Gigazineというブログメディアをよく見る。Gigazineは様々な分野の記事を扱うブログだが、日本の大手メディアがあまり注目しないような海外の記事を元に書かれる記事の割合がそれなりにある。例えば、何々という事についての研究発表が行われた、というような記事もGigazineでよく見かける記事だ。何々に当る部分は大体、多くの人がそう感じているが、これまで科学的な根拠が示されてこなかったり、逆に多くの人が感じていたことが実は何の根拠もなかったというような場合が多い。私達は”研究”だとか”科学的”だとか言われると、どうもそれだけで信憑性が高いという先入観を持ってしまいがちだ。しかしGigazineが取り上げるそれらの記事を読んでいて感じるのは、記事によっては納得させられる場合もあるし、何となく胡散臭さを感じる場合もある。明言していない場合もあるが、どちらの場合も”科学的”とか”研究”なんてニュアンス感じさせる内容である場合が殆どだ。一応確認しておくが、自分が言いたいのは、Gigazineについて胡散臭いと感じることは多くなく、元記事の内容について、”科学的”とか”研究”などのニュアンスを用いて伝えていたとしても胡散臭いと感じることがあるということだ。
BuzzFeed Japanが「じわじわスピリチュアルに侵食されていく私たち」という、ある産婦人科医が書いた記事を掲載した。記事は出産に関連した胡散臭い・信憑性の薄い情報を信じてしまう人の存在について言及している。どうして信じてしまうのかについての説明の中で、トンデモ情報を発信していても”カウンセラー”とか”アドバイザー”という肩書きだけで信憑性が高いと判断してしまう人の存在を指摘している。筆者によればカウンセラーもアドバイザーも単に自称しているだけで、誰でも語れる肩書きだそうだ。場合によっては”資格”を名乗っている場合もあるようだが、勝手に作られた価値の決して高くない・全く価値がない資格であることも多いようだ。
自分は最近流行っている”低糖質”とか”糖質カット”なんて謳い文句の商品やダイエットにも胡散臭さを感じる。それらに関する話が全て嘘で悪意に満ち満ちているとまでは言わないが、猫も杓子も低糖質思考なことには大きな違和感を感じる。低糖質ダイエットに関して、糖質を抑える為に米や小麦粉などの炭水化物の摂取を抑えたり、場合によっては完全に遮断するというような話すら耳にすることがある。もし米や小麦粉など炭水化物が肥満の元凶なのだとしたら、近代以前の日本は肥満体質の人で溢れていたのではないだろうか。近代化以前の日本では牛や豚、鳥などの動物性たんぱく質の摂取は、魚を除いて一般的ではなく、近代化以前から日本人の主食は米だった。米が食えなくても粟や芋などの炭水化物を主に食べていたことは間違いないだろう。しかし近代化以前の日本は肥満率が高かったなんて話は全く聞いたことがない。勿論現在とは食に関する環境、特に量の充実加減は比較にならないほど悪い状況だっただろうから、一概に炭水化物・糖質が肥満と一切関係ないとは言えないが、まるでそれが悪の元凶だと言いたげな、偏った主張には説得力が感じられない。
ネットが普及する以前から胡散臭いセミナーや啓発本、所謂インテリと言われるような人々が信じてしまった怪しい新興宗教みたいなものはあったし、ネット普及だけがその原因だとは思わない。だが、誰もがそれまで以上に容易に情報発信ができるようになった結果、前述のような胡散臭い情報がより広がりやすい土壌が出来たことは間違いないし、選べる情報の選択肢が増えた結果、うまく取捨選択が出来ない人も増えているのだろうと想像する。私達は例えば”研究”とか”科学的”とか、”アドバイザー”や”カウンセラー”の言う事などを他のことより一段階信じやすいということは間違いないと思う。また、名前も知らない個人が発信している情報、新興ブログメディアが書く記事より、歴史のある大手新聞社やテレビ局の発信する情報に信憑性を感じやすいことも確かだろう。そのような判断基準で情報に接することはある意味では正しいかもしれない。しかしそればかりを重視し過ぎると大きな失敗をしてしまう恐れがあることを常に肝に銘じておかなければならない。