スキップしてメイン コンテンツに移動
 

政党と議員


 都議会選挙を控え、民進党からの離党者が続出していることが話題になっている。都議会では離党者を出しているのは民進党だけでなく議会最大勢力の自民党も同様なのだが、離党のタイミングなどから現在は民進党の方がこの件で大きく扱われている。また民進党は同じタイミングで国政レベルでも離党者や党の中央から距離を置く人が出ていることもあり、よりクローズアップされているのだろう。民進党を離れる議員・候補の多くは小池都知事が中心となる都民ファーストの会に合流するようだが、率直に思うのは、選挙寸前に不利と見られる勢力を見限り、有力とされる勢力に鞍替えすることは、日和見主義的で結局政策だとか主義だとかより、自分の当選だけが重要だ思ってるように見えるということだ。


 人間は周辺の状況・影響や、新しい思考・論理などを知ることによって考え方が変わることがあって当然だと思う。だから個人の主義主張が変容したなら、所属政党を変えることも自然なことだ。ただ、選挙寸前というタイミングで政党を変えるということは、優しい目線で考えても当選の為に主義主張を変えた様に思えるし、厳しい目線で考えれば元々その人には信念といえるような主義主張なんてない、言い換えれば政策を実行する責任感もないのではないかと思える。そんな風に思われたら鞍替えしても結局当選からは遠ざかるのではないだろうか。それでも当選するのなら、投票する側にも実は主義とか主張などはなく、コネとか投票することで優遇されたいという損得勘定しかないのかもしれないとも感じる。

 そもそも政党は主義主張が同じ人が集まって、その主義主張に基づいた施策を実行し易くする為に集まるもので、当選の為に主義主張を合わせて集まるものではない。それでは本末転倒だ。政治家になることが目的なのではなく、理想の社会を実現する為、その手段として政治家になるというのがあるべき姿だろう。

 政党は主義主張が同じ人の集まりだと理解しているので、都民ファーストの会についてもどうも釈然としない。それは会の代表的存在である小池都知事は未だに自民党に籍を置いたままだからだ。小池都知事が自民党員でありながら都民ファーストの会を運営するなら、自民党と都民ファーストの会は、国政における自民党と公明党のように考えの近い存在であるはずだろう。しかしどう考えても知事の就任以降、都知事と都議会自民党は完全な対立状態だ。小池都知事が東京オリンピック・豊洲市場移転問題などについての議論を始めたことについて、人によっては「問題を掻き回しているだけ」と言う人もいるが、自分は、問題の落とし所が未だに見えないことについては疑問を感じつつも、今まで表沙汰にならなかった問題を掘り起こしたという点では石原都知事以来の自民系都知事よりは確実にマシだと思う。しかし自民党から離党しない姿勢については好ましいとは思えない。

 結局、小池都知事も民進党を離党して都民ファーストの会に合流する議員・候補も、政党を本来の政党の趣旨とは関係なく、自分の当選や政局の為に利用していると思う。それは彼らだけではなく、自民党を始め全ての政党に一定数、主に当選の為に党に所属している政治家がいると感じる。自分の言っていることを、一部の人は青臭い馬鹿正直すぎる話と言うかもしれない。確かに自分でもそうとも思う。あからさまに当選の為に政党を鞍替えするのはどうかと思うが、公約・政策を実現する為にはある程度は前述のような振る舞いも必要なのかもしれない。

 話を冒頭の民進党議員の離党続出という話に戻すと、離党する民進党の議員たちには、今の求心力のない民進党、野党として役割を果たせているとは言えない民進党を自分たちが変えていくという姿勢を見せて欲しかった。個人的には自民党あまり好きではないが、その歴史の長さもあってか、自民党には党内に問題があってもそれを修復しようとする勢力が育つという、所謂再生能力のようなものがあるように思う。民進(民主)党は初めてとった政権が、リーマンショックの影響が色濃く残る状況で震災が発生するなどの不運なタイミングであったこともあるが、それを差し引いても散々な結果でこれと言った結果が残せず失敗したこと、その歴史の浅さ、党員の結束が元々弱かったことなどが災いし、政権の座を譲った後の散々な状況を未だに立て直せていないことを考えたら、党員たちが自分の主義主張の為に政治家であり続けようと、選挙を機に民進党を見限って新しい道を模索しようと考えるのもある意味では理解できる。ただ、その移籍先が、代表者の党籍が別の党にあり、これから何をしようとしているのかが必ずしも明確だとは言えない都民ファーストの会では、都民ファーストの会が順調に今回の選挙を終え、数年後に国政に進出したとしても、さらにその数年後には、結局いわば第二の民進党のような勢力になってしまうのではないかと思えてしまう。

このブログの人気の投稿

話が違うじゃないか

 西麻布に Space Lab Yellow というナイトクラブがあった。 一昨日の投稿 でも触れたように、日本のダンスミュージックシーン、特にテクノやハウス界隈では、間違いなく最も重要なクラブの一つである。自分が初めて遊びに行ったクラブもこのイエローで、多分六本木/西麻布界隈に足を踏み入れたのもそれが初めてだったと思う。

マンガの中より酷い現実

 ヤングマガジンは、世界的にも人気が高く、2000年代以降確立したドリフト文化の形成に大きく寄与した頭文字Dや、湾岸ミッドナイト、シャコタンブギなど、自動車をテーマにしたマンガを多く輩出してきた。2017年からは、頭文字Dの続編とも言うべき作品・MFゴーストを連載している( MFゴースト - Wikipedia )。

読書と朗読を聞くことの違い

 「 本の内容を音声で聞かせてくれる「オーディオブック」は読書の代わりになり得るのか? 」という記事をGigazineが掲載した。Time(アメリカ版)の記事を翻訳・要約した記事で、ペンシルベニア・ブルームスバーグ大学のベス ロゴウスキさんの研究と、バージニア大学のダニエル ウィリンガムさんの研究に関する話である。記事の冒頭でも説明されているようにアメリカでは車移動が多く、運転中に本を読むことは出来ないので、書籍を朗読した音声・オーディオブックを利用する人が多くいる。これがこの話の前提になっているようだ。  記事ではそれらの研究を前提に、いくつかの側面からオーディオブックと読書の違いについて検証しているが、「 仕事や勉強のためではなく「単なる娯楽」としてオーディオブックを利用するのであれば、単に物語を楽しむだけであれば、 」という条件付きながら、「 オーディオブックと読書の間にはわずかな違いしかない 」としている。

あんたは市長になるよ

 うんざりすることがあまりにも多い時、面白い映画は気分転換のよいきっかけになる。先週はあまりにもがっかりさせられることばかりだったので、昨日は事前に食料を買い込んで家に籠って映画に浸ることにした。マンガを全巻一気読みするように バックトゥザフューチャー3作を続けて鑑賞 した。

敵より怖いバカな大将多くして船山を上る

 1912年に氷山に衝突して沈没したタイタニックはとても有名だ。これに因んだ映画だけでもかなり多くの本数が製作されている。ドキュメンタリー番組でもしばしば取り上げられる。中でも有名なのは、やはり1997年に公開された、ジェームズ キャメロン監督・レオナルド ディカプリオ主演の映画だろう。