スキップしてメイン コンテンツに移動
 

インフルエンザの思い出


 今年もインフルエンザが流行っているらしい。今シーズンは既に100万人以上がインフルエンザで病院を訪れたと複数のメディアで報じられている。個人的な記憶でしかないので、実際どうだったのかは定かでないが自分の記憶では、自分が子供のだった頃は、ここ数年のように大流行が毎年起きるというような状況ではなかったように思う。
 10数年前に勤めていた会社で、ある年の12月最初の全体朝礼で、社長が「インフルエンザが今年も大流行するそうだ。1-3月は期末直前の繁忙期でもあり、急に病欠されると困る。だから予防接種を受けるように」と言い出した。福利厚生は決して充実した会社ではなかったから、その言葉を聞いた時は、「ああ、やっとこの社長も福利厚生の事を考えてくれるようになったんだ」と感じた。

 
 しかし、その思いはあっという間に裏切られた。何故なら社長はその後に「予防接種を自費で受けるように」と続けたからだ。彼の言い分では、社会人なら自らの健康管理に努めることは当然で、インフルエンザの予防接種を自らの費用負担で受けておくことは、自分の為だけでなく、取引先に迷惑を掛けない為にも必要なことだ、ということだった。
 確かに彼の言うことにおかしな点は殆どない。インフルエンザに限らず、大事な取引の前日などに深酒して、当日二日酔いなど体調不良で臨むことにならないように配慮することは社会人としては、ある意味当然のことだし、出来る限り風邪を引かないように、防寒対策をしっかりとしたり、手洗いうがいを徹底することを心掛けることも、同僚や取引先に突然病欠して迷惑を掛けないようにする為には確実に必要なことだ。ただ自発的に予防接種を受けるということなら何も違和感のない話かもしれないが、予防接種を受けることを職場で義務化したいのなら、掛かる費用を会社側で負担するのが筋ではないかと自分は感じた。
 
 というか、自分以外の社員のほぼ全員が同じ様に感じたようで、自費で予防接種を受けた者も中にはいたようだが、自分の所属部署の同僚は誰一人として接種を受けていなかった。勿論社長に「もう接種受けてきたか?」と声をかけられたら、皆「はい」と適当に返事していた。同僚ら数人とこのことについて話した際に聞こえてきたのは、「社長、自分が毎年インフルエンザにかかるからあんなこと言い始めた」とか、「顔を見るのも嫌な上司の呑みの誘いにしぶしぶついて行ったら、割り勘で飲み代を要求されたかのような気分」などの声だった。
 確かにそれまでの数年間、自分の部署では誰もインフルエンザにかかっていなかったので、当時は自分も予防接種なんてしなくても平気だと思っていたし、他の部署の人から「自分も子供も予防接種受けていたのに、恐らく子供が学校で染されてきて、自分にも感染し苦しい思いをした」という話も聞いていたので、予防接種したところで、かかる時はかかるとも思っていた。要するに予防接種の必要性に懐疑的だったのに、「受けろ、自費で」と言われたら、「大した給料もらってないのに、なんでしたくもないことに自分の懐を痛めなきゃならないのか」と思うのも当然だと感じた。
 
 この件が直接的な理由ではないが、それこそ社長らの誘いで、行きたくもないのに呑みに連れていかれたのに割り勘で支払いを求められ、挙句の果て深夜まで連れまわされたりするなど、この社長の似たような傾向は他の部分でも感じられたこともあり、勿論それ以外にも理由はあったが、既にこの会社を辞めているので、今この会社がどうなのかは分からないが、会社で予防接種を強制するなら、やはり会社側で費用負担するのが筋だろうし、負担しないなら強制するような言い方は避け、「出来るなら受けることが望ましい」ぐらいの表現に止めておいた方が良かったのだろう。

 これは、インフルエンザの流行のニュースを聞く度、毎年のように思い出す話だ。年を重ねると、このように定期的に思い出す話を、まるで初めて話すかのように他人に話てしまいがちになると身をもって感じている。この話に登場する社長とは、少し方向性が異なるが、結局同じ話を繰り返すことも「厄介だ」と思われることには違いないだろうから、出来る限り避けるように心がけたい。

このブログの人気の投稿

話が違うじゃないか

 西麻布に Space Lab Yellow というナイトクラブがあった。 一昨日の投稿 でも触れたように、日本のダンスミュージックシーン、特にテクノやハウス界隈では、間違いなく最も重要なクラブの一つである。自分が初めて遊びに行ったクラブもこのイエローで、多分六本木/西麻布界隈に足を踏み入れたのもそれが初めてだったと思う。

マンガの中より酷い現実

 ヤングマガジンは、世界的にも人気が高く、2000年代以降確立したドリフト文化の形成に大きく寄与した頭文字Dや、湾岸ミッドナイト、シャコタンブギなど、自動車をテーマにしたマンガを多く輩出してきた。2017年からは、頭文字Dの続編とも言うべき作品・MFゴーストを連載している( MFゴースト - Wikipedia )。

読書と朗読を聞くことの違い

 「 本の内容を音声で聞かせてくれる「オーディオブック」は読書の代わりになり得るのか? 」という記事をGigazineが掲載した。Time(アメリカ版)の記事を翻訳・要約した記事で、ペンシルベニア・ブルームスバーグ大学のベス ロゴウスキさんの研究と、バージニア大学のダニエル ウィリンガムさんの研究に関する話である。記事の冒頭でも説明されているようにアメリカでは車移動が多く、運転中に本を読むことは出来ないので、書籍を朗読した音声・オーディオブックを利用する人が多くいる。これがこの話の前提になっているようだ。  記事ではそれらの研究を前提に、いくつかの側面からオーディオブックと読書の違いについて検証しているが、「 仕事や勉強のためではなく「単なる娯楽」としてオーディオブックを利用するのであれば、単に物語を楽しむだけであれば、 」という条件付きながら、「 オーディオブックと読書の間にはわずかな違いしかない 」としている。

あんたは市長になるよ

 うんざりすることがあまりにも多い時、面白い映画は気分転換のよいきっかけになる。先週はあまりにもがっかりさせられることばかりだったので、昨日は事前に食料を買い込んで家に籠って映画に浸ることにした。マンガを全巻一気読みするように バックトゥザフューチャー3作を続けて鑑賞 した。

敵より怖いバカな大将多くして船山を上る

 1912年に氷山に衝突して沈没したタイタニックはとても有名だ。これに因んだ映画だけでもかなり多くの本数が製作されている。ドキュメンタリー番組でもしばしば取り上げられる。中でも有名なのは、やはり1997年に公開された、ジェームズ キャメロン監督・レオナルド ディカプリオ主演の映画だろう。