江崎沖縄北方担当大臣の、衆院予算委員会での言い間違いを複数の報道機関が伝えている。毎日新聞の記事によると、まず7日に北方領土の日を”沖縄北方の日”と言い間違い、更に江崎大臣への質問が終わっていないのにも関わらず、終わったと勘違いし委員会室から退出しようとして引き留められたそうだ。そして時事通信の記事によると翌8日には、18年度予算案の沖縄振興一括交付金の額を、本来、昨年夏の概算要求から65億円減額なのに、650万円減額と3桁も間違えて説明したらしい。
共にそれぞれの件だけを見れば、単なるうっかりミス程度にも感じられ、これに対して皮肉的な言葉を示したり、大袈裟に懸念を示す野党側も大人げないと感じられるだろうが、2日連続でこんなことが起きているのを見ると、真剣さが足りないと懸念されても仕方がないのではないだろうか。
そう感じさせる理由は他にもある。2017年8/8の投稿でも触れたが、江崎氏は大臣に就任したばかりの昨年・2017年8月の会見で、
沖縄に関しては素人
しっかりお役所の原稿を読ませて頂く。答弁書を朗読かな
などと発言し、その後「(入閣自体が)重荷だった」とも述べている。それを裏付ける話として、入閣を打診された際に江崎氏は一度断ろうとしたが、所属派閥のトップ・二階氏に激怒され就任するに至ったということが報じられていた。
今回の予算委員会での江崎氏の言い間違いは、単なる言い間違いではなく、そのような江崎氏就任にまつわる流れが表面化したもの、言い換えれば、江崎氏に沖縄・北方担当大臣の資質が備わっていないことを示すものではないだろうか。大臣就任要請を断ったという江崎氏の判断を曲げさせて就任させた、二階氏、というか、人選の最終責任者である安倍首相の任命責任も追及されるべき話だと自分は思う。
厳密には基地問題は沖縄北方担大臣の守備範囲ではないのかもしれないが、それでも基地問題は沖縄の経済振興などの上でも触れずにいられる話ではない。そんな深刻な問題もあるのに、「お役所の原稿を読む」だけの者にその職が務まるはずはないし、北方領土の話に関しても、厳密には外務大臣などの守備範囲なのかもしれないが、ならば沖縄北方担当大臣とは一体何を職務とする者なのか。本当に必要性のある役職なのだろうか。
安倍内閣の前沖縄北方担当大臣だった島尻氏も、会見で北方四島の内の一つ・歯舞(はぼまい)群島が読めないという担当大臣にあるまじき失態を犯している。そんなことも考慮して考えると沖縄北方担当大臣というのは、当選を重ねた議員に箔をつける為に、資質云々に関わらず大臣に任命している、本質的には誰が就いても殆ど差し支えない、大した役割のない大臣にも見えてしまう。
報道されないだけで、実は私たちが知らない仕事・活動に精を出しているのかもしれないが、もしそうであるなら北方四島を全て言えないなんてことはなさそうだし、北方領土の日を言い間違えるなんてこともなさそうだ。
個人的な偏った認識かもしれないが、ハマコーさんみたいな豪快なキャラクターの、細かいことは気にしないが、義理や人情に厚そうなタイプの人だったら、担当大臣なのに歯舞が読めなくても、北方領土の日を言い間違えても、そんな細かいこと以上の仕事をしてくれるかもしれないと想像する人も少なくないだろうから、許されるような話だったかもしれない。しかし江崎氏にしろ前任の島尻氏にしろ、腰掛感・肩書目的感が余りにもにじみ出ていて、大臣に相応しいとは全く感じられない。こんな議員を任命するくらいなら、沖縄か北方領土に詳しい学者などを任命する方がよいのではないだろうか。