スキップしてメイン コンテンツに移動
 

各勢力の政策の適当さ加減


 前原代表主導で画策されていた民進党の希望の党との事実上の合流が、党全体の合流という前原氏の目論見通りに進みそうもないことが確定的になり、希望の党の方針と大きく異なる考えを持った枝野代表代行らが、新党・立憲民主党を立ち上げると10/2の夕方に発表した。これで民進党の崩壊はほぼ確定した格好だ。2大政党制のような体制を感じさせる、与党に対抗する為の野党の大同団結は実現しないだろうから、場合によっては野党同士の票の食い合いも起きるだろうし、そのような意味ではあまり好ましくないと感じる人や、与党目線では一安心と感じる人もいるだろうが、安倍自民党や第二自民党+民進党的なまとまりのなさを感じさせる希望の党という保守的な勢力には全く魅力を感じられない自分などにとっては、最もマシな選択肢がやっと出てきたように思える。

 
 前原氏が希望の党への実質的な合流を「名を捨てて実をとる」などとして表明した際は「自民支持者などから批判されていたように、民進党には明確な政治的なポリシーはなかったのか」と大きく落胆させられたが、流石に民進党全体がそうではなかったと思える動きが見えて一安心だ。しかし逆に言えば、こんなまとまりのない人々が政権を担っていたのかと思うと今になって恐ろしい。しかもその残党がその後も野党第一党だったことがとても滑稽に思える。そして希望の党に合流するという人々は選挙目当てで集まるという、同じ過ちを更に繰り返すだけの人たちだとも思えてしまう。旧民主党に様々な人々が集まったことや、さらに維新の党の一部と合流し民進党となった経緯などを考えれば、希望の党は民進党と同じような選挙互助会的な理由で集った、そして自民党と酷似した方針を掲げる勢力でしかなく、自民と民進の悪い部分のハイブリッド政党のようだと自分は考えている。一応自民と異なる政策として消費増税の凍結原発ゼロを掲げてはいるものの、その為の具体的な方策はまだ示されていない。
 
 一方で立憲民進党も掲げる政策についてはあまり魅力的とは言えない。個人的には最もマシだとは思えるものの、改憲についても「違憲の疑いがある安保法をもとに自衛隊の存在を憲法に書き込む安倍改憲案に反対」などとしており、改憲自体には反対ではないというニュアンスを匂わせてはいるものの、具体的にどのような方向性が適切だと考えているのかさえ明らかにしていない。原発に関しても「なるべく早い原発ゼロを目指し、リアルな工程表を示す」としていたり、消費税に関しても「将来的な負担増からは逃げない。しかし今の経済状況での引き上げには反対する」という表現に留まっており、希望の党のそれと大差はない状況だ。これらが結党会見でのコメントで、まだまだ党方針が確定していないことを考慮しても、これでは結局”ポリシーの薄い反安部自民勢力”という批判を受けることになってしまうのではないだろうか。
 
 自民党は既に選挙公約を発表したようだが、自民党も自民党で似たような状況だ。読売新聞が紙面で示した公約のポイントによれば、

北朝鮮への国際社会の圧力を主導。核・ミサイル計画の放棄を目指す
アベノミクスの加速で景気回復、デフレ脱却を実現
生産性の向上で国民所得を増やす
幼児教育の無償化を加速。低所得世帯に限り高等教育を無償化
「地方創生」を実現。東日本大震災などからの復興を加速
自衛隊の明記、教育無償化、緊急事態対応、衆院の合区解消の4項目を中心に、憲法改正を目指す

ということが公約の柱のようだ。まずアベノミクスとやらは最初に公言してから一体どれだけ月日が経っているのか。何度も目標達成時期を延期しているのに、抜本的な変更なしにどうして目標が達成できると思えるだろうか。生産性や国民所得云々なんて話や、震災復興なども同様だ。そして教育に関する話には触れられているものの、解散の理由に挙げていた消費税という文言がないのは一体どういう事なのだろうか。読売新聞がまとめた記事だから読売新聞によって”消費増税での増収分で”などの文言が省かれたのかもしれないが、政府広報なんて呼び声も高い読売新聞が政権の思惑を忖度せずに重要な文言を省くなんてことがあるかを考えれば、どのような経緯でこのような表現になったかが何となく想像出来る。北朝鮮については、勿論何かしらの対策が必要であることは間違いないが、首相らが(選挙目当てで)必要以上に危機感を煽っているようにも思えてしまう。唯一評価できるのは改憲についてやっと公約の柱にしてきた点だが、他の投稿で何度も指摘しているように、臨時国会召集を形だけで行った今回の解散や、解釈変更だけで集団的自衛権を容認してしまったような憲法を軽視する人たちに改憲を検討して欲しいなんて全く思えない。そう考えれば自民党も結局選挙の為だけにそれらしい文言を並べたように思える。

 希望や立憲民主はまだ準備不足感が否めず、詳細についてはこれからも注視していく必要があることも確かだが、現時点ではどの政党も具体的な政策についての言及が少なく、また今している主張も現実性があるのかが不透明、自民に関しては見通しの甘い以前からの政策を、単に繰り返し主張しているだけに過ぎない公約もある。個人的には立憲民進の主張が現状最もマシだと思えるが、前身である旧民主党は政権時代に殆ど何も出来なかった過去がある。これまでの政権運営に疑問を感じるのは、アベノミクスなどと連呼しているだけで一向に庶民に効果の波及しない経済政策を続け、憲法軽視・国会軽視の政権運営をしている現安倍政権も同様だ。希望だって小池氏のこれまでの都政運営を考えれば決して褒められたものではない。豊洲移転に関する都政の不備を掘り起こしたまでは良かったが、オリンピック関連でも豊洲移転の着地点に関しても決して素晴らしい対応をしたとは言い難いし、都議選以降のその振舞いは”不透明”の一言に尽きる。
 立憲民進の出現で、自分にとっては本当に最悪な選挙は一歩遠のいたように思えるものの、結局政局重視で各勢力がお互いを貶しあうだけで、まともな政策論争が今後盛り上がるとも思えない状況は続いており、まだまだ悪い状況は続いてしまうように思う。

このブログの人気の投稿

話が違うじゃないか

 西麻布に Space Lab Yellow というナイトクラブがあった。 一昨日の投稿 でも触れたように、日本のダンスミュージックシーン、特にテクノやハウス界隈では、間違いなく最も重要なクラブの一つである。自分が初めて遊びに行ったクラブもこのイエローで、多分六本木/西麻布界隈に足を踏み入れたのもそれが初めてだったと思う。

マンガの中より酷い現実

 ヤングマガジンは、世界的にも人気が高く、2000年代以降確立したドリフト文化の形成に大きく寄与した頭文字Dや、湾岸ミッドナイト、シャコタンブギなど、自動車をテーマにしたマンガを多く輩出してきた。2017年からは、頭文字Dの続編とも言うべき作品・MFゴーストを連載している( MFゴースト - Wikipedia )。

読書と朗読を聞くことの違い

 「 本の内容を音声で聞かせてくれる「オーディオブック」は読書の代わりになり得るのか? 」という記事をGigazineが掲載した。Time(アメリカ版)の記事を翻訳・要約した記事で、ペンシルベニア・ブルームスバーグ大学のベス ロゴウスキさんの研究と、バージニア大学のダニエル ウィリンガムさんの研究に関する話である。記事の冒頭でも説明されているようにアメリカでは車移動が多く、運転中に本を読むことは出来ないので、書籍を朗読した音声・オーディオブックを利用する人が多くいる。これがこの話の前提になっているようだ。  記事ではそれらの研究を前提に、いくつかの側面からオーディオブックと読書の違いについて検証しているが、「 仕事や勉強のためではなく「単なる娯楽」としてオーディオブックを利用するのであれば、単に物語を楽しむだけであれば、 」という条件付きながら、「 オーディオブックと読書の間にはわずかな違いしかない 」としている。

あんたは市長になるよ

 うんざりすることがあまりにも多い時、面白い映画は気分転換のよいきっかけになる。先週はあまりにもがっかりさせられることばかりだったので、昨日は事前に食料を買い込んで家に籠って映画に浸ることにした。マンガを全巻一気読みするように バックトゥザフューチャー3作を続けて鑑賞 した。

敵より怖いバカな大将多くして船山を上る

 1912年に氷山に衝突して沈没したタイタニックはとても有名だ。これに因んだ映画だけでもかなり多くの本数が製作されている。ドキュメンタリー番組でもしばしば取り上げられる。中でも有名なのは、やはり1997年に公開された、ジェームズ キャメロン監督・レオナルド ディカプリオ主演の映画だろう。