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賭博


 密猟などを取り締まる水産庁の漁業取締船内で高校野球の優勝校を当てる賭けを、水産庁職員や業務委託された船長や乗組員が行ったとして、警視庁が39人を書類送検したという報道あった。高校野球の優勝校を当てる賭けといえば、大阪府警内でも同様の行為があり、府警の警察官19人が注意処分を受けたという報道が先月26日にあった。記事の内容だけで判断すると、水産庁の件は2014年から2016年に一口500円、大阪府警は2011年、2012年、2015年に一人2000円と、水産庁は一人ではなく一口で一人何口かの記述は無いが、賭けの内容に大差があるとは考えづらい。しかし水産庁は書類送検、大阪府警は注意のみと処分に差がある。警視庁と大阪府、処分を下した組織は厳密には別だが、やっぱり警察は内部に甘いのかと思えてしまう。内部に甘い体質という点に疑問を感じる一方で、 ある意味大阪府警の対応のほうが実社会の感覚に近い対応のようにも感じる。この程度の賭け事が、書類送検、報道までされて社会の晒し者にされるという制裁を受ける必要がある悪行とまで言える事だろうか。


 もちろん日本では法律で賭博を原則禁じていることは知っているし、少額でも金銭を賭ければ、賭博罪で例外としているジュースや食事を賭けるような”一時の娯楽に供するもの”とは言えないという見解が一般的なことも知っている。しかし、トランプや麻雀などで少額の賭け事を友人、学校、職場、家族間で行うことは自分の感覚ではよくあることだし、それを全て取り締まることが必要不可欠だとは全く思えない。先月報道された福岡市長のように、市長という立場でありながら、平日昼間から麻雀をしていたり、それを開き直るような態度を示せば問題もあるだろう。ただ市長という職務に対する態度の問題を除いて考えれば、「賭けをしないで麻雀をする人が世の中に何%いるのか?逆に聞きたい」と彼が言うように、彼を批判する全員が、生まれてこの方1円たりとも賭けたことがない人とは到底思えない。高校野球の優勝校当てに関しても、金額や方法の違いや自分が参加した・しないの差はあるが、今まで通った中学・高校・大学・複数の会社の全てで行われていた。

 前段でも書いたように賭博罪ではジュースや食事などの賭けを”一時の娯楽に供するもの”として例外に該当するとしている。金銭は1円であってもこれに当たらないという事になっているが、冒頭に挙げた件で賭けられた金額、500円とか2000円とかいう額は1回の食事代と大差ないのに書類送検するほどか?と個人的には思ってしまう。漁業取締船内や警察署内でというと、仕事中に遊んでいたかのようだが、仕事仲間で高校野球の優勝校当てをするのは、仕事中に麻雀をするのとは行為に掛かる時間が大きく違い、仕事をほったらかして遊んでいたのとは別の状況だと思う。そもそも仕事中に遊んでいたと考えられるとしたってそれは賭博罪とは別の問題だ。

 八百長が絡んだ深刻な問題になる恐れがある、プロ野球選手が野球賭博に手を出すようなケースや、反社会勢力が営利目的で計画的に行うような賭博を取り締まることに異論はないが、厳密にいえば法律では禁止されているが、実社会ではよく行われていること、いわば本音と建前、暗黙の了解的な、軽犯罪としてもよさそうな程度のことに対して書類送検+報道はやりすぎだと思う。漁業監視船や警察という犯罪などを取り締まる立場をわきまえるという点を考慮したとしても注意処分で充分だろう。

 2015年に発覚した巨人選手の賭博事件や、前述した福岡知事の麻雀事件などに感化されて過剰反応を示す人たちに騒がれないように”隠さず厳正に処分”という動きもわからなくはないが、一方で息苦しい社会を作ることを助長するような処分が、誰のためになるのかと警察・報道機関まで含めて問いたい。法令順守が重要だという認識も理解できるが、社会的制裁を与えることを必要以上に主張している人たちが、個人的な倫理観・正義感を振りかざしリンチする対象を探し出して、ある意味楽しんでいるように見えて仕方がない。

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