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プレミアムフライデーの顛末


 2月に始まったプレミアムフライデー。月末の金曜日に午後3時を目処に仕事を早めに切り上げるという政府や経団連が主導した働き方改革関連の施策で、レジャーや外食・買い物などの機会を増やしたり、土日に旅行をすることが促進されるなどと、経済効果も期待出来るという触れ込みだった。2月の開始前から効果が本当にあるのかという懐疑的な見方も多かった。月末の金曜は月内で最も忙しい日にあたる業種も多く、そんな日に仕事を早く切り上げられるわけがないという人も多い。そんな見解の通り、当初の目論見のようなおいしい話は現実味がなく、自分の周りでは全く盛り上がっていない。盛り上がっていないどころか2000円札の如く”既に過去のもの”という認識しかない。

 
 一方で、ハフィントンポストが「串カツ田中、プレミアムフライデーで売り上げ2割アップ 「お店のPRにもなりまして...」」という見出しの記事を掲載している。プレミアムフライデーに来店する客を狙った戦略がヒットし、串かつ田中という居酒屋チェーン店の業績が伸びているという記事だ。このような記事を見ると、自分の周りでは全くと言っていいほど無かったことになっているプレミアムフライデーだが、別の環境にいる人の中には”まだ”プレミアムフライデーを実践・体感している人々がいるのだと実感する。政府や経団連が主導して開始した施策なのだから関連する役所や、経団連と関係の深い大企業などでは”まだ”継続して実施しようという空気があって当然だし、プレミアムフライデーのPRに少なくない予算(税金)がつぎ込まれたのだから、前述の条件に当てはまらない企業でも、”まだ”やってますという企業がゼロではないだろうことも想像出来る。要するにあれだけPRに躍起になっていたのだから、恩恵を受ける人が全くゼロではないのも当然だ。ただ問題なのは、恩恵を受けている人は限りなくゼロに近いんじゃないかと思えてしまう点だ。完全に個人的な妄想だが、プレミアムフライデーを謳ったPRを行っていても、実際に居酒屋に来店しているのはプレミアムフライデーとはあまり関係ない客かもしれないと想像する。例えばリタイアした世代は比較的消費に回せるお金を持っているだろうし、早い時間から飲みにいける時間的な余裕も勿論ある。
 
 7/23の投稿でも触れたが、政府は今度はキッズウィークという、プレミアムフライデーと同様に働き方改革と経済への両方に効果があると謳う政策を進めようとしている。しかしこちらも多方面からその実効性について疑問が投げかけられている。個人的には一定期間が経ったのだから似たような政策を論じる前に、プレミアムフライデーの結果について中間報告的にでも総括を行ったほうが良いのではないだろうか。過去の失敗(少なくとも自分の目線で見ればプレミアムフライデーは確実に失敗)に学ばなければ、似たような失敗を繰り返すように思う。ただ、今の政府は都合の悪いと記録等を”法にのっとって適切に破棄した”などと言ってしまうような状態だ。だから失敗を認めようとしないだろうし、失敗を認めないから似たような失敗を繰り返すという悪循環を既に実際に起こしている。南スーダン日報に関する度重なる失態や、都議選で大敗しても尚、横柄な態度が一向に党内からなくならないことなどがそれにあたるだろう。国のトップである首相や、各行政のトップである大臣はもう少し現状把握能力の高い人々に担って欲しい。

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