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失言の原因は組織の体質か


 今村復興相、山本地方創生相が相次いで不適切な発言を行い、短期間で撤回謝罪を行うというような事案が続いているのにも関わらず、自民党内には「他人の振り見て我が振りなおせ」という言葉を認識している人がほとんどいないのだろうか。今度は古屋選対委員長がフェイスブックで野党系候補の公約に対して「市民への詐欺行為にも等しい沖縄特有のいつもの戦術」という批判を投稿した。これは自民系推薦の現職を応援するコメントの一部で、共産・社民推薦の候補の主張を「何でも反対、全く財源の裏付けのない無責任な公約」と批判した上でそれを揶揄したものだ。昨日投稿した山本大臣の件でも”政権与党内に構造的な問題があるから、こういった問題発言が繰り返されるのではないか”と書いたが、首相・官房長官らは古屋氏のコメントについてどう感じるのか、どんな反応をするかがとても興味深い。


 自分には、古屋氏の批判は要約すると「詐欺的で無責任な公約は沖縄特有」と言っていると思える。重箱の隅をつつくようなツッコミを入れれば、今回の選挙に限らず自民推薦の候補者にも沖縄出身者はいるだろうが、彼らも同じように沖縄特有の無責任な公約を掲げているのか、などを思いつくのだが、そもそも”無責任な公約は沖縄特有”なのかということはかなり大きな疑問だ。と言うのも、詐欺的な無責任な公約を掲げていない政治家の方が珍しいんじゃないかとさえ思う。旧民主政権だって公約はほとんど実現できていなかった様に感じるし、古屋氏が所属する現在の自民党政権だって既に長い期間政権を担っているが、成立前に掲げた公約の内のどれほどを実現しているのだろうか。野党時代にはTPP断固反対なんてポスターを掲げていたのに、いざ安倍首相が就任したら賛成に手のひらを返し、更に”(党は断固反対と言っていたいたけど)首相自身は一度も断固反対なんて言ってない”としたり、必ず行うとしていた10%への消費増税を撤回した時も”新しい判断”なんてごまかそうとしてるとしか思えない発言をしてみたり、現政権・自民党も詐欺的は言い過ぎかも知れないが、少なくとも無責任な公約を掲げていたと表現することが全くの見当違いだなんて口が裂けても言えないはずだ。こういうと自民党の人々は”道半ば”だとか言ってはぐらかすだろうが。

 古屋氏のコメントは、昨日の話の繰り返しになってしまうが、結局自民も野党も五十歩百歩だということを、自らクローズアップするようなものでしかないということだ。大体、詐欺行為に等しい公約が沖縄特有だなんて発言に、沖縄の人々が共感し自分たちが推薦する候補に投票してくれると思っているのだとしたら相当勘違いをしている。そんな人が選挙対策委員長なんて立場に就いている党や、党の総裁は何をしているんだろうか。一向に解決しない基地問題に火に油を注いで、沖縄と国の対立をもっと激化させようとでも思っているのだろうか。

 朝日新聞によれば、古屋氏の件が話題になったのと同じ日に安倍首相は、銀座の商業施設のオープニングセレモニーでの挨拶で、「(全国各地の名産品を集めた売り場を紹介する原稿を読み上げて)この原稿には残念ながら山口県の物産が書いてありませんが、おそらくあるんだろうと思います。よく私が申し上げたことを忖度していただきたい」という発言をしたらしい。彼の冗談のセンスの無さには本当に辟易する。トップがこうなのだから内閣・党内で問題発言が続くのにも頷ける。彼の態度からは森友学園問題に関しても”このまま時間が経てば、国民の関心は他に移るのでもう冗談にしても問題ない”という思いが滲んでいると思う。野党や自民非主流派がだらしないからこういうことになるのだろう。だが日本には諸行無常という考え方もある。こんな状況がこれからも永遠に続くとは思えない。諦めずにそう信じ、おかしいことにはおかしいと言い続けるしかない。

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