野党が今回の審議拒否を始めてから約2週間が経つ。野党側が求めている、公文書改ざん問題や次官セクハラ問題への後手後手な対応と、それらに対する大臣自身が不適切発言を連発・またそのような言動に関して反省のない態度、事務次官・国税庁長官という重要なポストを務めていた者がたて続けに辞任したことに関する、任命・監督責任等々を理由とした麻生大臣の辞任や、加計問題で昨年の答弁が虚偽であった恐れが著しく高まっている柳瀬 元首相秘書官(現・経済産業審議官)らの証人喚問など4つの項目に、与党側が全く応じる姿勢を見せないからだ。
このような事態を捉えて「野党は国会に出てきて仕事しろ」とか「野党はそれぞれの話を過剰に倒閣に向けて利用している!」のようなSNS上の投稿、または一部のテレビ出演者の主張などを目にする。確かに自分も野党の審議拒否が建設的な対応とは思えず、こんな状況をいつまで続ける気なのかとも思うが、首相、というか、自分たちの党総裁が「国民の信頼回復に向け、うみを出し切る」と言っているのに、信頼回復や”うみを出し切る”のに必要であろう充分な措置を講じていない、講じるつもりがないようにしか見えない財務大臣に、それを問いただそうという素振りもなく、森友加計問題にしても事態の解明に消極的で、官僚の国会での虚偽答弁にどこか寛容に見える与党や所属議員の方が、寧ろ仕事をしていないように見えるし、首相や与党側も現政権の維持を目的とした責任逃れやその後押しに終始し、寧ろ事態を政局化しているのは、事態を矮小化しようとしている与党や政権側も似たようなものではないのか?とも思える。
こんな状況下で自民党の菅原秀一議員が投稿したツイートが話題になっている。それは、
という内容だ。いろいろツッコミどころ満載でどうかしているとしか思えない。前述のような話の内、自分たちに都合の悪いことには全く目が行かないからこんな事を軽々しくSNSに投稿してしまうのだろう。まず大臣は国会議員の上司ではない。大臣と同じ政党に所属している菅原氏ら与党議員にとっては上司的な存在かもしれないが、大臣は行政府、国会議員は立法府に属する存在であり、菅原氏には三権分立の感覚が著しく欠如している。 国会議員は大臣の部下ではなく、基本的には対等な関係でなくてはならない。でなければお互いが監視し合う三権分立は成り立たない。また、大臣が学校の先生的な存在、議員が生徒的な存在という認識も、同様の理由で全然的外れな例えでしかない。2つも同じ意味で的外れな例を挙げたのでは「口が滑った」という言い訳は通用しないだろう。こんな考え方が菅原氏の本心であることを強く感じさせる。野党は4月18日から国会審議を拒否している。仮に5月6日まで連休だとしたら、19連休となる。自分の会社の上司が辞めないと会社に行かない?学校であの先生がいやだからと、不登校が許される?— すがわら一秀(菅原一秀/東京9区) (@sugawaraisshu) 2018年4月25日
世間ではそんなこと通じません。満員電車に揺られるサラリーマンや子供たちにどう説明するのか?!
セクハラ問題でも麻生大臣を筆頭に自民党所属議員らの、被害を主張する者を不当に貶すような発言が相次ぎ、自衛隊員の「国民の敵」発言に関しても、地方議員ではあるが自民所属議員の首を傾げるような発言があったと報じられている。前にも書いたかもしれないが、こうも不適切な発言が頻発するということは、もしかしたら自民党内には、今は発覚していないだけで今後似たような発言や行動をしてしまう者が、まだまだ潜んでいるのでは?という疑念を感じてしまう。勿論現状ではおかしなことを言っているのは一部の者だけでしかなく、大半の自民党所属議員はまともなのかもしれないが、その党に属し、副首相という国のNo.2という重大な立場にある者が、到底容認できないような発言を繰り返し、それについて党内からは積極的に苦言が呈されないような状況を見ていると、「自民の議員はあの人の振舞いを容認できるってことなんだ」と思え、まともな認識を持っている議員の方が少ないのではないか?という疑念に繋がってしまう。
こんな視点で考えていると、「うみを出し切る」なんて”うみ自体”に出来るはずはないし、それが出来ない恐れが強いということは信頼回復なども夢物語、言い換えれば「うみを出し切る」なんて発言自体が口先三寸、単なるポーズでしかないと言って差し支えなさそうだ。何よりも昨年来何度も「真摯な受け止め、丁寧な説明で信頼回復」などの言葉を聞かされたが、今状況がどうなっているかを考えれば、彼らの言葉を信用出来ると思うのは、彼らと利害が一致している者か、オレオレ詐欺にお金を渡してしまうような純粋過ぎる人だけだろう。