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絶対的な判断の難しさ


 今朝(6/26)のMXテレビ・モーニングCROSS内で画面表示にされていた、ある視聴者のツイートが気になった。都議選告事後、初の日曜日の各党の動きを伝えたことに反応したツイートで、「都議選で加計問題に言及するのはおかしい。都政に関係ないだろ」という趣旨の、恐らく自民党を擁護するツイートだ。確かに加計問題は直接的には都政と深い関係はない。しかし都議会自民党は国政上の自民党の下部組織でもある。自民党の国会議員が応援に駆けつけたり、首相や官房長官も応援する発言を行っている。加計問題で首相や官房長官らがハッキリと黒だとは言えないが、疑惑の解明に消極的なその姿勢などからグレーだと思っている人も多く居る。それは政権に批判的なメディアだけでなく、政権寄りと言われているメディアも世論調査で支持率が下落した要因として指摘しているので、真っ赤な嘘とは言えないはずだ。都議会自民党の候補や被推薦者達は、自分が所属している・推薦を受けている組織のそのような適切ではない行いを見過ごすような人物である恐れがある。もっと意地悪く言えば気が付いているのに、自分が当選したいが為に見て見ぬふりをしているかもしれないとも思える。そういったことも投票先を決める判断基準の1つになることもあるだろうから、都政に全く無関係とまでは言えない。正確に表現すれば”直接的な関係は薄いが、広い意味では関係がある”と言えるだろう。ツイートをした本人が関係がないと思うことは個人の自由だが、それはごく主観的な意見でしかなく、誰が見ても同じように感じられる客観的な事実ではない。


 その加計問題について、安倍首相が岩盤規制の打破の為に必要なことだったと釈明することや、国家戦略特区という制度を利用して、知人に有利になるような便宜を図ったのではないかと報道されていることから、「国家戦略特区は悪くない」という主張で擁護する声もある。まるで規制緩和の善悪を議論しているような話だが、規制緩和は良い場合もあれば悪い場合もあり、規制緩和がいいとか悪いとか一元的に判断できるものではない。規制緩和が上手く作用する場合は、これまで一部の既得権益者のみが仕切っていた分野に新規参入を呼び込み、その分野の裾野が広がり発展する場合だ。しかし、そう目論んでいても上手くいかないこともある。例えば規制緩和により、地方の小さな町に大型スーパーが作られたとする。大型スーパー開店以前はその町では戦後およそ50年間小さな個人商店が集まる商店街が生活に必要な物品の流通を賄っていたが、大型スーパーに客を取られてスーパー開店からおよそ10年で商店街の店の殆どは廃業することになった。商店街がなくなっても大型スーパーがある間は誰も困らないが、更にそれから5年後、大型スーパーは採算が合わないからと閉店を決める。するとその町は生活に必要な買い物が出来ない不便な地域になり、それが原因で過疎化が進行し衰退してしまった、なんて話も現実にあった。転入者を増やしたり、転出を減らす事を想定した地域振興策として買い物の利便性を高める為に、品揃えや価格的に優位性のある大型店を規制緩和により誘致したが、大型店は目論見どおりに利益を確保できず撤退、その結果、以前より不便になり地域振興どころか衰退させてしまったというケースだ。こんな風に本当に必要な規制をなくしてしまうことは、それまであったバランスを崩してしまうことに繋がる。要するに上手くいく規制緩和もあれば、上手くいかない規制緩和もあるということだ。

 冒頭の話の「関係ない」かどうかや、その次の話の「規制緩和」は善か悪かなどのように、綺麗にスッパリこれが正しい・これは間違いなんて、簡単に判断出来ないことが世の中には溢れている。というかそういう事の方がむしろ多い。にもかかわらず、個人の主観を、あたかも誰にでも常に当てはまる客観的な事実のように述べる人がネットでは特に多い。自分もヒートアップするとこのことを忘れてしまうこともあるが、出来る限りそれを意識するように心掛けたい。

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