アメリカ政府は3/23、トランプ大統領が公言していた鉄鋼関連製品への効率関税や、主に中国を念頭に置いた輸入制限措置の実施に踏み切った。この影響でアメリカを始め各国の株式市場は軒並み下落。日本でも1日でおよそ1000円ほど株価が下落した。株価の上下動に一喜一憂する必要はないかもしれない。しかし、アメリカのこの政策に反応し、世界各国で株価が下落したということは、この政策が悪影響を及ぼすと考えている人が多いということでもある。トランプ大統領は「アメリカファースト」と叫び、アメリカ第一主義を唱えるが、アメリカでも株価が下落しているということは、アメリカでも、悪影響が出ると考える人の割合が少なくないということではないだろうか。
今年はアメリカで中間選挙が行われる年だ。トランプ大統領が自分の支持率の為に、自分の支持者だけを見て政策を決めていると見る専門家も少なくない。そんな意味では、アメリカファーストではなく彼の支持者ファーストと言えそうだ。それは要するに自分の大統領という立場を考えてのことだろうから、厳密には支持者ファーストですらなく、単にトランプファーストなのかもしれない。
政治家にとって得票・当選・支持は自分の将来を左右する要素であって、当然どんな政治家であろうと少なからず意識するだろう。支持を得る為に支持者の言い分に寄った政策を打ち出すことは、政治家としてある意味では当然の行動だろう。しかし、国の代表が支持者だけを見ていていいはずはない。支持者以外の国民は一切気にしないような態度を示す者は、国の代表に相応しくない。更に言えば、世界で最も力を持っている国のトップが、自国のこと以外気にしないというのもどうかと思う。トランプ氏はあまりにもその傾向が強すぎる。
3/21の投稿で、内政が上手くいかないと、指導者は外敵・外交に市民の目を逸らすことで、国内をまとめようとし始める傾向が表れるということに触れた。トランプ大統領が、昨年12月にエルサレムへ駐イスラエル米国大使館を移転させると発表したことも、今回の関税・輸入制限措置も、その最たる例だと自分は思う。今日(昨日?)米国の来年度予算案にトランプ大統領は、彼が選挙公約で大々的に掲げた国境の壁建設費用が含まれていないがしぶしぶサインし、政府機関の大規模閉鎖の危機が回避されたそうで、ロシア疑惑・不倫疑惑なども含めれば、内政が全く上手くいっていないのは誰の目にも明白だ。そんなアメリカの国内事情、というかトランプ氏個人の事情が国外に押し付けられ、混乱を招いていると思うと、今の日本の首相は、いつまで尻尾を振り続けるのかと思ってしまう。
昨日の会見で、トランプ氏は日本の安倍首相に触れ、偉大な男で友人としながらも、「彼はいつも微笑んでいたが、それはアメリカを利用できてよかったという意味で微笑んでいたのだろう、日本がアメリカを利用してきた時代は終わる」というようなことを言っていた。確かにアメリカの国別貿易赤字の大きさでは、日本は中国にメキシコに次ぐ立場だ。それはある意味では確かに不公平な状態と言えるかもしれない。しかしそれでも前述のような発言を日本側は認めるべきだろうか。個人的には、中国やEUなどのように毅然とした態度を示すべきであると考えるが、今のところ日本政府にはそのような態度は見られない。
3/21の投稿でも触れたように、韓国大統領は支持率を維持したり得票を得る為に、韓国内の反日感情を利用する傾向がある。嫌韓論者らは、そんな韓国大統領を「国内固めの為に不当に反日感情を煽るなんてどうかしている」などと批判する。時にはもっと過激な言葉だったり、およそ冷静な大人とは思えない表現を用いたりもする。自分には、はっきり言ってトランプ大統領の前述のような発言も、そんな韓国大統領と似たり寄ったりに見える。なぜ彼らは、トランプ氏があのような事を言っても嫌米論を唱えないのだろうか。流石にすぐさま嫌米論には向かわないかもしれないが、今回のトランプ大統領の発言を指摘して「不当な発言だ」と嫌韓論者たちが騒いでいる様子は、自分には全く見えない。嫌韓論者の多くは愛国心などの表現を好み、安倍首相を積極的に支持している層と大きく重なるように思う。あれ程はっきりと安倍首相を侮辱され、しかも反日と言えるレベルの日本批判をしているアメリカ大統領に、なぜ彼らは殆ど苦言を呈さないのだろうか。とても不思議でならない。
こんなことからも、嫌韓論者にせよ現政権の積極的支持者にせよ、嫌韓とか安倍政権支持自体がお題目のようになっており、宗教染みていると再確認させられる。