北朝鮮はミサイル発射の頻度を更に増し、核実験の準備も再度行っているという見方が強まっている。これに対して米大統領が武力行使の可能性について言及し、また実際に空母を近海に派遣するなどの威嚇と思える動きをとっている。要するに日に日に東アジアの緊迫感が高まっているということだ。政府は2015年に成立させた集団的自衛権を容認する安全保障法制に基づき、米艦防護を海自に支持したことを4/30に明らかにした。北朝鮮が不適切に核開発・ミサイル開発を強行していることがこの緊張の最大の要因であることは疑いようのない事実だし、今まで平和的な外交手段では良い方向に向かわなかったことも事実だ。だが我が国は憲法で紛争の解決手段として武力の行使だけでなく武力による威嚇も放棄しているのに、主体的に北朝鮮を威嚇しているのは米軍だが、威嚇を補助するような形で日本の艦船が随行することにはやや疑問を感じる。米軍の最高司令官である米大統領が、自分に都合の悪いことは嘘であると言い、また自分に都合の良い話は嘘とも思える程に誇張して表現する人物であることも、北朝鮮の脅威という事情があっても、集団的自衛権を大義名分にして米軍に自衛隊がベッタリになることに、懸念を感じざるを得ない理由の一つだ。
4/29の朝に北朝鮮がまたミサイルを発射したらしい。今回は日本海など海洋にも届かず北朝鮮国内で落下したらしい。メディアによっては失敗だとの見解もあるし、わざと落としたとの見解もある。ミサイル発射に際して東京メトロなどの一部の鉄道で安全確認の為10分程度の運行停止があったそうだ。これについても「もしもの為にはこのような対策が必要だ」という人もいれば、「不要に不安を煽ることになるので必要ない」という人もいる。不必要論を主張する人の何人かは北朝鮮と国境を接する韓国のメディアが「日本は大袈裟だ」と報じていることなどを論拠にしている。個人的にはやや大袈裟かとも思いつつも、10分程度の安全確認ならしておいた方が良いのかもとも思う。不安を煽るという話もあるがそれは最初だけで、定着すれば、ミサイル発射による安全確認が定着するような状況は確実に好ましくないのだが、必要以上に不安を煽られる人もほぼいなくなるだろう。
それよりも個人的に疑問に思ったのは、北朝鮮のような攻撃姿勢を崩さない国がすぐ隣にあり、それに比べれば現在は緊急な不安要素はないが、微妙な関係が続いている中国もあり、更にそれより危険度は低いがロシアも日本の目と鼻の先にある。隣国と日本の関係が悪化し攻撃を受ける状況になった時、原発が攻撃対象になる可能性は大いにあるだろう。率直に原発は核攻撃を受ける懸念と同種の懸念を自ら抱え込んでいると言えるのではないかと感じる。現状は原発再稼動が反対意見も少なくない中で、徐々にではあるが認められる方向に動いている。自然災害についての対策の程度についての可否は論じられているが、果たして攻撃目標になることについての対策はどの程度考えられているのだろうか。対策は論じられているが話題にならないだけならよいのだが、そんな風には全く思えない。
例えば鉄道ならミサイル攻撃があったら運行停止して被害を最小限に抑えることが出来るだろうが、原発はミサイル攻撃があってもすぐには止まらない。迎撃ミサイルがあるという人もいるかもしれないが、迎撃ミサイルの精度や対応も100%ではなく、全ての攻撃を防げるわけではないと複数のメディアが既に報じている。再稼動どころか原発があること自体がリスクだと言えそうでかなり心配になる。廃炉にするにも数十年単位の時間が掛かるそうだし、原発が実用化されてから今までは日本周辺で大きな武力衝突はなかったが、これからもそうだという保障はどこにもない。ミサイル発射で鉄道を止める必要があるなら、原発はどうするべきかを真剣に考えなくてはならないのではないかと思う。