先日大手メディア各社が行った世論調査で、軒並み安倍政権の支持率が下がったという結果が出たことを例に、6/22のMXテレビ・モーニングCROSSで世論調査の数字についてコメンテーターの河合薫氏が、調査方法やその数字の信頼性などについて説明していた。同時に番組では「メディア各紙の世論調査 どれくらい信用していますか?」という設問を掲げ、とても信用している・すこし信用している・あまり信用していない・まったく信用していない、の4択で視聴者投票を行っていた。河合氏の説明した調査方法・設問の設定による調査の信頼性の差も興味深い話ではあったが、自分が注目したのは視聴者投票の結果のほうで、あまり信用していないが最も多かったのは予想通りだったのだが、次いで多かったのがまったく信用していないだったことに驚いた。
番組で示された結果は、
とても信用している 102票
すこし信用している 438票
あまり信用していない 852票
まったく信用していない 600票
だった。当然番組が違えば異なった結果が出ていたかもしれない。ただ、それを考慮してもまったく信用していないに投票する人の多さに驚く。この投票の質問はメディア各紙の世論調査について聞いたものだが、恐らくまったく信用していないに投票した人の一部には、世論調査に限らず大手メディア自体をまったく信用しないと答える人も含まれているだろう。そしてそのような人が含まれている、この投票でまったく信用していないに投票した人の多さを考えれば、メディアをまったく信用していないと感じている人もそれなりの数が存在するということだろう。
自分も大手メディアの報道を鵜呑みにするのは危険だと思うし、しばしば適切とは思えない表現を行っていたり、逆に取り扱うべきだと感じる案件をスルーしていたりということは、どのメディアがということではなく、全てのメディアにあるケースだと思う。しかし大手メディアの報道は全てが全て、若しくは殆どが商業的な利益だけを目的にしているなどの恣意的な理由で報道されている情報とまでは言えないとも感じる。
大手メディアをまったく信用しないということは、言い換えれば、自分が直接見聞きした情報以外は信じないと言っているようにも思える。そういう人はどこで社会情勢に触れるのだろうか。そこまででなくとも、大手メディアがまったく信用できないということは、大手メディアの報道=全て(若しくは殆ど)嘘、と思っているようにも思えるし、それでは大手メディアが扱った情報は全て嘘なので、それと同じ事を主張する個人的な情報発信も全て嘘とはならないのかと感じる。
流石に大手メディアの報道に関してそこまでの疑心暗鬼になっている人が、モーニングCROSSの視聴者投票の結果から推測されるような割合で存在しているとは思えない。ということは、まったく信用しないに投票した人の一部は、大手メディアの報道をまったく信用していないのではなく、自分にとって心地よい・都合のよい報道は信じるが、信じたくない報道内容ならば信じないと言っているように思える。もう少し彼らに歩み寄って表現しても、まったく信用しないと口では言うものの、実際にはまったく信用していないわけではない人が含まれていると言えると思う。
このような信じたいものだけを信じる傾向はネット上、特にツイッターなどで顕著に見られる傾向で、過激な物言いをすることに快感を感じていると思われるような人は、自分が見たいことだけを見て、都合の悪い情報は明確な根拠も無く信じられないとし、要するに信じたいものだけを信じて相手を罵倒したり、見下したりするような発言を行う傾向にあると思う。どんな主張をするのも人を精神的に傷つけることだけを目的としていないのなら、究極的には個人の自由なのかもしれないが、自分の見たいものだけを見て、信じたいものだけを信じ、一方的に主張することだけでは議論は成立しないし、相手を見下すような態度を示すことも、本人はどう感じているのかは分からないが、傍から見れば単に自分の愚かさを示しているように見えるということに気が付いて欲しい。
このような傾向が膨らむ背景には、ネットの匿名性により、大した根拠もなく気が大きくなる人が増えたこともあるだろうが、首相や閣僚が野党を馬鹿にしたような態度で国会に臨んでいる場面がしばしばあること、またそれに応じて同じような姿勢をとる野党議員の存在などもその理由の1つだと思う。首相を始めとした国会議員や、その他の政治家らには国や各地域を代表する者としての意識を再確認し、国民の手本となるような態度や多くの事実や可能性を適切に考慮することを常に心がけるように、もう一度よく考えてもらいたい。また一般的に有識者と言われるような立場の、所謂影響力のあるコメンテーター的な人々にも、特にネット上だとつい口調が必要以上に荒くなる人を見受けるが、政治家同様にその影響力を考慮した態度を心がけて欲しい。