昨日もいろいろ、新たな政府にとって不都合な事実が複数新たに明らかになった。愛媛県がこれまでないと説明していた、加計学園問題に関する文書が、実はあったことが発覚し、また、昨年大問題になった南スーダン日報に関しても、これまで見つかっていた自衛隊内だけでなく、防衛省内にも存在していたことが発覚。そして、これまで疑惑として報じられていた、財務省が森友学園へ口裏合わせを要求していたという件を、財務省が「口裏合わせがあった」と認めた。
単純に情報が明るみなることだけに注目すれば、ポジティブに受け止められるが、一度国会という国の最高機関の一つで「ない」という虚偽の答弁が行われたり、市民の情報開示請求に「ない」という嘘の説明をしていたことや、財務省の改ざん文書の発覚で、隠しきれないという認識が高まったという背景がありそうなことを勘案すれば、これまでひた隠しにしていたことは誰もが容易に想像できるだろうし、そんなことを考えれば、とんでもなくネガティブな話だ。そもそも、隠されていた情報は全て政府の言い分にとって都合の悪いことばかり、言い換えれば、隠され、バレなければ政府に都合のよいことばかりという点は、4/5の投稿「どんどん出てくる不都合な事実」、4/7の投稿「まだまだ明らかになる不都合な事実」で触れた案件と同様だ。
まず、加計学園の文書に関してNHKの記事「加計学園問題『ないと説明の文書 残されていた』愛媛県調査」によると、昨年・2017年の7月に市民団体が開示請求をした加計学園獣医学部の新設に関する文書について、愛媛県は「存在しない」と説明していたが、何故か今になって「残っていることが分かった」として調査しているそうだ。朝日新聞は更に踏み込んで、その文書の写真を今朝の朝刊に掲載(相当するWeb記事)。文書には、これまで「(愛媛県の担当者とは会った)記憶はございません」などと国会で答弁していた柳瀬首相秘書官に、愛媛県の担当者が会って聞いたとされる事、柳瀬氏が確実に前向きに事を進めようとしていることが分かる発言が事細かに書かれている。
この文書に事実と異なる点がないのなら、昨年文科省で見つかり、当初官房長官が”怪文書”などと斬り捨てようとした、所謂”総理のご意向”文書の信憑性は更に増すだろうし、柳瀬氏がなぜ愛媛県の担当者と会っていないと嘘をついたのかについても、大きな疑問が浮かんでくる。そして、なぜ今のタイミングで発覚したのかという点についても疑問で、財務省の公文書改ざんの発覚を見て隠しきれないと感じたが、4月の開学・入学式を過ぎれば、学生の今後を考えると加計学園自体の存続が危うくなるリスクが減るという思惑があったのかもしれないと想像する。
加計学園に入学した学生云々は、問題の本質とは関係の薄い話なので余談だが、もし今後加計学園設立に大きな不正があったことが明確化した場合、最も重い場合は認可取り消しとか、国や愛媛県が投入した公金の回収などの処分も考えられる。そのような際に「入学した学生の将来を考えれば今更廃校には出来ないので存続させるべき」という主張も出るだろうが、個人的には入学した学生の将来を案じる必要があるかについては「ない」と言いたい。確かに、学生たちは加計学園問題と関係ない善意の第三者だろう。しかし、受験前から加計学園には疑惑が持ち上がっていたのは誰の目にも明らかだ。当然受験生はそれを認識して受験し、合格者は承知の上で入学したはずだ。であるならば、疑惑が疑惑でなく事実だった場合、大学の存続が難しくなることも理解していたと考えられる。「そうは思わなかった」という学生もいるかもしれないが、それは信じた者が浅はかだったという話ではないだろうか。ある会社が倒産した場合、例えばその会社のサービスの利用を前払い契約していた消費者がいれば、消費者保護の為に経営者の責任が追及されることはあるだろうが、債権者が「倒産するとは思わなかった」と言おうが、政府や自治体が、債権者のことを考慮して会社が倒産しないように公金を投入するなんてことはあり得ない。確かに、銀行やインフラ系企業など、倒産すると社会に対する影響が著しく大きい場合は、公的資金を使って会社を別の形で存続させる場合もある。しかし、加計学園・岡山理科大獣医学部については、開学前から認可に疑問を持たれていることは分かっていたし、まだ入学した1年生しかおらず、勿論、他の大学の獣医学部への編入を促すなどの対応は必要かもしれないが、その為だけに学部を存続させる必要があるとまでは言えないのではないだろうか。
兎に角そんな問題もあるので、政府は、このような文書が出てきても、それでも認可に問題がなかったのかどうなのか、早急に丁寧に調査し、丁寧に国民に説明する必要がある。といっても、既に他にも多くの問題が発覚しており、首相は「行政の長であり、すべての責任は私にある」などと、財務省の問題でも防衛省の問題でも言ってはいるが、政府が積極的に事実解明に努めているようには全く思えないし、財務大臣・防衛大臣らのそぶりを見ていると、全て官僚・または自衛隊の内部問題かのように印象付けようとしているようにしか見えず、またこれまで何度も「ない」と説明されていたものが出てくることを考えると、政府の説明も、政府・省庁主体の調査結果で、「問題ない」とされても、全然信頼性が感じられず、単なる時間稼ぎ、時間の無駄としか思えないだろうから、利害関係の薄いことが誰の目にも明らかな第三者による調査をしなければ、正当性のある調査と印象を国民の多くは感じないだろう。
また、上記加計学園の話や財務省が口裏合わせを認めた件の陰に隠れて、そして既に昨年隠蔽が発覚した南スーダンの日報に関してなのでその注目度はやや低いようだが、NHKの記事「防衛相『南スーダンPKO日報を防衛省情報本部で発見』」によると、昨年隠蔽が明らかになった自衛隊内だけでなく、見出しの通り、防衛省内でも見つかったそうだ。新たに日報が出てきたと情報本部は、自衛隊内での隠蔽によって当時の稲田大臣が行うことを指示した特別防衛監察の対象にはなっていなかったようだ。結局、当時から一部で懸念が示されていたように、大臣としての能力が疑問視される稲田氏が主導して行う特別防衛監察にどれほど実効性があるのか、ということも実効性があったとは間違っても言えないことが明確になったし、当時政府や与党は「防衛省全体の問題でなく、自衛隊の問題」かのような姿勢で、特に首相はそのような理由で稲田氏を更迭する必要はないという態度を示していたが、その話の信憑性も大きく揺らいでいる。要するに、昨年首相が稲田氏を更迭しなかったことについての責任を追及されて然るべきと自分は考える。
この件から分かるのは、財務省の問題にせよ、防衛省の問題にせよ、政府や与党は現在も「政府ではなく官僚の問題」というスタンスを貫いている。しかし思い出して欲しいのは、昨年の今頃は政府や与党は、森友学園問題に関しては「財務省でなく、籠池さんという詐欺師的な人物の問題」というスタンスだったし、南スーダン日報隠蔽問題についても「防衛省でなく、自衛隊内の問題」というスタンスだった。しかし、現時点では、公文書を改ざんしたり、隠蔽を動機とした口裏合わせまでしていた財務省にも大きな問題があったのは明らかだし、日報に関しても防衛省にも問題があることが明らかになった。要するに、政府や与党が印象付けようとする「政府や首相でなく〇〇の問題」という見解は、2つの問題で的外れだったことは明らかだ。そんな人たちが今示している「首相や大臣でなく官僚の問題」という見立てに、果たしてどれほど説得力があるだろうか。
前述のように、首相は「行政の長であり、最終的な責任は私にある」と言う旨の説明を財務省の改ざん問題でも示したし、昨日は日報隠蔽問題でも示した。ただ、責任をどうとるのかという事については「再発防止に努める」という旨の説明だった。この発言を聞いた時の自分の印象は「再発防止なんて、よくもぬけぬけと言えたものだ」だった。何故なら、日報隠蔽が発覚したのは昨年のことで、既にイラク日報問題で再発、今回の南スーダン日報が防衛省で見つかったことで再再発している。結局再発防止できずに3度もあることは、また続くんだろうと考えるのが一般的な思考だろう。自分には、昨年再三繰り返した「真摯に受け止め丁寧に説明する必要がある」などの発言同様、その場を取り繕う口から出まかせにしか思えない虚しい発言にしか思えなかった。
また、昨日の衆院決算委員会の中で、民進党・大島九州男議員に「財務省の決裁文書改ざんや、イラク派遣自衛隊の日報が隠蔽された状態で行われた昨年の衆院選は、改ざん・隠蔽の下で行われた選挙で、その選挙に正当性があると考えるのか」という旨の質問をされると、首相は、
選挙の正当性が失われるという事はですね、まさにですね、それは実際約束をしていない事を行ってしまう、約束したことをやらないという事こそがですね、これはまさに選挙の正当性を失うものではないか、このように思います。
と答えた。大島氏は時間の都合もあったのか、あまり深く追及していなかったが、自分には、首相は聞かれたことに応えていないように思えた。上記の発言の後に首相は「だから正当性を失っていないと考えている」という旨の答弁も行ったが、大島氏が聞いたのは、政権に不都合な事実が周知されていなかった状態、しかも「ない」という嘘がつかれて隠されていた状態での選挙で、国民は正しい判断に基づいた投票が出来たと思うか?、である。大島議員もその旨丁寧に説明せず、寝ずに考えたのだろうか「解散総選挙ではなく改ざん総選挙だ!」という、おっさん臭いダジャレのアピールに終始していたように見えてかなり残念感が漂っていた。
要するに首相は、政権に不都合な情報が「ない」として隠された状態で行われた選挙結果でも、公約違反さえしなければ問題があったとは言えない、というか寧ろ、そんなことは選挙結果に影響はない、と言っているのだと自分には思える。確かにそんなことがあっても政権や安倍首相を「それでも支持する」という人はいるだろう。ただ自分には、そんなお人好し(本音は狂信的な信者のような人と思っている)が国民の大半を占めているとは到底思えない。また少し違う視点で考えると、昨年の選挙結果が適切と言えるということは、結局、首相は、改ざんや隠蔽が自分の政権下であっても、それは概ね自分の責任じゃないから、その事実が隠されていても選挙結果が大きく変わったとは思えない、と言っているようにも思える。という事は、彼は口では「最終的な責任は行政府の長である自分にある」と言いながら、大して自分に責任があるとは思っていないのだろうと推測できる。そのようなことを、大島議員にはもっと強く追及して欲しかった。
毎度のことだが、一体いつまでこんな事が続くのだろう。一部の政権積極支持者らは「モリカケとか日報とかよりもっと大事なことがあるのに、野党は下らない(若しくは予算委員会で予算と関係の薄い質問ばかりするな)」などと言うが、追及を受けるような事態を引き起こしたのは政権下で運営されている行政機関だし、行政府の長は首相も言っているように、彼自身で、もっと大事なことが議論できない状態を作ったのは確実に、行政を正常に運営出来ない政権だ。要するに「首相や大臣の問題でなく官僚の問題」という見解は、官僚にも問題があるのは事実なので、完全に間違っているとまでは言えないかもしれないが、全く正しいとは間違っても言えない。昨年複数の会社で発覚したデータ改ざん問題の結果誰が責任をとったかを考えれば、首相や大臣が相応の責任をとって然るべきだ。それ程重大なことが行政機関で起きている。一般常識が通用しないのが政治の世界なのか、今の政権にだけ通用しないのかは分からないが、どちらにせよ一般常識に欠ける人に、一般国民の為の政治が出来るとは到底思えない。
交通違反を繰り返すと、些細な違反でも点数が累積し免停処分が行われたり、重大な違反が含まれる場合には免許取り消し・欠格処分が下される場合もある。4/7の投稿でリストアップした数々の問題、そして昨日更に明らかになった問題、しかも公文書の改ざん、隠蔽、捏造という重大案件も含まれているのだから、重大問題を抱える省の大臣やその大臣を任命している安倍首相も、そろそろ免許取り消し・欠格処分が必要な時期だろう。次の政権を今の野党に任せたいとは思えないが、例え自民党がまた政権を担うのだとしても、金は余計かかるだろうが昨年の選挙結果は適切とは思えず、もう一度選挙は必要だろうし、少なくとも安倍氏以外の他の誰かに首相を務めて欲しい。
「他に適任者がいないから安倍首相」なんて選択が、少し前まで大勢を占めていたようだが、自分には数年前からそんな風には思えなかったし、今じゃ更に「安倍氏が首相である限りこの状態から脱却できない」とさえ感じている。