衆院選公示から投票日までの間で最初で最後の週末がやってきた。首相の突拍子もない解散意向表明から、小池氏の新党・希望の党の代表就任、民進の事実上の崩壊、その影響で急に立ち上がった立憲民進党など、まさに混乱以外の言葉が見当たらない。当初は与党勢力対野党連合という2大勢力での選挙戦になるかと思われたが、野党混乱の結果、勢力図は自公+こころ、希望・維新+自由/民進の一部、立憲民主・共産・社民の3つの勢力が入り乱れる様相となり、先週後半には複数メディアの調査で自民単独過半数、自公で300議席に迫る勢いという結果が報じられるなど、野党の混乱が結局与党勢をアシストするような結果となっている。安倍自民政権不支持の自分にとってはかなり好ましくない状況で、こんな状況を招いたのは、党を割るという結果を作った民進代表の前原氏の失策だと感じる。
しかし多くの民進党員が、これまで民進党らが掲げていた安保法制反対・憲法9条改憲に慎重な姿勢をあっさり捨てて、これらについてほぼ反対の姿勢をとる希望の党に合流したことを考えると、結局彼らも都合の良い話ばかり繰り広げる現政権と大差ないような人たちにしか思えず、そんな政治家達にこれまで一縷の希望を感じていたかと思うと非常に残念、裏切られた、情けない、そんな気分でいっぱいになる。結局日本では自分のことしか考えていない政治家が大半を占めているということが実際のところなのだろう。そう考えれば、野党に支持が集まらないのは無理もない。より国民を言いくるめる能力に長けた与党に支持が集まるのも必然なのかもしれない。
東浩紀氏が署名サイトで「2017年秋の総選挙は民主主義を破壊している。「積極的棄権」の声を集め、民主主義を問い直したい」などとして署名活動を行っていることなどが話題になるように、与野党のどちらにも期待出来ず、こんな馬鹿げた選挙に大量の税金が投入されていることなどに大きな疑問を感じている人も決して少なくないのだろう。自公圧倒的優勢という結果が出た各メディアの調査のほとんどで、自公優勢と共に、半数以上が投票先を決めかねているという結果が出ていることもそう思える理由の一つだ。自分は、現在の制度下では「積極的棄権」なんて方法では権力に対しては何の意思表示にもならないと思うものの、現在の投票方法から、小選挙区は各候補者に、比例では各政党の欄にそれぞれ○×を付けられるようにしてその差し引きで投票数を決めるなどの方法に変えるか、投票率が一定以下なら選挙無効でやり直しになるなど、選挙制度を改めれば、現状どの政党・政治家にも期待できない人が、それを意思表示することが出来るかもしれないとは思う。
これまでもずっと、政治家なんて誰でも・政党なんてどれでも結局同じ穴の狢という思いはあったが、今回の選挙戦ほどそれを強く感じたことはない。要するに政治全体に対する不信感はこれまでで最も高まっている。
自民は消費税の使い道変更で解散すると言い、全世代型の社会保障の為に、これまで財政健全化に充てるとしていた消費増税の増収分の一部を充てると言うが、財政健全化を先延ばしにするということは、結局現役世代に最もその負担が降りかかるということだろうから、若者軽視の姿勢が改められたとは思えない。
自民と大差ない政策を掲げているのに、そこに人気取りだけに走ったポピュリズム的な現実味のない、そして具体策も示せない公約加えて声高に叫ぶ希望の党には全く希望などなく、これまで訴えていたことをあっさり捨てて、そこへ急に合流しようという野党の一派などは更に輪をかけて、というか失望しかない。
最もマシな勢力と思える立憲民進は思ったよりは勢いがあるものの、結局改憲について頑なな拒否感を示しすぎる共産・社民と協力しなければならないような状況で頼りなさはあるし、希望ほどでないにしろ、元民進の風見鶏たちが混じっているようにも見える。
一体この国のどこに希望があるのか、全く見えないのが現時点での個人的な感想だ。現時点というか、もし今後各勢力の勢いに増減があったり、今予想されている結果が覆されたりしても、結局どの勢力にも大きな期待が出来ない状態なのだから、その感想には大きな変化が出ることは今回の選挙においてはないだろう。要するにどの勢力が勝とうが大した結果など期待できないとしか思えない。
少し前に、政府が携帯電話会社に対して「料金制度が複雑で分かり難いから改善しろ」「料金が高いから安くしろ」と注文を付けるということがあったが、まず自分達の掲げる政策・公約の分かり易さを実現してから言うべきでは?とか、増税の前にまずやることがあるだろうなどと思ってしまった。結局政治家なんてのは既得権益側に自分が加わって甘い汁を吸いたいだけの人々しかいないんだろう、などという極端な感情だけが高まってしまう。どの政党・どの政治家も他を批判する前にまず我がふりをなおせ。