イギリスでまた爆弾による自爆テロとされる事件が起きた。報道機関は犯人はリビアからの移民の2世だと伝えているが、それ以外の人物像についてはまだ何も出てこない。単純に当局の発表をそのまま伝えているだけかもしれないが、犯人が移民2世であることを強調する必要性があるのかどうか自分には疑問で、そこには無意識の悪意のようなものがあるような気がしてならない。極端な話をすれば、現在アメリカに住んでいる人の多くを占めているのはヨーロッパからの移民の子孫だ。イギリスでのこの事件の犯人について移民2世だと強調するべきなら、アメリカで起こる白人による犯罪の全てはヨーロッパ各国からの移民の子孫が起こしたと付け加えるべきではないだろうか。馬鹿馬鹿しい話をしていることは自分でも理解している。アメリカ大陸には元々白人は居なかったのだから、そこで白人が起こすことの全ては移民の子孫以外が起こせる筈が無い。要するに移民の子孫による犯罪と言うのは、アメリカで起きる全ての白人による犯罪行為に当てはまることだから強調する必要も無い。だが、だからイギリスで今回起きた事件の犯人についても”リビアからの移民の子孫”と強調することが、自分には必要性の薄いことと思えてしまう。一応付け加えておけば、この事件についてもISが後追いで犯行声明を出しているが、いくつかの報道機関はイギリス当局はISとの関係性を示す証拠は見つかっていないとしており、それは消極的ながら移民の子孫だから事件を起こしたというイメージを抑制する為の情報のようにも見える。
当局や報道機関が事実を伝えているだけというスタンスであることは理解している。また、この移民の子孫による犯罪という情報を見ても、移民や難民に対する弾圧や差別的行為を行わない人は当然いるだろう。しかし一方でそれが強調されたことによって移民や難民を嫌悪する感情をもつ人がいることも事実だ。この件で言えば、自分は日本の報道機関の報道しか見ていないので、もしかしたら他国では違うのかもしれないが、複数の犯人像のうちの一つとしてリビアからの移民2世という情報が伝えられたのではなく、それしか伝えられていないという状況に無意識の悪意を感じてしまう。彼が爆弾自爆テロに至った経緯の中で最も重要な要因が移民2世だったことのように感じられてしまうからだ。それは他の普通に生活している移民2世や3世達にとっては、ある意味で差別的でもあるし、不当な差別を煽る行為でもあるように感じられるのではないだろうか。
差別を主体的に行う人が最も悪いことは言わずもがなだ。しかし大きな影響力を持つ報道機関や政府当局は極力それを抑制するように、意識的に努めなければならないのではないだろうか。