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国交省の場当たり的な対応


 外国人観光客などを中心に公道走行可能なレンタルカートの事故が増え問題になっていると複数のメディアが5/9に一斉に報じている。国交省がこの件でカートのレンタルを行っている業者に安全対策を申し入れたことが、一斉に報道された背景にあるのだろう。MXテレビ・モーニングCROSSによると、国交省は「カートにシートベルトを設置することや他の車から良く見えるようにすることなどを検討し、警察とも連携していく」としているらしい。事故対策や事故が起こった際の乗員の安全対策が必要なことは間違いないし、検討段階だということは理解しているが、カートにシートベルトなんて発想はいかにもこの分野に詳しくない人の安易な発想という印象を持たざるを得ない。


 カートがどんな乗り物か、一応4輪の小排気量車ではあるが、車体はバイクと同じようなサイズ感で乗員が車体に覆われず剥き出しであることもバイクと同じだ。時事通信によれば「道路交通法上は自動車に分類され、ヘルメットは不要。道路運送者両法上は原動機付き自転車に該当し、シートベルトの装備装着義務はない。」ということになっているらしい。個人的にカートは自動車よりもバイクに限りなく近い乗り物だと思っている。普通の自動車は曲がるのに乗員の重心移動は必要ないが、バイクは重心移動が重要になる。カートはバイクほどではないが、ボディやタイヤ径の小ささから重心移動は確実に必要で、シートベルトはその足枷になりかねない。またバイクにシートベルトがないのは事故が起きた際に車体に乗員が固定されていると、乗員の負傷がひどくなる恐れがあるからだ。カートもバイクと同様乗員を保護する屋根やドアなどのシェルはなく、場合によっては車体に乗員が固定されていたほうが怪我がひどくなる恐れがある。それは公道以上に事故の危険性があり、公道以上に安全性に神経質なレース用のカートにシートベルトがないことからも明らかだ。

 このような理由で公道用カートにシートベルトを義務化することはナンセンスだと思うが、カートに乗車するならレースでなく公道でもヘルメットを着用するべきだと思う。義務化するべきかどうかは賛否両論あるだろうが、個人的には法律で一律にヘルメット着用を義務化する必要はなく、レンタル業者が自主的に利用客にのみ着用をレンタル条件に加えればよいと思う。なぜなら何でもかんでもとりあえず法規制という風潮には疑問を感じるからだ。しかしレンタルカートの利用者は慣れていない初心者が多いことから事故が起こりやすいとも言える訳で、ならば業者の自主規制という形式で、(初心者である)利用者のヘルメット着用をレンタルの条件にしてしまうのが妥当な対策だと考える。

 「カートにシートベルトを設置することや他の車から良く見えるようにすることなどを検討」というが国交省の見解なのだが、シートベルトについては前述の通り、他の車からーーという点も、カートに限った話ではなくかなり昔から原動機付き自転車、所謂小型スクーターについても同じような話があり、今改めて公道用カートだけの問題であるかのように国交省が見解を示したり、マスメディアが報じているのには違和感を覚える。この報道の一連の流れから感じるのは、国交省の場当たり的な対応、国交省に交通問題の専門家が居るのかが怪しい、マスメディアは国家機関の見解を内容を精査せずそのまま流しているだけのスピーカーに見えるということだ。国交省にはもっと真剣な検討を期待したいし、マスメディアにもそれを促すような指摘が出来る体制を期待したい

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