自民党の長尾敬議員が根拠のないネットの投稿をツイッターで紹介し、更に拡散を呼びかけたと共同通信が報じた。記事によれば、その後長尾氏は謝罪し該当ツイートを削除したとのことだ。未成年の無知に基づくネット利用の危うさが近年度々問題になるが、ネットが普及し始めてから既に20年以上が経つのに、基本的なネットリテラシーを備えておらず、小中学生と同じレベルで学ばなければならないような者が国会議員という立場になれてしまうこと、更にそれが原因でこのような問題が起きてしまうことを党の執行部はどのように捉えるのだろうか。こういった人物が議員になっているのは国政だけでなく、というか寧ろ地方の方が多いかもしれないし、決して自民党に限った話ではないと思う。先日、関東大震災の際に虐殺された朝鮮人への追悼文を取り止めた都知事も、個人的にはこの議員と大差ない認識を持っていると感じる。近年物事を自分に都合よくあからさまに捻じ曲げて解釈する、そして都合の悪いことからは目を背けて無視する人が増えているように思うが、一般人と同じように政治家にもそのような傾向があるのだと想像する。一般人がそのような傾向なのは、政治家に引っ張られたのからなのか、世間一般にそのような風潮が生まれ、その中から政治家になる者が出てきたのかは定かでなく、鶏が先か卵が先かというような話だが、どちらにせよ確実に好ましい状況ではない。
共同通信が指摘している長尾氏が引用した根拠のないネット投稿とは、複数の民放について「特定の制作会社に実質的に乗っ取られ偏向報道が繰り返されている」「インタビューで都合の良いコメントをする劇団員を雇い国民を洗脳(している)」などとして、民放が偏向報道を行っているとする投稿だ。このような主張は6月頃にネット上で話題になっていたが、複数の番組制作に係わり民放を実質的に乗っ取っていると指摘されている制作会社は、人材派遣会社のような業務を行っているので、多数の番組に係わりがあっても何ら不思議でないという事がすぐに指摘されていた。確かにどの局の(報道)番組にも全く問題がないわけではないし、前述の投稿が指摘するように杜撰な街頭インタビュー風のVTR作成を行っている番組が全くないとは自分も思わない。しかし、民放全てが嘘ばっかりで全く正常に機能していないと言わんばかりの主張もまた、かなり偏向していると言わざるを得ない。そんな稚拙な主張に国会議員ともあろう者が飛びつき、一緒になって”偏向報道だ”などと騒ぎ立てることはどれほど愚かな行為だろうか。彼は大して良く考えず、自分にとって都合がよければ簡単に間違っている情報にも飛びつくタイプの人間だということを自ら示したことになった。このようなタイプの人間が政治、しかも国政に係わっているということ自体にある種の脅威を感じる。
長尾議員は9/4に下記のようなツイートも行っている。
南京大虐殺はありませんでした。
これが私の理解です。
確かに南京事件に関してはその規模などについて様々な見解がある事は確かだが、虐殺そのものがなかったというのは、現時点ではかなり無理のある偏った見解ではないだろうか。彼は結局根本的に偏った考え方を持ちやすい人間なのだろう。根拠のない偏向報道という主張を流布しようとしたことについて謝罪したのは9/5のことのようだが、彼の中には恐らく本質的な謝意があるのではなく「ちょっとやりすぎちゃいました。今後は偏っていると指摘されないように注意し、上手くやります」という意味での謝罪をしたようにしか思えない。昨今は不倫で議員辞職をする議員が居るぐらいなのだから、不倫よりよっぽど性質が悪い彼などは、当然議員辞職に追い込まれるべきだと自分は思う。