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選挙後の与党と野党


 朝日新聞が「もし野党候補が1本化していたら、選挙候補はどう変わった?」という記事を書いている。全ての小選挙区で与党vs野党の1対1の対決になっていたら、63の選挙区で野党側が勝てたのではないか、というシミュレーションに関する記事だ。シミュレーションをして今後の判断の要素にすること自体を否定するつもりはないが、個人的にはこんな「たら・れば」話はあまり意味がないように思う。今回の選挙で野党候補1本化が実現する要素があったとは思えないからだ。選挙前は野党第一党だったにも関らず、風見鶏的にポリシーを捨てて希望に合流を呼びかけた前川氏、そんな人物を代表に選んだ民進党員らに1本化の音頭がとれたかは大きな疑問だし、第二自民のような希望と既存の野党勢力が合同する可能性は著しく低かったと思う。希望に合流した元民進出身者は、選挙後、希望合流という選択をした自分達の見当違いは棚に上げ、民進党当時と同様に今度は「選挙に負けたのは小池氏の所為だ」と批判を強めている。彼らは”私達は自分の尻を自分でふけないような人々である”と自ら表明しているように見える。これではそんな人々が信用されないのは当然、そんな人々を大勢受け入れた希望自体も信用されなかったという、ある意味順当な投票行動が起きたのだと思う。

 
 そんな選挙が終わっても尚、大混乱の野党だが、与党に対して影響力を最大化しようとするなら、何とか勢力を結集する必要があるのも事実だろうが、これまでの野党勢の主張を踏襲する立憲民主党らと、現実味のない人気取り政策以外では自民党と殆ど大差ない内容の公約を掲げていた希望の党が合流するのであれば、結局まとまりのない元の民進党の状態に戻ってしまう恐れもあり、立憲民進・枝野氏が言う「頂いている新しい期待はあっという間にどこかへ行ってしまう」、要するに支持を失うかもしれない。しかしその一方で、希望が支持を広げられなかった要因のひとつに小池氏が示した所謂”排除の論理”もあるし、対応方法を間違えば希望らと距離を置く方向性でも支持を失う恐れはある。勿論小池氏の”排除の論理”は、ポリシーの異なる人を受け入れないという事についてではなく、民進党ら合流の話の詰め方の不手際、排除という表現を選んでしまったことなどに問題があった恐れがあるのは事実だが、彼らの二の舞にならない為には慎重且つ毅然とした対応が必要だろう。
 
 一方で大勝利を収めた与党側の総括から聞こえてくるのは”謙虚”という言葉だ。自公で2/3の議席を獲得という結果は大勝利かもしれない。しかし、自分達に最も有利なタイミングで選挙を行い、その結果うまく野党を大混乱させたにも関らず、選挙前の勢力維持に留まったと見れば、勝利は勝利だが決して”大”勝利とは言えないと彼らも感じているのかもしれない。選挙結果と内閣支持率が比例しているとは言えない状況であることも、彼らに勝って兜の緒を締めさせているのかもしれない。
 これまでも彼らは真摯とか謙虚とか反省とかいう言葉を強調してきたが、結局、野党らが求めていた臨時国会を実質的には開催せず、解散総選挙に踏み切るという行動自体がそれらの言葉とは全く正反対の行動で、要するにそれらの言葉には信憑性が全くないというのが自分の印象だ。だから自分は彼らの言葉を真に受けるつもりは毛頭無い。しかし、都議選までの彼らの傲慢さが大きすぎただけに嘘か本当かは別にしても、これだけの結果を選挙で得たにもかかわらず、謙虚という言葉が出てきたのはそれだけでも進歩したように見えてくる。勿論まだ口で謙虚と言っているだけで、そんなのは誰にでも出来ることだし、重要なのはそれが行動に表れるのかどうかということだ。
 
 とりあえずは特別国会でどんな論戦が起こるか、与野党共に注目しなければならない。

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