2/5の投稿で、産経新聞が2/4に掲載した「安倍晋三首相、文在寅大統領に五輪後の米韓軍事演習の実施要求へ 9日の日韓首脳会談」という記事に触れ、自分は記事の内容の信ぴょう性を疑う、というか、日本の首相が他国へ軍事演習を要求したり、促したりするようなことは、憲法で武力による威嚇が禁じられているのだから、そんなことがされるべきではない、という持論を書いた。
しかし昨日、共同通信や時事通信、そして産経新聞などが、9日の日韓首脳会談の中で、安倍首相が「米韓合同軍事演習を延期すべきではない」と主張したのに対し、文在寅大統領や韓国大統領府が「わが国の主権の問題だ」とか「内政問題だ」と不快感を示していたと報じた。2/4に産経新聞が伝えていた米韓合同軍事演習を”要求”という表現からは、やや柔らかく感じられる”延期すべきではない”という表現に置き換えられてはいるが、実質的には同じことだと自分には感じられる。
年明けから、先日開会した平昌オリンピックに向けて、北朝鮮はこれまでの強行な態度から路線をやや変更し、朝鮮半島の両国間の距離が縮まっているようにも思える。これに関して、「北朝鮮政府・韓国政府の行き過ぎたオリンピックの政治利用だ!」という声も少なくないが、リオオリンピックの閉会式で大袈裟なパフォーマンスを披露した安倍首相だって、自分のイメージアップの為にオリンピックを利用したとも言えるだろう。あのパフォーマンスに政治的な意味合いが全くなかったとは間違っても言えない。確かに「それと今回のオリンピックの政治的な利用のレベルは確実に違う」という話も分からないではないが、政治とオリンピックは切り離されるべきだという認識が当然になった後も、ミュンヘン・モスクワ・ロサンゼルスオリンピックなどは、政治的な動きが確実に反映されたオリンピックだったし、朝鮮・韓国同様、第二次大戦後に分断された2つの国になった東西ドイツも、複数回合同チームを組んでいる。そんなことを考慮すれば、確かに今回のオリンピックの政治利用のレベルは酷いとも言えるだろうが、決してこれまでに全くなかった話でもない。そもそも、オリンピックと政治を完全に切り離したいなら、まず国別対抗的な印象を払しょくするべきだし、各国の国政レベルの政治家・指導者を開会式にも閉会式にも出席させるべきではない。勿論開催国であっても同様だ。
話が少し逸れたが、そんなこともあって、北朝鮮と韓国の接近に関して、「北朝鮮を安易に信用してはならない」とか「韓国の今の北対応は迂闊だ」というような話も多い。確かに自分にもそのように見える部分もある。しかし日本の首相とアメリカの副大統領が揃って「対話のための対話では意味がない」「北のほほえみ外交に目を奪われてはならない」などと言っているのを見ると、彼らの頭の中に”紛争は絶対に回避しなければならないという意識”は本当にあるのか?と心配になってしまう。北朝鮮の現在の融和的な態度には警戒を怠らず、手放しで信用するわけにはいかないのは紛れもない事実だが、圧力一辺倒の対応は暴発する恐れを大きくする側面もあり、彼らの態度を見ていると、「もしかしたら、日本の首相・アメリカ政府は北朝鮮が暴発することを望んでおり、その為にどんどん煽りたいのでは」なんて想像をしてしまう。
「全ての選択肢がテーブルの上にある」というセリフは、トランプ大統領やホワイトハウスの面々がしばしば北朝鮮問題への対応について用いるセリフだ。韓国に対して「迂闊過ぎるんじゃないか?」と忠告したいという意図は当然理解できるが、今回の日米首脳が示した態度を見ていると、全ての選択肢からは、対話は既に外されているようにも思える。この自分の想像が的中していないことを強く願う。
2/5の投稿でも触れたが、安倍首相は現在、憲法9条の改正を強く推進している。本来、憲法に縛られる存在・行政権の長である首相が、憲法改正の旗振り役を担っていること自体が好ましくない。以前は、憲法改正はあくまで”自民党総裁として”推進しているという立場を示していたが、最近はそんな建前すら全く気にしていないように自分には見える。そんな彼を見ていると、以前はミサイル発射実験を、あくまでも”人工衛星開発”としていたが、最近はそんなことを一切言わなくなり、公然とミサイル・核開発をしていると声高にアピールしている隣国と似ている、と感じる。
安倍首相はこれまでも憲法解釈を閣議決定のみで一方的に変更したり、憲法の理念を無視し臨時国会を開会と同時に解散したり、憲法を軽視する態度を複数示していると自分は思っている。そして今回は、憲法改正を強く推進しているという立場であるにもかかわらず、憲法の理念に抵触する恐れもある、間接的な武力による威嚇を、容認というか推し進めようとしているとも思えるような、他国に軍事演習を要求・促すような発言を行い、相手側にも内政干渉だと不快感を示されるというようなことが実際にあったようだ。
首相には憲法改正云々よりも、まず、憲法とはどのような性質のものなのか、憲法を尊重するとはどういうことかについて、小学生レベルから学びなおし、是非憲法を尊重する姿勢を明確に示して欲しいと強く思う。