6/19に発表された報道各社の世論調査で、当然数値にバラつきはあるが、政権支持率は軒並み10%前後下落していた。国会会期終盤の加計学園に関するなりふり構わぬ強硬な姿勢や、どうやっても適切な説明が出来ていないとしか思えないのに強引な方法で成立させた共謀罪などで、不信感を抱く人が増えたと言うことだろう。政権成立以降常に高い支持率を維持している安倍内閣だが、集団的自衛権の容認という憲法解釈の変更を行い、安保関連法制を成立させた頃にも一度支持率が下がり、多くの調査で支持が不支持を下回ったが、その状態は一瞬で終わり、また支持率が回復しそのまま現在に至っている。恐らく今回の支持率下降傾向も一時的なもので、南スーダン日報、森友、加計、共謀罪などのことを国民は直ぐに忘れると思っているんだろう。今回は都議選が間近で、一地方選と言えど国内最大の地方選でもあるし、そこでどんな結果が出るのかには注目が集まる。自分は都民ではなく投票権が無いことをとても歯痒く感じる状況でもある。
共謀罪に関して捜査機関の恣意的な判断がされる余地があるのではないかということについて、以前にも都内の繁華街などで行われる、路上での職務質問について書いたことがある。そのような職務質問は対応するもしないも警察官に強制力は無いのに、対応を断ろうとすると、「直ぐ終わるのに対応しないのは、やましい事があるんじゃないか」というような姿勢で、職務質問を強制、時には数人の警察官で取り囲み(流石に取り押さえられることはないが、囲まれた状況でその場を立ち去ろうとすれば、体当たりせざるを得ない。それをしたらそれを理由に拘束するだろうから、実質的には拘束されているも同様だ)、場合によっては持ち物検査まで実質的に強要する。
大きな話題になっている加計学園の問題について、政府与党は「やましいことは何も無い」というスタンスだが、やましいことは無いはずなのに、所謂総理のご意向文書を探そうとしなかったり、実質的には探そうとしなかったなんて程度でなく、無理矢理隠そうとしていたとさえ思えるし、政府と異なる見解を主張する人がいくらかいるが、政府の見解が事実なら、彼らは政府与党に濡れ衣を被せ貶めようとしているのだろうから、やましいことがないなら、そういった主張をしている関係者を国会に招致して追及したほうが物事がハッキリするだろうが、何故か頑なにそれも拒んでいる。
前述のように警察という権力は市民に対して「やましいことが無いなら…」と任意対応であるはずの防犯のための調査協力を強要するのに、政府というもっと大きな権力が「やましいことが無いのに」疑惑について積極的な調査に協力していないのはとても矛盾しているように思う。政府が共謀罪をあれだけ適切だと声高に主張するならば、警察権力に任意対応であるはずの職務質問・持ち物検査などの実質的な強制を辞めさせるか、若しくは加計学園問題について積極的に調査・説明を行うことの、どちらかはその矛盾を解消する為に最低限する必要があると思う。個人的にはどちらか一方なんて生ぬるいことは言わずに両方を徹底的に正すことが最も好ましい、と言うよりごく当然のことであると考える。どちらも出来ない、と言うよりしない今の政府は都合の良い対応をしているとしか思えない。加計学園の問題は一見共謀罪とは関係ないことのように思えるが、その対応から現政府だけでなく、今後日本に誕生するどの政権も絶対に恣意的な運用を行わないとは言えないと裏付ける一つの要素になっていると強く感じる。