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過度な競争が生むもの


 3/24のMXテレビ・モーニングCROSSで新居日南恵氏が待機児童問題について、母親たちがネガティブ競争をさせられている現状と、それが生み出す悪い影響について語っていた。行政が保育園に入れるべき家庭・児童の優先度を計るために、様々な条件を点数化している現在のシステムなどが、母親(とは限らないが便宜上こう表現した)が自分の置かれた状況の不幸度をアピールし合うような状況を作り出している側面があり、ギスギスした状態をある意味では煽っていると話していた。


 資本主義社会では、基本的に経済的な自由競争を重視するべきだと考えられている。ソビエトの崩壊、中国の資本主義経済導入などを考えれば、ある程度競争があったほうが社会的には健全なのかもしれない。しかし世界中で経済格差が恐ろしいほど開いていることなどが、社会不安の理由の一つになっている反面、北欧の国々では高税率・高福祉によって社会の安定が成り立っていることを考えると、競争が激しすぎることも望ましいとは言えない。ここ数年イスラム系過激派やそれに感化された人々によるテロが大きな問題になっている。この問題は宗教間の対立と見る人もいるが、イスラム系過激派に感化される人の多くが経済的に充実していない人達だということを考えると、経済格差問題が宗教の対立という皮を被っているだけなのかもしれない。

 先進国と途上国・新興国の間にはどう見ても経済的な格差がある。その格差の理由は様々だが、先進国の多くは近代以前の宗主国、途上国・新興国は植民地だったという歴史的な事情があり、それがそれらの国々の現在の経済状況にも大きな影響を与えていることは事実である。さらに先進国の中でも経済的な格差は開く一方なので、そのような状況が”一部の人間が自分たちの利益だけを考えて、世界や国のシステムを構築している”と感じる人を多く生み出しているのだろう。これでは対立・分断が生まれるのも仕方がないのかもしれない。

 テロだけにもう少し的を絞って考えてみる。テロが自国に持ち込まれることを防ぐという理由で、移民・難民を制限・禁止しようという考えやイスラム圏の数か国からの入国を禁止しようとする考えは、結局移民をルーツにもつ人々やイスラム教徒の反感を買う恐れを考えれば、テロを防ごうとしているようで、自国内にテロの種を撒いているようなものではないだろうか。例えば、9.11をおこしたアルカイダに対してや、核やミサイルをアピールし脅しをかけるような態度の北朝鮮当局に対策をとることはまだわかる。しかしイスラム教徒なんて大きすぎる括りで制限をかけようとすること、移民・難民についても現在制限・禁止しようとすることは、現在それを目指す勢力は差別を行う恐れが強すぎる為、反動が大きすぎて有効な対策とは思えない。

 要するに大きすぎる経済格差がテロなどの社会不安の大きな理由になっており、それに対して分断を煽るような政策を行うことは、火に油を注いでいるのと同じことなのだと思う。

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