スキップしてメイン コンテンツに移動
 

稲田氏と下村氏の都議選応援


  稲田防衛大臣が6/27に都議選自民党候補の応援演説で、「防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としても(自民党候補への投票を)お願いしたい」という発言をして大きな波紋を呼んでいる。自民党として応援することは問題ないが、防衛省や自衛隊が特定の候補を応援しているのであれば自衛隊法に抵触する恐れがあるし、防衛大臣が特定候補を応援することは公職選挙法などに抵触する恐れがある。野党らはこの件を深刻視しており、大臣の資質に明らかに欠けるとし大臣の罷免を政府に要求しているが、政府側は拒否している。個人的にはもし稲田氏に関する問題点がこの発言に関してだけならば、確かに法律に違反する懸念があることは否めないが、自衛隊や権力が特定候補を応援することを明らかに正当化しているとまでは言えないとも思える為、単に口が滑ったと考えることも出来なくもないし、この件に関して彼女が真摯に反省の姿勢を示すということであれば、罷免や辞任するべきというのは言い過ぎのような気もする。しかし、大臣の資質を疑われるような彼女の言動はこれまでに複数の事案があるし、この事態が明るみになった後も、発言を撤回するとはしているものの、真摯に反省しているようには全く見えない。6/30に記者会見でやっと謝罪をしたが、問題になっている発言について「誤解を招きかねない」と表現した。どう考えてもハッキリ「防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」と発言しているのに何がどう誤解なのか自らの説明は言葉足らずだったし、それを記者に指摘されて溜息をつく姿もそんな指摘に不快感を示しているようにも見え、「謝罪と言っておけば、そのうち沈静化する」と彼女が思っているように感じられた。


 そもそも所謂南スーダン日報が存在していたにも関らず、法律に沿って適切に破棄された為公開できないとした件や、それについての再調査が行われた際も防衛省なのか自衛隊なのかは分からないが隠蔽しようとしていたことが明らかになった時点でその責任を取るべきだったと個人的には思っている。それ以外にも、その日報に書かれている”戦闘”という表現は「法的な戦闘ではない」とか、「戦闘と解釈すると違法性が出るので戦闘とは解釈できない」などという全く論理性に欠けた答弁をしていたこと、森友学園問題に関連した裁判に森友学園側の弁護士として出廷していたにも関らず「出廷していない」という虚偽の答弁をしたり、ヘイトスピーチを行うような団体・在特会の関係者から献金を受けていたと指摘した記事を、名誉毀損で訴えていたが敗訴していたりと、防衛大臣の資質があるか疑われるような事案は数多くある。

 安倍総理が憲法改正に対して並々ならぬ意欲を示した、今年の憲法記念日に流されたビデオメッセージについて国会で指摘された際に、「総理大臣としてではなく、自民党総裁としてした発言」と述べたが、そのような立場の使い分けは詭弁であるという批判が各所で起きた。これについては自分も同じように感じたが、不細工な建前ながらも一応立場について理解だけはギリギリしているようにも思える。そんなことがあったにも関らず、選挙応援で不用意に、「防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」なんて発言をしてしまうのは、たった2ヶ月前の自分のボスに関する事案についてさえ反面教師にすることが出来ない人だという事だろう。もしくは自分の立場を全く理解できていないか、本当に防衛省、自衛隊、防衛大臣として特定候補を応援して何が悪いのかと思っているということなのだろう。日本の防衛大臣というのは、日本が太平洋戦争に至った歴史について誰よりも学んで理解を深め、自衛隊の微妙な位置付けを誰よりも理解し調整しなければならない立場だ。しかも彼女は弁護士でもあるので、一般人だけでなく政治家の中でも法律に対する理解が深いはずだ。そう考えると前段では”単に口が滑っただけなのかも”と述べたが、実際は口が滑ったのではなく、そのような行為が法に反することは知っていたが、その法自体が間違っていると本音では思っていて、それがつい口をついて出たという恐れもあると思えてしまう

 この稲田大臣の発言に関して、自民党の下村氏は、朝日新聞の記事に寄れば、「稲田朋美防衛相が誤解を与えるような発言をしたことについては残念だ。ただ、実際に自衛隊とか防衛省に選挙応援をお願いするわけじゃないし、もちろんそういう風にはならない。それくらいみんなで応援しますよ、と漠然としたイメージで言われたんだと思う。選挙の応援に来て、サービス的な発言という風に思われたんじゃないかと思うが、これで辞任となったら続けられる人は、誰もいなくなるんじゃないか。」と擁護するような発言をしたらしい。発言の前半部分は信用できるかどうかは別として、前述のようにその可能性が全くないとまでは言えない。しかし最後の「これで辞任となったら続けられる人は、誰もいなくなるんじゃないか」という発言は確実に不用意である。何故ならこれで辞任となるなら続けられる人がいないということは、今の自民党政権下では誰が防衛大臣になってもこの種の発言を全員がしますと言っているようにも思える。要するにその程度の人材しか自民党内には居ないから、若しくは誰がやっても同じだから仕方がないでしょ?と言っているように聞こえてくる。まともな自民党議員は怒ったほうがよいのではないだろうか。でないと下村氏の言う通り、本当に自民党には大した人材は居ないと思われてしまうだろう。

 BuzzFeed Japanによれば、下村氏は都議選の応援で、以下のような発言もしているらしい。

都民ファーストは、自分が選挙に当選したいがために移ってきた人が多く、半分以上が政治について素人の『烏合の衆』です
政治の素人たちだから、小池知事のやることにすべて賛成して、言いなりになる『イエスマン』たちだ」。

このような下村氏の発言はそっくりそのまま自民党に跳ね返る気がする。

自民党は、自分が選挙に当選したいがために公募した人が多く、そこから複数の不適切な言動をする(例えば、このハゲー!などと秘書を罵ったりするような)議員を出すような政治について素人の『烏合の衆』です
政治の素人なのは、そのような公募議員だけでなく、複数回当選した議員、例えば共謀罪についてしっかり説明できないような法務大臣、自分の仕事が良く分かっていないような失言をする復興大臣などもいました。大臣ですら政治の素人で、安倍首相や官房長官のやることにすべて賛成して、言いなりになる『イエスマン』たちだ

 そんな不用意な発言が目立つ下村氏自身も、今は不適切な献金を受けた疑惑を指摘されている。

このブログの人気の投稿

話が違うじゃないか

 西麻布に Space Lab Yellow というナイトクラブがあった。 一昨日の投稿 でも触れたように、日本のダンスミュージックシーン、特にテクノやハウス界隈では、間違いなく最も重要なクラブの一つである。自分が初めて遊びに行ったクラブもこのイエローで、多分六本木/西麻布界隈に足を踏み入れたのもそれが初めてだったと思う。

マンガの中より酷い現実

 ヤングマガジンは、世界的にも人気が高く、2000年代以降確立したドリフト文化の形成に大きく寄与した頭文字Dや、湾岸ミッドナイト、シャコタンブギなど、自動車をテーマにしたマンガを多く輩出してきた。2017年からは、頭文字Dの続編とも言うべき作品・MFゴーストを連載している( MFゴースト - Wikipedia )。

読書と朗読を聞くことの違い

 「 本の内容を音声で聞かせてくれる「オーディオブック」は読書の代わりになり得るのか? 」という記事をGigazineが掲載した。Time(アメリカ版)の記事を翻訳・要約した記事で、ペンシルベニア・ブルームスバーグ大学のベス ロゴウスキさんの研究と、バージニア大学のダニエル ウィリンガムさんの研究に関する話である。記事の冒頭でも説明されているようにアメリカでは車移動が多く、運転中に本を読むことは出来ないので、書籍を朗読した音声・オーディオブックを利用する人が多くいる。これがこの話の前提になっているようだ。  記事ではそれらの研究を前提に、いくつかの側面からオーディオブックと読書の違いについて検証しているが、「 仕事や勉強のためではなく「単なる娯楽」としてオーディオブックを利用するのであれば、単に物語を楽しむだけであれば、 」という条件付きながら、「 オーディオブックと読書の間にはわずかな違いしかない 」としている。

あんたは市長になるよ

 うんざりすることがあまりにも多い時、面白い映画は気分転換のよいきっかけになる。先週はあまりにもがっかりさせられることばかりだったので、昨日は事前に食料を買い込んで家に籠って映画に浸ることにした。マンガを全巻一気読みするように バックトゥザフューチャー3作を続けて鑑賞 した。

敵より怖いバカな大将多くして船山を上る

 1912年に氷山に衝突して沈没したタイタニックはとても有名だ。これに因んだ映画だけでもかなり多くの本数が製作されている。ドキュメンタリー番組でもしばしば取り上げられる。中でも有名なのは、やはり1997年に公開された、ジェームズ キャメロン監督・レオナルド ディカプリオ主演の映画だろう。