局は関東ではテレビ東京ぐらいしかないように思う。仮に総務大臣のあの発言が、実際はこの件のテレビでの扱いについて影響を与えていなかったとしても、「李下に冠を正さず」ということわざがあるように、そう疑われてしまいそうな発言を総務大臣がするべきではなかった。そう考えると方法の過激さの差はあれど安部政権とトランプ政権は似たもの同士かもしれない。
森友学園の件に対する総理の国会での答弁を見ると、質問に真っ向から答えず時間稼ぎをしてなんとかやり過ごそうとしているようにも見える。確かにこの問題が大事になればなるほど、学園が戦前的な教育方針であることと自民党が出した改憲草案の共通性、改憲推進で首相の支持団体でもある日本会議と学園の関係性などから、おそらく彼の最大の政治目標であろう、憲法改正の実現がどんどん遠のくことに直結するだろうから、彼がこの件に関して必死になるのも分からなくもない。野党が揚げ足取りのような質問をしているときは、閣僚たちはニタニタと鼻で笑っている(若干表現が悪いが自分にはそう見えて仕方がない)かのようで余裕を見せるのだが、この件に関してはかなり彼らが苛立っているように見える。稲田防衛相の、昨年7月の南スーダンの”戦闘”に関するかなり苦しい答弁の際もこの傾向が見られる。
確かに現在の野党の最大勢力・民進党らに政権運営に適切な人材が揃っているとも思えないが、現政権が今のような、ある種国民を馬鹿にしているとも思える姿勢をとり続け、最大の売りである経済政策も今のまま結果の先送りを続けるのなら、民進党ら野党勢力に比べて政権運営能力に明確な差が本当にあるのかも怪しくなってしまいそうだ。