7/24・25に安倍総理も出席する集中審議が行われた。24日のやり取りの中で、南スーダン日報の隠蔽に関する稲田防衛大臣の責任について問われた安倍総理は、改めて大臣を罷免する意向がないことを明言し「引き続き責任を果たして欲しい」と述べた。ということを考えれば、総理は稲田氏に防衛大臣として相応しい資質があると今も考えているように思える。8/3に行われると言われている内閣改造・自民党要職の刷新では、多くの不祥事を抱える稲田大臣と、共謀罪に関する議論で明らかなに出鱈目な答弁を複数回に渡って行った金田大臣は、交代させられる可能性が濃厚だと多くのメディアが報じている。
稲田大臣に関しては、まず南スーダン日報の情報公開請求に関連することだけでも、当初請求から2ヶ月も時間がかかったにもかかわらず、日報は破棄されたという事実と異なる根拠で開示できないとしたこと、後日再調査で統合幕僚部で見つかったとしていたが、実際は陸自内でも同じ文書が保管されていたことが、報道により発覚したこと、さらに直近大きな話題になっているように、陸自内でも保管されていたことが報道で明るみになる以前から稲田大臣が承知した上で公開を見送っていたのではないか、即ち隠蔽を指示・若しくは容認していたのではないかという疑惑など、大きく分けても3つの問題がある。また、その日報に明記されている戦闘という表現について、戦闘と表記されているが戦闘と解釈すると法的な問題が生じてしまうので法的には戦闘ではない、などという結論ありきの論法での説明も問題視されていた。それ以外にも森友学園問題に関して、森友学園の弁護士として裁判に出廷したことはないという事実と反する答弁を国会で行ったり、都議選の応援演説で「防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としても(特定候補への応援・投票)お願いしたい」と明らかに公職選挙法などに抵触する発言をしたりと、問題のある言動は枚挙に暇がない。
こんな例えが果たして適切かどうかは分からないが、駐車違反や事故を伴わない一時不停止など、軽微な違反であっても累積していけば運転免許停止処分が下されるし、その後も繰り返せば免許取り消しも在り得る。稲田大臣もいくつかの問題発言に関して発言を撤回したり、問題行動について謝意を示したりはしているものの、流石に回数が多すぎやしないだろうか。免許停止(大臣辞職)のラインにはとっくに達していると思うし、個人的には免許取り消し処分(議員辞職)でもおかしくはないレベルになっているんじゃないかと感じる。
しかし安倍総理は、それでもまだ「引き続き責任を果たして欲しい」と述べているわけだ。彼は稲田大臣には防衛大臣の資質が充分にあると思っているのだろうから、次の内閣改造でも当然続投させるのだろう。何故そう思うのかと言えば、大臣に相応しい資質がある人物をわざわざ別の人間に代える必要はないと考えるのが一般的だからだ。もし内閣改造で稲田氏を交代させるのであれば、稲田氏の大臣としての資質に問題が少なからずあるという事を認めることになるだろうし、8/3に内閣改造が行われそこで大臣の交代があるとしたら、その数週間前に「引き続き責任を果たして欲しい」なんて発言するのは、責任を果たせと言いながら、辞めろとも言っているようで大きく矛盾しているように思う。恐らく安倍総理らは任命責任で追求されるを避ける目的で罷免を躊躇しているのだろうが、結局内閣改造で交代させるのであれば、国民の目にはそのような矛盾する印象がより強調されてしまい、不信感が増すことはあっても決して減ることはないだろう。泥沼から抜け出したいと考えているなら、目先のことばかり考えずもう少し先のことまで考えて物事を捉えたほうが良いのではないか。