スキップしてメイン コンテンツに移動
 

沖縄米軍ヘリ事故 海兵隊と防衛相・コメントの矛盾


 10/11、少し前に訓練場の返還に伴うヘリパッド移設・新設で話題になった沖縄県・高江で米海兵隊の大型ヘリが事故を起こした。墜落とか不時着とか表現が錯綜したが、どちらにせよ大きな危険を伴った重大な事故であることには変わりなく、周辺住民は当然とてつもなく大きな不安を感じているだろうし、TBSは自民党から公認を受けている地元の議院が、現地を訪れた岸田政調会長に苦言を呈するという異例の事態が起きたと伝えていた。2004年には沖縄国際大学に同じようなヘリが墜落する事故が起きているし、昨年・2016年の12月にも今回の現場からもそう遠くない場所でオスプレイが大破する事故を起こしており、今回の事故では周辺住民だけでなく多くの沖縄県民が強い不安を感じているのだろうと想像する。

 
 BuzzFeed Japanは「沖縄で炎上した米軍ヘリ、なぜ『墜落』と言えないのか?防衛省の見解は」という記事を掲載している。自分も当初、昨年末のオスプレイの事故同様、墜落より不時着という表現の方が幾分マシだから墜落と言いたくないのだろうと勘ぐっていたが、今回の事故ではヘリの乗員に負傷者はいないという情報があることを考慮すると、不時着後炎上・大破というのが最も実態にあった表現なのかもしれないとも思い始めた。
 しかしそれでも日本政府の姿勢には不信感を感じてしまう。それは、小野寺防衛大臣は「米海兵隊所属のCH53(ヘリ)が着陸時に火を噴いた」と説明したそうだが、米海兵隊は「飛行中に火災が発生し、緊急着陸した」と発表したと、朝日新聞などが報道しているからだ。確かに当初情報が錯綜していたし、厳密な状況把握がないままどちらかが事実と異なる発表を行った恐れもあるし、朝日新聞の記事が適切な認識に基づいていない恐れもある。しかし、朝日新聞だけでなく他のテレビ局や新聞などでも同様の表現がなされていたのをいくつか見かけており、朝日新聞の記事が大きな錯誤に基づいているとは考え難い。どちらかが厳密に状況を把握せずに発表が行われていたなら、それもそれで危機管理上などで問題であると思うし、そんないい加減な発表がされること自体も大きな問題だろう。
 このように考えると、防衛大臣の”不時着後出火”か海兵隊の”出火後不時着”のどちらかが勘違いをしている、若しくは意図的に嘘をついている恐れがあると考えられる。ただ事故を起こしたのは米海兵隊のヘリで彼らが主体的に調査・後処理をしているし、日米地位協定があり日本側が積極的な調査が出来ないことを勘案すると、勘違い、若しくは嘘をついているのは防衛大臣の恐れが強い。それに海兵隊がより墜落に印象が近くなるような方向性で事実と異なる発表を行う動機は思い浮かばないが、今後の基地問題などを考えると、出来る限り「墜落」という表現を避けたい思惑があるであろう防衛省や日本政府側には、その動機があると思える。
 
 今回の事故が墜落だったのか、不時着後炎上・大破だったのかについては、現時点では微妙な判断が要求されるような話だと自分も感じるし、どちらがより正しいのかは分からないが、前段の防衛大臣と米海兵隊のコメントには明確に矛盾があるのでかなり不信感を感じてしまう。もし、今後どちらかの発言が撤回・修正されたとしても、一度矛盾した見解が示されたことは消えてなくならないし、こんな状況では沖縄県民の政府や米軍に対する不信感はよりいっそう大きくなってしまうだろう。
 また、このことについての矛盾を明確に指摘しているテレビ・新聞などの大手メディアの記事・放送を自分は1つも見ていない。何故そのような指摘をしないのか、その理由は推測するしかないが、個人的には権力に対する何かしらの忖度が働いているのではないかと想像する。それとも大手メディアは実際に2つの発表に矛盾を感じないような程度の能力しかないのだろうか。
 
 兎に角、まず不公平な日米地位協定は早急に見直しがなされるべきだ。東アジア情勢を勘案すれば米軍の全面撤退なんてのは現実的ではないかもしれないが、それでも住民との共存は必要だし、その為には一方的で不透明な状況は改善する必要がある。

このブログの人気の投稿

話が違うじゃないか

 西麻布に Space Lab Yellow というナイトクラブがあった。 一昨日の投稿 でも触れたように、日本のダンスミュージックシーン、特にテクノやハウス界隈では、間違いなく最も重要なクラブの一つである。自分が初めて遊びに行ったクラブもこのイエローで、多分六本木/西麻布界隈に足を踏み入れたのもそれが初めてだったと思う。

マンガの中より酷い現実

 ヤングマガジンは、世界的にも人気が高く、2000年代以降確立したドリフト文化の形成に大きく寄与した頭文字Dや、湾岸ミッドナイト、シャコタンブギなど、自動車をテーマにしたマンガを多く輩出してきた。2017年からは、頭文字Dの続編とも言うべき作品・MFゴーストを連載している( MFゴースト - Wikipedia )。

読書と朗読を聞くことの違い

 「 本の内容を音声で聞かせてくれる「オーディオブック」は読書の代わりになり得るのか? 」という記事をGigazineが掲載した。Time(アメリカ版)の記事を翻訳・要約した記事で、ペンシルベニア・ブルームスバーグ大学のベス ロゴウスキさんの研究と、バージニア大学のダニエル ウィリンガムさんの研究に関する話である。記事の冒頭でも説明されているようにアメリカでは車移動が多く、運転中に本を読むことは出来ないので、書籍を朗読した音声・オーディオブックを利用する人が多くいる。これがこの話の前提になっているようだ。  記事ではそれらの研究を前提に、いくつかの側面からオーディオブックと読書の違いについて検証しているが、「 仕事や勉強のためではなく「単なる娯楽」としてオーディオブックを利用するのであれば、単に物語を楽しむだけであれば、 」という条件付きながら、「 オーディオブックと読書の間にはわずかな違いしかない 」としている。

あんたは市長になるよ

 うんざりすることがあまりにも多い時、面白い映画は気分転換のよいきっかけになる。先週はあまりにもがっかりさせられることばかりだったので、昨日は事前に食料を買い込んで家に籠って映画に浸ることにした。マンガを全巻一気読みするように バックトゥザフューチャー3作を続けて鑑賞 した。

敵より怖いバカな大将多くして船山を上る

 1912年に氷山に衝突して沈没したタイタニックはとても有名だ。これに因んだ映画だけでもかなり多くの本数が製作されている。ドキュメンタリー番組でもしばしば取り上げられる。中でも有名なのは、やはり1997年に公開された、ジェームズ キャメロン監督・レオナルド ディカプリオ主演の映画だろう。