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ニューヨークの事件に対する大統領の態度


 10月31日、ハロウィンの時期を狙ってニューヨークで自転車や歩行者を狙ってトラックで突っ込むという事件が起きたと多くの報道機関が伝えた。この件では突っ込んだ男がウズベキスタン出身のイスラム教徒だったこと、「アラー・アクバル/神は偉大なり」と叫んでいたという目撃証言などを根拠に、かなり早い段階で”テロ事件”として報道されていた。その後の続報では、男は2010年にグリーンカード(米国永住権)を取得しアメリカに入国した後に、ISに影響を受けて犯行に及んだと報じているメディアもいくつかあり、テロ事件という見方には自分も大きな疑問は感じない。ただ、この件の犠牲者は8人と、ラスベガスの銃の乱射事件などに比べれば被害はそれ程大きくない。白人による銃乱射事件にはテロ行為という文言が殆ど使われていないのには、やや疑問を感じる。

 
 10月31日の事件を受けて、トランプ大統領は移民多様化ビザ抽選プログラムと呼ばれるグリーンカードの抽選制を直ちになくすと主張し、事件の容疑者を「野獣」と呼び、さらには「死刑」とまでツイートするという過激さを見せている。確かに容疑者がトラックで突っ込んだのはほぼ間違いないだろうから、彼が何らかの罪に問われることはほぼ確定的だろうが、彼が量刑を決めることは出来ない。ただ、容疑者がISに傾倒したのはアメリカ移住後という報道が正しければ、移民と事件の関連性は決して高いとは言えない。寧ろアメリカ社会に根強く残る人種差別の影響でISに傾倒した恐れもある。トランプ氏のこのような発言は、移民、特にイスラム系の移民や、そのようなルーツを持つ米国住民にも大きな影響を及ぼすことが懸念される為、決して大統領の発言として不適当としか思えない。
 ハフポストによると、11/1にコロラド州のスーパーで白人男性が銃で客や店員ら3人を殺害する事件が起きたそうだ。ラスベガスの乱射事件に比べれば被害の規模は小さいが、トランプ氏が事件によって移民政策への強硬な態度を示し、容疑者に死刑とまで言い放ったニューヨークの事件と被害や事件の規模に大きな差があるとは言い難い。トランプ大統領はこの事件を受けて、白人男性に対してなんらかの権利制限が必要だと述べるのだろうか。この件の容疑者にも「野獣」とか「死刑」、若しくは同程度の罵倒をツイートするのだろうか。恐らくそのような態度を彼が示すことはないだろう。
 
 ラスベガスのような史上最悪の銃乱射事件が起きても、白人男性に対して何らかの権利制限(例えば銃所持規制など)が必用だとはならないのに、イスラム系移民がトラックで突っ込むと”移民の制限が必要だ”のような主張が起こるのはなぜだろうか。自分には人種や主教・民族による差別的な思想に基づいた判断としか思えない。イスラム系移民による犯罪で移民に制限が必要だというなら、アメリカ先住民達にしてみれば、自分達を侵略した白人達も犯罪を犯す移民であるから制限するべき、若しくはアメリカ大陸からヨーロッパへ追放するべき存在に見えるかもしれない。
 
 こんなことからも自分には、トランプ大統領にまともな判断力が備わっているとは思えない。彼の訪日が迫っているが、安倍首相は今回も彼との親密さを強調するような対応をするのだろう。北朝鮮問題などもあるのだから、邪険に扱えとは言わないが、ある程度の距離感を保つ必要はあるだろうし、場合によっては間違っていることは間違っていると言うべきだ。と言っても北朝鮮問題についてはそのトランプ政権よりも更に強硬な態度を示しているのが安倍政権なのだから、結局彼らは似たもの同士で安倍首相もトランプ大統領と似たような思考なのかもしれない。

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