フォーエバー21が販売していたTシャツのデザインがナチスを想起させるとして販売を中止し、これに関してフォーエバー21が謝罪をするという事態になっているとBuzzFeed Newsが報じている。問題になっているのは日本のフォーエバー21ではなく米国での話なのだが、BuzzFeed Newsが掲載しているそのTシャツを見て、個人的には、この程度のデザインでナチス的で問題があるとするなら、他にも難癖(あえてネガティブな表現をしている)をつけられるものは数えきれないほどあるんじゃないかと思う。そのTシャツは複数の図形や英単語をデザインしたグラフィックがプリントされている。その中の88という英数字と稲妻のような図形について、88はHがアルファベットで8番目の文字であり、HH=ハイル・ヒトラーの隠語として白人至上主義者などがネット上でよく使う数字であること、稲妻のような図形はナチスの親衛隊(Schutz staffel=SS)のエンブレムに似ていることを理由に問題だとされているようだ。88については米国内でどれほどHHを想起させる数字として認知されているのか定かでないので、日本人と米国人の感覚の差を考慮する必要はあるかもしれないが、稲妻の図形に関しては上記のような話が容認されるならば、今後すべて稲妻の図形は使用できなくなりそうだ。ナチスに対して欧米、特にユダヤ人らが持つ嫌悪感は日本人・アジア人のそれとは桁が違うのかもしれないが、それを考えても過敏すぎるのではないかと思う。
一部の反日感情が強い朝鮮・韓国・中国人が旭日旗を過敏に反応し忌み嫌うのは、旭日旗が実際に旧日本軍で使用されていたという背景と、その流れで現在も自衛隊で使用しているので、ある程度は仕方がないと思うのだが、彼らが日の出をデザイン化したもの全てを旭日旗的だとして批判するのは少しやりすぎだとも思う。今回の稲妻のデザインに関しては日の出のデザインよりも遥かに一般的なデザインだと思うので、SSのマークを想起させて不適切だという指摘はさらに容認し難い。そんなことを言うなら、なぜ自動車のグレード名にSSをスーパースポーツの略として60年代から使用しているシボレーに対してはそういった指摘をしないのだろうか。
あからさまにハーケンクロイツを掲げたり、ナチスの制服を明らかに連想させるデザインの服を販売・使用することなどに対して、ナチス的・白人至上主義的と批判・抵抗を示すことは理解できるが、このような行き過ぎた差別意識の認定は、視点を変えれば差別意識のない人などを不要に批判するという、別の意味での差別のようにも思える。このような行為は結果的に不要な疎外感を生み、分断を深刻化させるだけではないだろうか。闇の深さが如何にもアメリカ的だと感じさせられる話だ。