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些細な不正流用でも無視できない理由


 一向に無くならない政治家とカネの問題。不正献金は一時期に比べて下火になったように感じられるが、一般企業では確実に認められない、認められないどころか、発覚すれば一発解雇されてしまうような、明らかに私的流用としか思えない政務活動費などの使用が後を絶たない。ここ数年の記憶に残っている案件では、号泣会見で恥の上塗りをした野々村 兵庫県議や、自ら任命した弁護士による調査を”第三者による調査”と言い張った舛添前都知事、チューリップテレビの調査報道で明るみになった、富山市議会に蔓延していた政務活動費の不正使用問題で市議が大量に辞職した件、某女性タレント国会議員との不倫報道の中で政務活動費の架空請求が発覚した橋本 神戸市議、などがあるが他にも枚挙に暇がない。ここで挙げたのは地方議員・政治家ばかりだが、安倍政権でも数年前に大臣が不適切な政治資金の使い方で辞職しており、国政レベルの政治家は問題ないとは全然言えないと、個人的には感じている。

 
 1/25のTBS・NEWS23では、地道な調査の末、複数の富山市議の不適切な政務活動費の使途を明るみにし、問題のある議員を大量に辞職させるに至ったチューリップテレビが、富山県高岡市議会に関しても調査を行った結果、富山市同様の状況があったことを特集していた。報道によれば、富山市では不正発覚後10人以上の市議が辞職したそうだが、高岡市では全30人のうち半数の議員の不正が発覚したが、辞職した議員はたった1人だそうで、他の議員は不正発覚後も任期まで議員を続け議員報酬を受け取り続けたそうだ。しかも、中には昨年・2017年10月の市議選に出馬し再選を果たした者もいるらしい。再選に関しては市民の投票がなければ果たせないだろうから、市議だけの問題ではないかもしれないが、納得のいかない市民も決して少なくないのではいか?と想像する。自分が高岡市民なら絶対納得がいかない。
 番組では、高岡市の状況は富山市よりも更に深刻だとしていた。それは、高岡市の財政状況がかなり悪化しており、財政難を理由に公営住宅やコミュニティバスなど、市の事業がどんどん廃止に追い込まれているからだそうだ。番組ではコミュニティバスはお年寄りが通院する際に利用しており、利用者は決して多くはないが廃止されることで困る者もいると紹介していた。番組では、高岡市の財政状況がひっ迫したのは市議会に政務活動費の不正流用が蔓延していたことにも大きな原因がある、とする見解を示していた。議会は市行政が適切に行われるかをチェックする役割もあるのに、政務活動費を不正に使い込むような議員が、行政の予算配分が適切か不適切かを判断できるわけがないということだった。全くその通りだとしか感じられなかった。

 番組で取り上げられていた政務活動費の不適切な使途は、デジタルカメラの購入や勉強会や研修と称した旅行や宴会などで、何百万・何千万というような額ではなく、一つ一つは市の予算全体からすれば些細な額かもしれない。舛添前都知事が追及されたのも同じ様な内容で、彼が取り沙汰された際にも「こんな少額の使い込み疑惑の為に彼を辞職させ、何十億もかけて再び選挙を行う方が都の経済的損失ははるかに大きい」という主張をする者がいたが、とるに足らない不正だという理由で”なあなあ”にしているとどんなことが起きるのか、高岡市の件は如実にそれを物語っている。前述したように高岡市では不正が発覚した議員が再選を果たしているそうだが、一部の市民には、その結果自分たちの首を絞めることになりかねない、という意識が欠如している、要するに無頓着すぎるのではないかと懸念してしまう。
 
 昨日の投稿では「まだ野党はモリカケ言ってるのかよ」という主張への違和感を書いたが、森友学園は国有地が不当に安く払い下げられたという話だし、加計学園に関しても多額の補助がつぎ込まれる話だ。政府側が資料や明確な根拠を示し丁寧な説明をして、少なくとも過半数の国民が納得できるという状況にならない限り、問題解決とは言えないだろう。「長引いているからもう有耶無耶でもよい」などとは決して言えないということを高岡市の件からも再確認する。高岡市同様、自分たちに甘い政権や、それとほぼ一体である与党幹部らが、適切に行政を運営できるとは考えにくいし、党所属議員の不正を自ら正すことが出来る可能性も低いように思う。
 確かに森友加計学園問題は国会審議で時間を使い過ぎていると自分も思う。しかしそれは、1/24の投稿で触れた、小泉議員が言うような「何度も同じような質問が繰り返される」からではなく、会計検査院も不適切だった恐れが否定できないとしているのに、「適切だった」の一点張りで一向に丁寧な説明をしようとしない政府・行政側に問題があると思っている。しかも当時の財務省担当者の答弁が虚偽であるなんてことになりかねない根拠が明らかになっているのだから、追及が続くのは当然のことだ。
 「モリカケ問題はもうお腹いっぱいで時間の無駄」なんて思っている人たちは、この状況でそんなことを言っていると、その先どうなってしまう恐れがあるのかをもう少しよく考えてみて欲しい。

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