スキップしてメイン コンテンツに移動
 

シリア・中東情勢と自国ファースト


 4/13、米英仏がシリア政府が化学兵器を使用したと断定し軍事行動を起こした。攻撃目標は化学兵器に関連した施設3か所で、既に一連の作戦は終了しているらしい。当然シリア政府を支援しているロシアやイランは反発、国連安全保障理事会で両陣営の小競り合いが続いている。
 個人的には、シリア内戦についてのこれまでの報道から判断すれば、アサド政権側が化学兵器を使用した疑いはかなり濃厚で、米英仏の武力行使が絶対的に不適切とは思わないが、アメリカは過去に大量破壊兵器が存在するという誤った根拠の下でイラク戦争を始めたことがあるし、トランプ大統領は昨年「シリアはロシアに任せればよい」という姿勢を強く打ち出していたので、行き当たりばったり感満載、というか、それ以外の言動でも適切な判断の能力を持った人物とは全く思えず、彼の判断・姿勢に賛同する気にもなれない。

 
 今日のMXテレビ・サンデーCROSSの討論コーナー・激論CROSSのテーマは「中東問題 他人事でいいのか?日本人」で、そのシリアや周辺国の情勢・難民などへの対処などだった。4/8の投稿で書いたように4/8の同コーナーに限らず同番組の内容は酷いものだった。今週も先週程ではないにせよ、一応テーマに掲げられた”日本人は他人事でいいのか?”という視点では語られていたものの、中東情勢の一体何について議論したいのかが定まっていないように思え、全く無意味な時間だったとまでは言わないが、自分には「見る価値がある内容だった」とは思えなかった。2週続けてこんな状況だと「来週はもう見なくてもいいかも」と感じてしまう。
 余談だが、討論コーナーである激論CROSSは、4月の番組リニューアルを機に、それまで約30分強だったのが、50分弱に拡大された。30分だった当時は物足りなさを感じていたが、50分に拡大されてからは間延びしている感が否めない。そう見える要素は複数あると思う。まずは参加する出演者の人選。そして、MCがしっかり場をさばけていないこともその理由のように自分には思える。
 
 シリア情勢に話を戻すと、サンデーCROSSでは街頭インタビューした様子を討論コーナー冒頭で流しており、そこに出てくる人達が、程度の差はあれど、ほぼ全員シリア・中東情勢に関して他人事であることに愕然とした。そもそもテレビで流される街頭インタビューは、いくらでも番組に都合の良いコメント以外を削ぎ落すことが可能で、今日のテーマ「中東問題 他人事でいいのか?日本人」に合わせて無関心な人を抽出している恐れもある。ただそれでも、そのような認識の人が一定数いることは間違いなさそうだ。
 自分も決してシリアや中東の事に人一倍強い興味を持っているわけではないし、何か具体的な行動をしている訳でもなく、無関心な人達と大差はないかもしれない。しかし、番組内で表示される視聴者ツイートを見ていると、認識不足による適切とは言えないような見解も多数見受けられ、恐らくその背景には無関心からくる偏見があるのだろうと自分には思えた。
 
 中でも自分が強く違和感を覚えたのは、「中東問題は複雑で日本が関わっても状況は好転しないだろうから、日本は首を突っ込むべきじゃない」などの傍観論だ。このような見解の”首を突っ込む”が軍事介入を指しているのなら、確かにそれはその通りだと思う。しかし、関わりとは軍事介入だけに限らない。平和的な解決を促すことも関わることだし、人道的な援助を行うことも関わることだ。前述のような表現では、「シリアやパレスチナ問題には一切関わらず、難民すら受け入れる必要はない。シリアの内政問題に介入する必要などない」と言っているように聞こえ、全然賛同出来ない。しかも、日本は石油を多く中東地域から輸入している。中東情勢の悪化は経済的な観点から考えても決して傍観出来るようなことじゃない。
 
 また、現在東アジア・特に北朝鮮をめぐる情勢は日本にとっては大きな問題だ。もし「日本が中東問題は遠く離れた地の問題だから私たちには関係ない」という態度を示せば、今後アメリカが万が一「アメリカに届くミサイルさえ北朝鮮から排除出来ればOK」という態度を示したら、東アジアから遠く離れた地域の国々は「遠く離れた地の問題だから私たちには関係ない、日本だけでなんとかせよ」という態度を示すかもしれないが、日本はそれを受け入れなくてはならなくなる。「他人が困っていても知らんぷりするが、自分が困った時だけ協力してくれ」という態度を認めてくれる国や人達はどれだけいるだろうか。
 
 世界で最も大きな国の大統領が「○○ファースト」と叫び、今日の視聴者ツイートの中にも「自国の利益を各国が優先するのは当然」という旨の主張があったが、自国の利益”だけ”を優先しすぎれば、相応の対応が相手から返ってくることを肝に銘じなければならない。

このブログの人気の投稿

マンガの中より酷い現実

 ヤングマガジンは、世界的にも人気が高く、2000年代以降確立したドリフト文化の形成に大きく寄与した頭文字Dや、湾岸ミッドナイト、シャコタンブギなど、自動車をテーマにしたマンガを多く輩出してきた。2017年からは、頭文字Dの続編とも言うべき作品・MFゴーストを連載している( MFゴースト - Wikipedia )。

フランス人権宣言から230年、未だに続く搾取

 これは「 Karikatur Das Verhältnis Arbeiter Unternehmer 」、1896年ドイツの、 資本家が労働者を搾取する様子を描いた風刺画 である。労働者から搾り取った金を貯める容器には、Sammel becken des Kapitalismus / 資本主義の収集用盆 と書かれている。1700年代後半に英国で産業革命が起こり、それ以降労働者は低賃金/長時間労働を強いられることになる。1890年代は8時間労働制を求める動きが欧米で活発だった頃だ。因みに日本で初めて8時間労働制が導入されたのは1919年のことである( 八時間労働制 - Wikipedia )。

話が違うじゃないか

 西麻布に Space Lab Yellow というナイトクラブがあった。 一昨日の投稿 でも触れたように、日本のダンスミュージックシーン、特にテクノやハウス界隈では、間違いなく最も重要なクラブの一つである。自分が初めて遊びに行ったクラブもこのイエローで、多分六本木/西麻布界隈に足を踏み入れたのもそれが初めてだったと思う。

同じ規格品で構成されたシステムはどこかに致命的な欠陥を持つことになる

 攻殻機動隊、特に押井 守監督の映画2本が好きで、これまでにも何度かこのブログでは台詞などを引用したり紹介したりしている( 攻殻機動隊 - 独見と偏談 )。今日触れるのはトップ画像の通り、「 戦闘単位としてどんなに優秀でも同じ規格品で構成されたシステムはどこかに致命的な欠陥を持つことになるわ。組織も人も特殊化の果てにあるものは緩やかな死 」という台詞だ。

あんたは市長になるよ

 うんざりすることがあまりにも多い時、面白い映画は気分転換のよいきっかけになる。先週はあまりにもがっかりさせられることばかりだったので、昨日は事前に食料を買い込んで家に籠って映画に浸ることにした。マンガを全巻一気読みするように バックトゥザフューチャー3作を続けて鑑賞 した。