朝はほぼ毎日、東京MXのモーニングCROSSを見ている。報道的な話題を多く取り扱っているのがモーニングCROSSを選んで見ている理由だ。民放キー局朝番組のようなワイドショー的なバラエティ感が薄く、芸能情報コーナーも短い。毎日異なる3名のコメンテーターが出演し、他の番組ではあまり見かけない若手の企業家なども起用されている。その点も他局の番組よりも興味を惹かれるポイントだ。朝の番組に限らず、キー局の報道・ワイドショー系番組で見かけるコメンテーターは、どこも元政治家や報道機関の責任者などばかりだ。扱うネタが政治関連ならば、内幕に精通する彼らが多く起用されることも仕方がないとも思うのだが、「へぇー」と納得させられる一方で、結局扱うネタと同じような世界に生きている人々の話は「世間一般の常識とは少し違う」と感じさせられることも多い。ネット以前は、意地悪に表現すれば、所謂”有識者様の有り難いお話”に視聴者が疑問を持つことは少なく、それが世論の実態という認識を持つ人が多かったのだと思うが、近年は徐々にその感覚は失われつつある。
ネット以降、特にSNS普及以降、テレビ局・新聞社の世論・意識調査に頼らなくても、実態を忠実に反映しているかは別として、世間の意識のようなものを知ることが出来る様になり、有識者の持つ影響力が相対的に低下したのだと思う。そんな状況もあり、ここ数年は視聴者的な目線をアピールしたい、視聴率を少しでも上げたいという思惑があるのか、芸人をはじめとしたタレントを起用する傾向も強くなっている。特に日本テレビはワイドショーだけでなく、報道系の番組にもジャニーズのタレントなどを起用している。個人的にはワイドショーならまだしも、報道系番組にバラエティやドラマなどに積極的に出演するようなタレントを起用する姿勢は好きではない。これは完全に好みの問題でもあるが、シリアスな報道番組は報道に専念している人に伝えてもらいたい。
そのような観点から考えると、モーニングCROSSのコメンテーターは有識者に偏ることなく、タレントで表面的に視聴者の気を惹こうとするでもなく、キー局の番組より好感が持てる。しかしそれでもコメンテーターに選ばれる人は、若手でも起業家や学者などで所謂 被雇用者などの大多数の一般人とは「ズレがあるのかな」と感じることもある。テレビという大きなメディアの出演者なので、それなりの肩書や専門的な視点が必要であることは当然理解している。やはりそれでも大多数の一般人の声とは少し異なるようにも感じられてしまう。それはツイッターなどのSNSで多く意見を目にすることが出来てしまうから感じるのかもしれない。どうやっても完全に大多数の一般人の声なんてものを反映させられないことも勿論分かっているし、このように感じられてしまうことは良くも悪くもテレビというメディアの特徴だということも分かっている。しかしどうしてもテレビは公共の電波を使って特別な人たちの意見を広めるメディアというイメージを感じてしまう。