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ダブの広告問題から考える、情報の取捨選択


 日本でも商品が販売されている、アメリカの日用品メーカー・ダブのボディウォッシュに関するWeb広告で、茶色のTシャツを着た黒人女性がTシャツを脱ぐと合成によってベージュのTシャツを着た白人女性が現れるという表現が用いられ、人種差別的だという批判が起きている。個人的には芸術や広告などに関する表現手法については、過敏になることには反対で、ある程度寛容であるべきだと考えるが、この件については流石に批判を受けても仕方がないと思う。例えば黒人と白人間に大きな差がない社会が既に実現していたり、逆に黒人の方が優位な状況でこのような表現がされたなら、大した問題にはならないかもしれないが、警察官による黒人容疑者の安易な射殺事件が多発していたり、白人至上主義者が反対派に対して無差別殺傷事件を起こしているなどの状況を考えれば、広告に用いるべき表現手法ではないと思う。

 
 見る人によっては、現在のアメリカ社会を皮肉った風刺と受け止める場合や、軽いジョークと受け止められる人もいるかもしれない。しかし自分が、この件が決定的に適切ではないと考える理由は、宣伝している商品がボディウォッシュであることだ。ボディウォッシュとは体を洗う為の商品で、この広告では明示はされていないが、茶色Tシャツの黒人女性が使用前、ベージュTシャツの白人女性が使用後ということを意図していることは誰の目にも明白だ。体用洗剤の使用前・使用後ということは黒人=汚い・白人=きれいというイメージを強く連想させる。これでは人種差別と指摘されても仕方がない。
 しかもダブは2011年にも、beforeに黒人女性、afterに白人女性を配置した広告を公開し非難を受けている。要するに同じようなことで批判を受けるのは2度目で、1度だけなら過失だったかもしれないという風に受け止めることも出来るが、2度、しかもほぼ同じような表現がなされていることを考えると、意図的に黒人を差別する風潮のある組織だという懸念も出てくるし、意図的ではないにせよ1度目に対して改善が見られないことは明らかだし、組織内・若しくは経営陣に致命的な問題があるかもしれないと思えてしまう。
 
 多人種社会で自己主張が強く重視されるアメリカでは、差別への過敏すぎる指摘が行われる場合が多々ある。しかしこの件のようにどうやっても言い逃れられないような案件に対する適切(と思えるよう)な指摘もある。自分が触れる情報がそのどちらに該当するかは、情報を鵜呑みにせず、情報の受けて側である私達が自らの頭で考えて判断する必要がある。
 昨年の米大統領選でフェイクニュースに一気に注目が集まった。公示は今日・10/10だが実質的には既に始まっている日本の衆院選についても、事実かどうか怪しい根拠で気に入らない勢力を批判するような、フェイクニュース以外の何物でもない情報がネット上では飛び交っている。10/8の討論会では首相が、森友・加計問題について首相に有利な情報も実際には取り上げられているのに、自分にとって満足のいく量ではないということを表現するにあたり「朝日新聞は報じておられない」と批判したり、民進党代表の前原氏が今回の臨時国会の冒頭解散について、事実に反し戦後初だと表現するなど、政治家自身の発言すら決して正しいとは言えないようなものが結構行われている。これらについても情報や発言を鵜呑みにするのではなく、そのような情報が発信される真意なども考慮して、私達が自分なりに判断必要がある。

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