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旭日旗に対するイメージ


 4/25に韓国で行われたサッカー・ACLの川崎フロンターレ 対 水原サムソンブルーウィングスの試合で川崎のサポーターが旭日旗を応援で使用し、反発した韓国側のサポーターと一触即発の事態になったことを、ハフィントンポストなど複数のメディアが報じていた。この事態を受けて試合を管轄するAFCが規律委員会を開き、5/5のハフィントンポストの記事によれば、”AFCは川崎サポーターの行為が、人種、性別、宗教、肌の色などによる差別を禁じている倫理規定に違反したと判断。1年間の執行猶予付きでAFCが主催するホーム1試合を無観客試合とする処分に加え、1万5000ドル(170万円相当)の罰金を科した。”ということだ。執行猶予ということで、直ちに1万5000ドルの罰金を払い、次の試合が無観客試合ということではなく、もし1年以内に同様の事案が再発すれば、この罰則と更に追加制裁ということなのだが、個人的には要するに”旭日旗使用=状況に関係なく差別的なこと”と認める裁定で、処分が重過ぎるように思う。


 それぞれの記事のコメント欄にも投稿をしたのだが、まず自分の見解としては、「旭日旗を韓国や中国の一部の人々に配慮せず、韓国・中国関連の試合で使用することは好ましくないし、控えるべきだ」と思っている。現在の旭日旗の位置付け以前に、戦前・戦中、軍国主義だった日本が中国・韓国に対して侵略行為を行ったこと、当時旭日旗が日本軍で象徴的に使用されていたことは日本でも多くの人が知っている事だ。また、そういった過去を踏まえ韓国・中国で旭日旗に対する嫌悪感が強いことに対して、私たちが配慮するべきだろうことは、分別のある日本人ならば共感の程度に差はあれど完全に否定することは出来ないだろう。なので今回旭日旗を応援に使用した川崎のサポーターは記事によると「挑発の意思はなく、純粋な気持ちだった」と話しているようだが、そのような知識がないまま韓国へ応援に行くべきではなかったし、過去の歴史を考えれば”知りませんでした”で済む話ではない。挑発的な行為と言われても仕方ない。またACLの裁定を受けてフロンターレも「今回、私たちとしては、旭日旗に政治的又は差別的なメッセージは一切ないとお伝えしてきただけに、正しい認識が得られず残念です」というコメントを表明しているが、チームの立場は分かるがこれ以上余計に波風立てることがないように慎重に対応して欲しい。

 個人的にサポーター・チームに落ち度を感じる一方で、ACLの”川崎サポーターの行為が、人種、性別、宗教、肌の色などによる差別を禁じている倫理規定に違反”という判断にも日本人の持つ旭日旗への印象とはやや乖離があると感じる。戦前に日本による侵略行為があり、旭日旗が日本軍の象徴だったことは確たる事実だ。だが、旭日旗はナチスのハーケンクロイツ(鍵十字)と異なり日本が軍国主義化し侵略行為に及ぶ以前から国旗的な意味合いでも使われていたし、そのデザインは軍を意味する以上に、日の出を象徴するモチーフとして一般的なものでもある。確かにドイツではナチス以前から使われていた赤地に黒い十字デザインの旗も、赤・黒・十字という組合わせが赤地・白丸・黒い鍵十字のナチス党旗を連想させるからか、今ではほとんど使用されないという例もある。そして日本では戦前を美化するような印象の団体が好んで旭日旗を使用するということも事実だ。だが、個人的な考えでは、韓国・中国への配慮は当然必要だが、旭日旗の使用の全てが軍国主義賛美、差別を意図しているとは言えないと感じる。

 AFCには、”人種、性別、宗教、肌の色などによる差別を禁じ、サポーターが違反した場合、2年以上のスタジアムへの出入り禁止の処分、チームには2試合の無観客試合と1万ドル(110万円相当)以上の罰金”という倫理規定があるようだが、それでもチームが積極的に旭日旗使用を促してはいないこと、真意かどうかは分からないが当事者サポーターが「挑発の意思はなく、純粋な気持ちだった」とし、今後の観戦自粛を表明していることなどや、前述のような中国・韓国の人々と日本人の間にある認識の差なども考慮して判断すれば、AFCには明確に倫理規定違反があったとし、執行猶予ででも罰則を科すのでなく、厳重注意にとどめて欲しかった。一方だけでなく両国の国民感情に配慮すれば、それが丁度良い落としどころだったと思う。

 というのも、旭日旗=軍国主義賛美・差別の象徴としてしまうと、確実に日本の一部の人々が反発を強め、その中の一部の中韓に嫌悪感を抱いている人々がそれを理由に差別的な発言をすることを助長しかねないからだ。彼らはこの件がなかったとしても関係なく他に理由を探して差別的な発言をするだろうから、考慮する必要はないとも考えられるが、自分は彼らの差別的発言を圧倒的に嫌悪する一方で、旭日旗=条件なしに軍国主義賛美・差別の象徴という認識をそのまま受け入れるしかないとも思えないのも事実である。日本にも差別的な主張をする者がいるのと同時に、韓国にも不当な主張をする人々が一部にいるだろうし、中国でも同様だ。70年前の戦争で日本が加害者側であることは間違いないので、日本側が率先して配慮するべきだとは思うが、旭日旗=全てが軍国主義賛美・差別の象徴ではない、戦争だけをイメージしたものではないという認識が日本人の中にはあるということも主張はしておきたい。

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