東京都の、豊洲市場移転業務などを担当している部署の管理職3人が、部下10人以上に実際より残業時間を少なく申告するように指示したことが内部通報によって発覚したそうだ。TBSニュースによると、発覚したのは昨年3月分の勤務について。支給されなかった額は合計90万円程で発覚後既に支給済みだそうだ。10人以上ということは、多くとも19人以下だろうから、一人当たり1か月で約5万円程度のサービス残業を強制されたことになりそうだ。しかも、一般企業に指導をしなければならない地方自治体で。しかも、電通過労自殺事件が取り沙汰されていたタイミングで。
東京都は過少申告を指示した副参事1名を1/10・1か月の減給処分、他2名を戒告処分としたそうだが、あまりにも処分が軽すぎやしないだろうか。厳罰化だけが改善方法ではないかもしれないが、これでは結局大した抑止にはならなそうだと自分は思う。個人的には、このような件は「ゴキブリを1匹見たら10匹はいると思え」と同じようなもので、氷山の一角でしかないとように推測する。働き方改革だ何だとスローガンだけは目立っているが、このような案件は一向になくならない。
NHKニュースによると、3/26、パナソニックは富山県内の工場で一昨年違法な時間外労働をさせていたとして、労働基準法違反で略式起訴されたそうだ。2016年の4月から5月にかけて、40代男性社員が労使協定で定められた上限を超えて時間外労働させられたそうだ。ひと月で少なくとも119時間以上の時間外労働をさせられ、6月に死亡したそうで、既に労災認定済みらしい。法人と合わせて書類送検されていたパナソニックの労務担当社員2人は「悪質性が認められない」として不起訴処分になったそうだ。
都の件と同様厳罰化だけが改善方法ではないかもしれないが、こちらの件では人が1人死んでいる。例えば、交通事故を起こして被害者が死亡していたら、悪質性が無くても何らかの社会的制裁を受ける。このように報じられること自体が既に制裁という見方も出来なくはないが、個人的には処分が甘いとしか思えない。遺族の感情に立って考えてもそう思えるし、似たような案件が世の中に溢れていることを勘案してもそう思う。あまりにも労働者の命が軽すぎやしないだろうか。
裁量労働制の拡大云々、高度プロフェッショナル制度云々などと言う前に、まず現状の問題を改善するべきだ。どうして政府は森友学園問題での証人喚問にはとても慎重なのに、労働問題に関しては慎重ではないのだろう。身内や支持者以外には慎重になる必要などないということなのだろうか。