AFP通信が11/3、「トランプ氏、対北で「武士の国」日本が動く可能性を中国に警告」と言う記事を掲載した。記事では、トランプ氏が米FOXニュースの番組のインタビューで「日本は武士の国だ。私は中国にも、それ以外に聞いている皆にも言っておく。北朝鮮とこのような事態が続くのを放置していると、日本との間で大問題を抱えることになる」と語ったことを紹介し、これは北朝鮮の脅威に対処がされなければ「武士の国」である日本が自ら事に当たる可能性もあるという中国に対する警告だという見解のようだ。トランプ氏の発言の原文は
Japan is a warrior nation, and I tell China and I tell everyone else that listens, I mean, you're gonna have yourself a big problem with Japan pretty soon if you allow this to continue with North Korea.
というもので、AFPの記事の見解が大きな検討違いとは考え難い。日本は既に経済的圧力をかなり強めていること、Japan is a warrior nationという前置きを考慮すれば、トランプ氏の発言では、中国がこのまま北朝鮮への対応を考え直さなければ、日本が武力行使に出る恐れがあるということを示唆しているようでもある。彼が一体どこまで日本の状況を理解しているのかには疑問を感じるものの、もし万が一この見解が既に水面下で日本側と共有されているなんてことがあれば、日本国内では確実に混乱が起きる。それは考えすぎだとしても、影響が悪い方に大きくなる恐れは決して低くない。
NHKも翌11/4に同じ件について触れているのだが、NHKの記事では「Japan is a warrior nation,」の部分が省かれている。NHKの翻訳では「中国などの国々に対し、北朝鮮との関係を今のまま放置すれば、日本との間で大きな問題を抱えることになると伝える」となっており、”日本が武力行使に出る場合もあるかもしれない”というニュアンスにならないようにかなり抑えられて伝えられていることが分かる。
自分はこれらの記事の元になったFOXニュースの番組を直に見たわけでもないし、英語が堪能なわけでもないので、厳密にはAFPとNHKのどちらのニュアンスがよりトランプ氏の発言に近い印象なのかは分からないが、NHKが「Japan is a warrior nation,」という発言の冒頭部分をバッサリ切り捨てて翻訳していることを考えると、NHKの伝え方は印象を和らげる為に、意図的にその部分を翻訳しなかったのではないかという懸念を感じる。
確かにトランプ氏が東アジア情勢について適切な認識を持っているとは思えないし、これまでの彼の発言を考えれば、この件の発言についても北朝鮮当局と大差ない妄言の一つだとも思えるので、わざわざ余計な波風を立たせることのないように、受けて側が拡大解釈することがないようにというNHKの配慮とも思えるが、それは別の視点で考えれば、トランプ氏との親密さを大きくアピールしている安倍政権への忖度(NHK側の勝手な忖度の場合も、政権側の何らかの圧力による忖度の場合もある)にも見える。どちらであろうがNHKがAFPよりも正確に案件を報じられていないように自分には思える。このようなことを目の当たりにするとNHKの受信料を払わなければならないことに対して疑問を感じてしまう。