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中野ブロードウェイ・アダルト店ゾーニング問題に関する考察

 しばしば問題化するアダルトコンテンツのゾーニング。何が良くて何が悪いかを判断するのはそう簡単ではない。それぞれのケースによって、またそれを見る側の立場によっても、判断は分かれるだろう。


 近年しばしば話題になってきたのが、コンビニにおける成人向け雑誌や書籍等の取り扱いだ。数年前から老若男女が利用するコンビニの、誰もが目に付く場所に成人向け雑誌等を置くことは不適切だ、という主張が一部で行われ、その結果、セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートの大手3社が2019年でその取り扱いを止めた。
 それについては2019年1/24の投稿で書いた。コンビニや本を売る側は、立ち読みできないようにしたり、性的な表紙を隠すなどの対応をしてきたが、それでもその種の批判は止まず、個人的には、不快だからどけろ、と言っているようにしか思えなかった。コンビニ側は「女性やお子さまのお客様に、安心してお買い物をしていただける店舗づくりをさらに進める」「2020年のオリンピック・パラリンピック、2025年の大阪万博等の開催を控え訪日外国人の大幅に増加している」ことなどを取り扱い中止の主な理由としていたが、そもそもその種の本の売れ行きはWebコンテンツに推される形で縮小していたのは明らかで、十中八九売上減少も取り扱い中止の理由だっただろうに、それに言及されることはなかった。
 個人的には、コンビニが成人向け雑誌等を置くことにそれ程大きな問題があるとは思えない。ゾーニングは必要だが、子どもが立ち読みできない、表紙を見られないようにする対応で充分だったと考える。子どもが性的なものに興味を抱くのはそれ程おかしいことではないし、全く見えなくする漂白はやり過ぎだとすら思う。厳しすぎる規制は別の問題を引き起こすことも考えられる。

 しかし一方で、2019年11/6の投稿で触れた、成人向けゲームの巨大な屋外看板広告が秋葉原に設置され件は許容し難い。性風俗等成人向けの店舗が並ぶというニュアンスでの歓楽街ではない、それこそ万人が往来する街角に、乳首や局部の描写はなくとも明らかに性的なイラストをデカデカと掲載することは、許容できる範囲を超えている。当時も書いたが、例えばゲーム店の店頭にA1サイズのポスターが貼られている、程度ならまだしも、数メートルサイズの巨大看板なら話は全く別だ。これは、不快に感じる人が少なくないから不適切だ、が通用するレベルの配慮のなさだろう。


 昨日、再びアダルトコンテンツのゾーニングに関する話が話題になっていた。中野ブロードウェイに店を構える女性向けのポップな古着店・Spank!の向いの区画に、アダルトビデオ専門店が開店し、それに対して批判的な主張を当該店舗が行っていた。

ファンシーショップの向かいにアダルト専門店がオープン ネットで物議に - 芸能 : 日刊スポーツ

 古着店側の主張は、

  • 未成年も多く来るガーリーなファンシーショップとアダルトショップが幅1m95cmの通路を挟んで向かい合う立地は、お互いに何のメリットも無い
  • 店の業種によってはオープン前にそこが”適した場所かどうか”を考える必要がある
  • アダルトビデオ店のオープンを知った2週間、同店と管理組合に何度も相談したが、現状何も変わらなかった

ということだった。

 アダルトビデオ店の方はオープン直後であまり情報がないのだが、同じ系列のサブカル系ショップ同様に、通路に向けてショーケースを設置しており、そこに並べる商品は、あまりどぎつくないものを選んでいるようではあるものの、そのすぐ脇の入り口からは店舗内が丸見えで、配慮としては少し微妙な感じもする。

これらの画像は、まんだらけ禁書房のツイートSpank!のツイート より

 このアダルトビデオ店が、次の写真のような女性向け古着店の目の前にあるのは、確かに不適切とも言えそうだ。アダルトビデオ店が先にあって、その向かいに新しく古着店が出店したならそうとは言えないかもしれないが、状況はその逆なのだから。

Spank! | 中野ブロードウェイ

 但し個人的には、アダルトビデオ店の配慮の足らなさよりも、中野ブロードウェイには他にもいくつか成人向けの店舗が存在しているが、そのどれもが成人向けではない店舗と混在した状態にあり、ゾーニングに消極的なのは店子ではなく寧ろ館のほうなのではないか、つまり、この問題の原因と責任は館、つまり中野ブロードウェイにあるのではないか、と考える。

 しかしそれでも、古着店の方にも全く非がないとは言えないかもしれない。中野ブロードウェイは、1966年に開業した商業施設と集合住宅の複合施設で、商業施設部分は所謂雑居ビルの状態だ。Wikipediaには出展付きで、

開業当初は、1、3階がファッション、地階が生鮮食料品、2階が飲食店という区分けがあった。しかし、店舗区画は全て分譲されてそのテナントの決定権は個々の家主にあるため、構成は次第に無秩序となった

とある。これが実態に即した話ならば、一応管理組合はあるものの、基本的にはゾーニングを行うような管理はなされていない、のがかなり前から実状だったと言えそうだ。その現状を把握した上で古着店は出店したのだとしたら、アダルトビデオ店の新規開店に関して、苦言を呈することのできる立場ではないし、把握しないで出店したのだとしたら、それは出店前の調査が足りなかったと言えるのではないか。

 前述のように、中野ブロードウェイには他にも成人向け店舗があり、2Fにアダルトグッズを扱う、ぴゅあコレという店がある。この店がいつ開店したのかをざっと調べてみたが、詳しくはよく分からなかった。しかしFlickrに、「ぴゅあコレ 中野ブロードウェイ店 リニューアルオープン」という写真が投稿されていて、その写真の撮影日は2014年10/16になっている。ということは、少なくとも新規開店はそれよりも数年以上前ということになる。撮影日が正しいのかという懸念もあるが、その写真と一緒に投稿された別の写真には、「BABYMETAL LEGEND“2015”〜新春キツネ祭り〜 2015年1月10日(土) 18:00 さいたまスーパーアリーナ」「KNOTFEST JAPAN 2014 2014/11/15(土)・16(日)幕張メッセ」セブン-イレブン 文京神田明神下店」もあり、撮影日は恐らく改竄されていない。
 そして、そのぴゅあコレの脇には、絵夢という喫茶店があり、喫茶 絵夢も、その新規開店がいつかは詳しくわからなかったが、店構えから考えて、恐らく昭和期、遅くとも平成初頭にはオープンしていたであろうと推測できる。

 一方で、今回自店舗前の区画にアダルトビデオ店が新規開店したことに苦言を呈している古着店・Spank!は、オーナーのブログによれば、新規開店したのは2015年5/25だ。

Tavuchi 公式ブログ - Spank!中野店オープン‼︎ - Powered by LINE

 つまり、Spank!が中野ブロードウェイに出店した時点で、中野ブロードウェイでは成人向け店舗のゾーニングが行われていない状況だった。中野ブロードウェイに出店するということは、それを理解した上でのこととも言える。だとすれば、Spank!はアダルトビデオ店の新規開店に苦言を呈すことが出来る立場にない、とも言えるのではないか。

 勿論、Spank!が出店するに当たって、管理組合との間に、周辺区画への新規出店に関する情報は事前に伝える、などの取り決めがあったならその限りではないのだが、前述のSpank!のツイートやそれに連なる一連のツイートからは、そのような取り決めがあったとは考え難い。
 ただ、例に出したアダルトグッズショップ・ぴゅあコレは、前述のFlickrに投稿された写真からも明らかなように、通路から店の中が殆ど見えないような構造になっていて、周辺店舗への最大限の配慮が感じられるが、問題視されているアダルトビデオ店は、前述の通りそのような配慮があまり感じられない。人によっては殆ど配慮がないと評価するレベルかもしれない。

 それらのことを加味して考えると、どちらかが一方的に間違っている、落ち度がある、とは言えない、というのが、この投稿としての大まかな結論ではあるが、アダルトコンテンツを扱う店ならば、店舗の外から極力それが見えないような配慮をすべきだろう、とも感じる。


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