テレビなどで、”ホームページ”という誤用から始まった和製英語が公然と使用されている。このホームページという表現が当然のように広まることは個人的にどうも釈然としない。日本人がホームページと表現しているものは、英語で表現するなら”Web Sight”が適当だ。英語で”Homepage”が意味するのは、Webサイトを開いた時に一番最初に表示されるWebページ、もしくはWebブラウザを開いた時に最初に表示されるように設定したWebページのことだ。日本ではWebサイトで最初に表示されるページをトップページと呼び、Webブラウザを開いた時に最初に表示するページをスタートページなどと呼んだりするが、どちらもホームページという言葉の誤用からさらに生まれた和製英語だと思われる。Wikipediaでホームページの項目を見てみると、誰が書いたのか「日本や一部の国では定着しており誤用とは言えない」というような解説がなされているが、一部の国とはどこを指すのかも書かれておらず、イギリスやアメリカなど英語表現を判断する上で大きな基準となるような国で、正しくニュアンスが伝わらないのに誤用とは言えないという見解は果たして妥当と言えるだろうか。
日本語には、英単語を使って日本人が独自に作った表現・和製英語が多く存在するのは事実だ。80年代以前のような、正確な英語表現に関する知識を一般大衆が手に入れるのが容易ではなかった時代背景から、和製英語が生まれたことはある程度仕方がないことだし、日本国内に外国人が増えネットも普及した現在でも、元々英語圏にない表現を英単語の組み合わせ表現する場合などに生み出される和製英語など、その全てを否定する必要があるとは思わない。ホームページはホーム=我が家というニュアンスから、ホームページ=自分たちのWebサイトのような誤解が生まれたという見解がある。また、Webやサイトという単語よりもホームやページという単語の方が簡単な単語だったから日本人が理解しやすかったという見解もある。ただ、だからと言って、「ホームページという和製英語はもはや誤用ではない」ということにはならないし、テレビや新聞が誤用であるホームページという表現を積極的に使用するべきではないと個人的に感じる。もしWebサイトという表現が日本で全く通用しない単語であるならば、ホームページという誤用表現を使用することも仕方がないとも思うが、以前、クレジットカード会社のCMで使用されていた「つづきはWebで」という表現はほとんどの人が意味を理解できていたと思うし、オフィシャルWebサイトという表現も同じく意味が伝わる表現であることから、現在ホームページと表現しているところを、正しい英語を元にしたWebサイトという単語に全て置き換えても、ほぼ不都合がないということが言えるからだ。
先にも述べたように、ネットが普及し海外の情報を手に入れることが容易になった現在、文学的な表現であえて和製英語を使う場合などを除くとしても、正しい英語とは異なる和製英語をわざわざ使うことが、観光立国になろうという状況や国際交流のために英語能力を高めた方が良いという現状にとって好ましくないのは明らかだろう。確かに車のボンネットと(エンジン)フードなどイギリス英語とアメリカ英語でも表現の異なる単語もあったりはするが、それは共に英語の中の話で、日本語の方言のようなものだ。和製英語が滑稽に思える理由は、逆の立場で考えたらよく分かると思う。もし、アメリカ人が”着物”という単語を日本独自の服装と広義で捉え、原宿系・いわゆるカワイイ系の服装まで”Kimono”なんて呼ぶようになったら日本人は大きく違和感を感じると思う。この例えはあまり上手いとは言えず、変な誤解を生まないかどうかについては少し心配だが、個人的には80年代以前から普及してしまっている和製英語は仕方ないとしても、不必要に今以上に和製英語を増やすべきではないと感じる。その為に大手メディアはそういった表現に対して寛容すぎるべきではないと思う。