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与野党の辞任劇


 昨日・7/27の午後、民進党の蓮舫代表が突然辞意を表明した。安倍政権の支持率が大きく低下しているにもかかわらず民進党の支持も上がっていないこと、言い換えれば以前から続く民進党の不信を払拭する最大のチャンスとも言える状況ですら、支持率を上げられないことの責任や、同じような話だが、それが明確になった都議選で元から少なかった議席を更に減らす結果だったのに「安倍政権にノーが突きつけられた」などと勝ち誇るような姿勢を見せ、散々な結果を正面から受け止める総括をしなかったこと、二重国籍問題についてこれまでしっかりとした説明を行わずにいたことなどを考えれば、決して突然ではないのかもしれないが、直近まで続投を示唆していたことを考えれば、”突然”に見えた。
 そして夕方には、もう説明不要なくらい不祥事が続いていた稲田防衛大臣の辞任の意向が遂にと言うか、突然と言うべきか明らかになった。こちらは蓮舫氏より更に突然とは言えないような状況でもあったが、直近まで本人はうつろな顔でのコメントながら続投の意思を示していたし、首相も間近に迫った内閣改造後も続投させるんじゃないかとすら思わせるような「今後も責任を果たしてほしい」という旨の発言をしていたので、こちらもある意味では”突然”のように思えた。

 
 稲田氏の辞意の背景には、今日・7/28に発表される見通しの南スーダンの日報隠蔽疑惑に関するも特別防衛監察の結果や、稲田氏が辞意を示す直前に隠蔽の舞台となった陸自の幕僚長や、防衛省の事務次官が辞意を示していたことがあったのかもしれない。一部の報道では、特別防衛観察の結果を安倍首相へ発表する前に報告した後で、稲田氏の辞意が明らかになったという話もある。個人的には、あくまで単なる予想だが、両者の辞意が明らかになった時系列を考えると、蓮舫氏の辞意表明を見て政権側もここで何らかのけじめをつける姿勢を見せなければ「野党第一党の民進は不信や国籍問題での不十分な説明の責任を代表が辞任という形で明確化したのに、自民党や安倍政権は何もかも有耶無耶のままやり過ごすつもりなのか」などという批判的な世論が更に高まり、場合によっては加計問題で不安定な答弁をしていると首相自体への批判も今以上に高まるのではないかということを想定して、その予防措置的に仕方なく稲田氏に辞任を表明させたのではないかと感じられた。
 
 そんな考えは、現状でもまだ安倍政権を支持している人には受け入れられないことは分かってはいるが、そんなことは抜きにしても両者共対応が後手後手であるし、視点によってはやめさせた側(民進は代表を槍玉に挙げ責任を取らせた議員たち、自民は恐らく首相)の利己的な思惑のようなものを感じさせる結果になっているように思う。民進に関して言えば、蓮舫氏が代表として素晴らしいとは言えないことは確かだが、支持率が低いのは今に始まったことではないし、代表が変わること・変化に期待する部分があったのだろうが、わざわざこんなタイミングで代表を辞任に追い込むようなまとまりのない、悪く言えば烏合の衆的な組織であることを露呈してしまっているようにも思える。自民は自民で、個人的に稲田氏はもっと前に辞任していているべきだと考えていたので、辞意の表明自体はある意味当然だとは思うものの、確実にその進退の決定に首相の意向が影響を与えているはずで、そう考えれば、ここまで無理矢理としか思えないような判断で稲田氏を留任させていたこと、つまり任命責任の追求は免れないと感じるし、稲田氏が辞めても日報問題の全容が明らかにならなければ、解決する訳ではないという批判は確実に残るだろう。これまでのことを考えれば今後の対応も期待できないことは何となく感じているが、今後「稲田氏やめさせました。それで幕引き」というような姿勢に見えない対応が出来るかが重要なポイントだろう。
 
 兎に角個人的には政権与党も野党第一党も全く期待できるような状況ではないと感じる。とは言っても、だからもう政治に期待するのは諦めるなんて言えるようなことでもない。個人的には、幹事長が「批判には耳をかさず、」なんて不用意でこれまでと全く変わらないような姿勢を示したり、個人的には不倫問題はどうでもいいのだが、それについて「”一線は”超えていない」などとその言葉がどのように解釈されるのかを想像出来ていないような稚拙な釈明をしている元アイドルを公認して国会議員をさせているような党には全然期待が出来ない。政権を取る前に掲げていた公約を殆ど実現できなかった民主党政権の印象が強いので、民進党にも期待はしていないが、今の自民党もそれと大して変わらない状況だ。選挙になれば経済優先、他で批判されれば経済優先と何かと経済、経済とお題目のように掲げるものの、いつまで経っても理想的なトリクルダウンとやらは起きないし、デフレ解消の為の物価上昇目標は延期が常態化している。頼みの綱の経済政策は一部で評価はされているが、自分には張子の虎にしか見えない。他に何か安倍政権に期待できることが果たしてあるだろうか。連発する大臣・閣僚の不適切な言動、あやふやなことばかりで信頼感のない首相の憲法改正観、評価の分かれる重要な法案を成立させる一方的で強引な手法。働き方改革も効果の薄い対策がいくつか行われただけで、今年に入ってからもまた過重労働による自殺が明らかになったし、少子化対策・子育て支援に関しても掲げた目標を延長している。民進党も代表が代わることが決まったのだから、政権を譲ったほうがいいとまでは思わないが、自民党もそろそろ総裁を変えたほうがいいのではないだろうか。党内外に「安倍氏以上の適任者がどこにいるのか」という見解もあるようだが、自分には沈み行く泥舟に乗っているように見える。信じることは大事だが、一つのことを信じすぎると時に盲目になってしまうこともあるのではないか。

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