9/21のテレビ朝日・アメトーークはコメンテーターになりたい芸人というテーマだった。昨今ワイドショーを中心にタレント、お笑い芸人が、より視聴者に近い感覚を持ったコメンテーターとして出演するケースが増えている。中には文化人や所謂有識者的な人よりもタレント・芸人の方が多く出演している番組、タレント・芸人しか出演しないワイドショーもあるが、後者は芸能ゴシップ的な事案に強くフォーカスしている場合が多い。自分はワイドショー自体が既に報道番組でもなんでもなく、単に視聴者の興味を追求した内容に特化した番組で、ショーとして見るものだと考えているので、コメンテーターに特に知識のないタレント・芸人が出演しようが大して気にはならないのだが、昨日のアメトーークを見る限り、出演するタレント・芸人側はワイドショーのコメンテーターを務めるということは、知的なイメージに繋がると考えているようで、自分の感覚とはそれなりの差があるように感じた。
確かにどちらかと言えば、政治や経済などの案件も比較的よく扱うタイプのワイドショーに出演すれば、それは知的なイメージを上げることに少なからず繋がるように思えるが、政治や経済案件を扱う全てのワイドショーが、シリアスにそれらについて取り上げているとは自分には思えず、番組によっては逆に適当なことを言う番組に出ているな、などとイメージを下げることも往々にしてあるように思う。また逆にタレントを積極的に起用している番組は、ワイドショーでなく報道系番組色が強くても、どうも説得力に欠けるように思えてしまう。勿論政治や経済・社会に関する問題に対する理解が深く、シリアスな考えを持ったタレントもいるのだろうが、それが専門ではないだろうし、出来ればそのような案件については専門的に取材している者、局内で専門的に携わる者に任せて欲しいし、タレントは立場上番組や局の意向を忖度する場合も多く、タレントを純粋に一般人的感覚を持った人代表としては受け止め難い。そんな理由からタレントの積極起用については視聴率目当ての客寄せパンダ的なイメージをまず感じてしまう。
一方で、誰にでも分かりやすいニュース番組・報道番組的な切り口で、タレントを起用する番組も、とっつきやすさ・分かり易さのアピールという観点で考えれば必要だとも思う。ただそれにしても知ったかぶりをするようなタイプや、あまりにも勉強しようという姿勢に欠けるタイプのタレント・芸人が起用され、かなり残念な印象になってしまっている場合もある。このようなタイプの番組は学校の授業と似ているように自分は思う。しっかりとした理解がない人の視点で何が疑問なのかや、そのようなタイプの人にも理解しやすい説明は必要で、その中に多少の冗談が織り交ぜられることはある意味有意義だが、度が過ぎれば何が目的なのかが分からなくなってしまう。もし、より冗談を強調してそのようなことを伝えたいのなら、報道やニュース的なアプローチでなく、社会風刺性の強いコメディ・お笑い・漫談のようなアプローチで表現を行うべきだろう。
要するにタレントや芸人が政治や経済・社会に関する問題に触れること自体を否定するつもりはないが、それぞれが適材適所で活動することや、それぞれにあったアプローチ方法を選ぶべきだと思う。当然表現する側と受け止める側にズレが生じる場合もあるだろうが、それのズレが大きくなりすぎれば、番組や出演するタレント・芸人が視聴者からの支持を失うことに繋がってしまうと思う。自分は9/21のアメトーークをそんなことを考えながら見ていた。そんな基準で判断すると、この日のアメトーークに出演していたタレントには、アメトーークがバラエティ番組である事を考えればそれ自体も演出であるのだろうが、既に複数のワイドショーでコメンテーターをしているとして、ご意見番的なポジションで出演していた男性芸人も含めて、所謂コメンテーターに適した人物は一人もいないように見えた。