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北朝鮮情勢をめぐる演出


 4/15は北朝鮮では国家建設の父(初代独裁者)・金日成の誕生日として祝日になっているらしい。今年は金日成生誕105周年らしい。北朝鮮当局は金正恩体制になってからミサイル発射・核実験を頻繁に繰り返している。それらは政治利用を目的に北朝鮮の祝日や他国の外交的な活動が行われる期間などに合わせて行われてきた。米国の北朝鮮監視を行う組織などによれば、ここ数週間核実験を行う兆候が確実にあるようだ。さらに米大統領は、場合によっては独自に北朝鮮への武力行使する可能性について言及し、アメリカの大手メディア・NBCは核実験の動きがあれば、アメリカの先制攻撃もありうると報じている。と言うように、現在の朝鮮半島情勢は明らかに緊迫感が高まっているし、4/15に何かが起こりそうだという憶測が広まっていた。


 日本の各メディアも当然のようにそのことについて報道を行っている・いたのだが、テレビ、特に民放各社のこの件に対する取り扱いについて少し気になるところがある。日本の報道系の情報を扱う番組には、明確な区別はないが、NHKニュースのようなシリアスな報道番組と、新聞で言えばスポーツ新聞のような所謂ワイドショー系番組がある。ワイドショー系の番組はシリアス系番組よりも演出が多く含まれており、同じ題材を扱う場合でも、よりスポンサーを意識して視聴者の目を惹き、視聴率を獲得することを重視しているように思う。批判的に言えば報道皮を被ったバラエティ番組のようなものだ。現在の緊迫する朝鮮半島情勢について、今週はどの番組でも多くの時間を割いていた。事案の重要度や視聴者の関心度からしてもそれは妥当と感じられた。しかし、特にワイドショー系番組で、まるでハリウッドの戦争映画のような緊迫感を必要以上に煽るBGMをつけたり、各国の指導者たちを映画予告編のように紹介する映像を使ったりすることには、大きな違和感を感じる。しかもワイドショー系の番組だけでなく、どちらかと言えばシリアスなイメージの報道番組(自分のこれまでの認識が間違いだった恐れもある)でもそのような演出を行う番組をちらほら見かけるのは非常に残念だ。

 そのような演出について”不適切で行うべきではない”とまで言えるかどうかは自分には判断がつかない。しかし必要以上に視聴者の不安を煽るような姿勢で実際の国際情勢を公共の電波を使用して伝える行為は、少なくとも好ましいとは思えない。事態の深刻さが増しているのは明らかだが、それを伝えるために映画的な演出が必要だとは自分には思えない。一部の番組でと言うのなら仕方がないとも思えるが、多くの放送局・番組でそのような演出が行われていることを考えると、抑制も必要ではないかと思える。インターネットの普及により徐々にテレビ(地上波)放送の持つ影響力が低下していることは事実だが、それでもインターネットを無料で利用できる環境が整っているとは言い難い日本では、受信機さえあれば誰でも無料で情報が入手可能なテレビ放送にはまだまだ大きな影響力がある。そんなメディアが、報道に関して過剰な演出を行うとどういうことに繋がるかを今一度考え直してもらいたい。

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