警察庁は新たなギャンブル依存症対策として、パチンコ・パチスロの出玉等をより規制する改正案をまとめたそうだ。7/11のNHKの記事によると、平均的な客の遊戯時間である4時間で勝ち分を5万円以下にすることや、1回の大当たりで獲得できる出玉を引き下げるなどを行うことで、ギャンブル性を下げるという対策らしい。このような規則改正案について業界団体からの意見を聞いた上で、2018年2月からこの規制を行う方針を示しているようだ。このようなギャンブル依存症対策が示された背景には、政府がIR統合型リゾート施設の整備推進法、所謂カジノ法案を成立させたことがある。個人的には実効性の高い施策をは思えず、カジノ法案に対する懸念に対応しているというスタンスを示しているだけに過ぎないと感じる。
なぜ、実効性があると思えないのかと言えば、たまにある平日休みにパチンコ店に入ってみると客がある場所に集中しているからだ。客が集中しているのは、1パチと呼ばれる玉の換金レートが一般的なレートの1/2-1/4程度の台のエリアだ。というか多くの店で平日はそのエリア以外はガラガラだと言っても過言ではない。1パチと呼ばれる低レート台が世の中に出回る以前は、等価交換と呼ばれる換金レートが一般的な店よりも高い、要するにギャンブル性の高い店が人気だったように記憶しているが、1パチが登場してからは1パチと等価交換の両極に人気が2分されたように感じる。という事は、勝ち分の制限が行われれば、客の金銭的な負担は減り、自己破産などのような状態に陥る人は減るのかもしれないが、客がギャンブルに費やす時間は大して変化しないように思う。果たしてそれでギャンブル依存症が解消されると言えるだろうか。
勿論どんな対策をしようとも、ギャンブル自体がゼロにならなければ、ギャンブル依存症になる人がゼロになることもないだろう。ならば前述の警察庁が示した対策は懸念の大きさを減らしたり、状態の悪化を進行させないということなど、ある意味では有効な対策ではあるかもしれない。しかし個人的には、実効性よりもカジノ法案を肯定する為の口実であることの方が重要視された結果が、このような実効性が疑わしい対策の発表に繋がっているように思える。政治家はIR・カジノ法案が必要な理由に、外国人観光客の獲得という事を上げるが、ならば世界中の様々な場所にあるようなカジノではなく、日本にしかないパチンコやパチスロの方が日本の独自色が打ち出せて集客につながるのではないかと思えるが、それは素人の短絡的な考えなのだろうか。どうも自分には統合型リゾートやカジノの建設・運営に関する新たな利権作りが政治家主導で行われているような気がしてならない。