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有給休暇取得率を上げるには


 有給休暇の取得を促す為の方策として、子供の夏休みの一部を別の時期に移し、土日と合わせて1週間程度の連休を作り、親が一緒に休む(有給休暇をとる)ように仕向けようという”キッズウィーク”なる施策を早ければ来年度にも導入しようという案を政府が示したようだ。個人的にはプレミアムフライデーに続く実効性の薄い施策になる気がしてならない。今年の2月に導入されたプレミアムフライデーも注目されたのは最初の2月だけで、しかも当初から「自分には関係ない」という声も多く聞かれた。たった3回で施策が全く実効性が無かったと結論付けるのは少々、時期が早いかもしれないが、年度末の3月は仕方が無いとしても、4月はゴールデンウィークとも絡むような施策盛り上げの好機だったのにも関わらず、報道も実際の街中でもプレミアムフライデーを意識させるような状況ではなかった。当然自分も「自分には関係ない」という状況の人間だ。


 キッズウィークなんてかたちで夏休みの一部を別の時期にずらしても、結局子供が休みになるだけで、親まで一緒に休むことにはほとんど繋がらないと思う。「やるだけやったほう方が、やらないよりはいいんなじゃないか」という考え方もあるだろうが、実効性の薄そうな施策について議論をしている時間があるなら、国会議員や官僚たちにはもっと他にやるべきことがあるだろうし、周知を図る為には予算が必要で、当然税金を投入することになる。財政健全化が急務であるとされているのに、無駄に使える税金など我が国には1円も無い筈だ。自分には、キッズウィークなんて考え方は政府や官僚の自己満足的なもので実社会の性質を正しく理解できていないとしか思えない。

 有給休暇取得を促進したいなら、年間の最低限の取得率を直接的に労働基準法に明記すればよいと思う。自分が小学生の頃は学校を休んで家族旅行なんて考えられなかったが、現在はそんな風潮は充分薄れているので、親が好きな時期に有給を取れば、子供を合わせて休ませられるだろう。キッズウィークなんて方式で地域別なのか、学校別なのかは分からないが休む時期を一方的に決められても、職種・業種によっては繁忙期と重なり休めない親も必ず出てくるはずだ。そして有給休暇を取れるようになるべきなのはなにも家族持ちだけではない。家族持ちが取れるようになれば全体にその空気が波及するという考え方も分かるが、そんなまどろっこしいことをなぜしたがるのか、それは出来るだけ雇用者を働かせたい企業側に配慮しているからだろう。

 そんなわけで自分にはキッズウィークなんて施策は検討にすら値しないものだと思う。ただ、今の政府はどうも自分たちが一度掲げたものが失敗だとか、間違いだとか認めることが出来ないようなので、また強引に推し進めるんじゃないかと思うと心配だ。

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